渡辺美智雄の発言 (大蔵委員会)

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○国務大臣(渡辺美智雄君) 広範にわたりましていろいろ御意見を交えたお尋ねがあったわけでございます。
 私は、本当に、昨年の春の春闘において労働組合の指導者の方々が良識ある質上げで妥結をなさったということについては、深い敬意を表しておるような次第でございます。そのときに六・四%というように、政府はその程度の物価の目標を掲げたことも事実でございます。しかるにかかわらず、物価が七%台ということでその見通しに狂いが起きたと、これも事実でございます。ところが、世界じゅうこれはもうみんな大狂いに狂ってしまいまして、御承知のとおり、アメリカなどではいまでももう一三%程度のインフレでございますし、イギリスはそれよりちょっと高い、フランスも大体その程度、イタリーが一八、九というところでしょう、一時二〇%に行ったと言ってましたから。ブラジルも一〇〇%とか、世界じゅう実際狂っちゃったわけなんですよ。そこで、日本は狂いが実は一番少ない国でございまして、これをぴたっと当てると言われましても、なかなかこれは本当に、言いわけがましい話でございますが当たらなかったと、一〇〇%は。という点は申しわけないですが、もう世界の経済事情がそういう事情だったので、そこへもってきてイランの戦争、あるいは日本だと冷夏の問題とか豪雪とかいろいろ重なって、六・四にうまくいきそうにないということについては、それらの諸事情も御勘案をして、これは申しわけありませんというお願いをする以外にはないと私は思っておるわけでございます。それによって、要するに労働者の実質賃金が五十五年においてわずかではあるが〇・九、いままでにないことだ、減ったじゃないかと、これも私は御指摘のとおりだと思います。しかしながら、現実の問題といたしまして、いま私が言ったように日本の課税最低限というのは昭和五十二年に改正して以来ずっと据え置かれておることも事実でございますが、まあ幸いにその間における可処分所得の問題においては、これはわずかではありますがふえておることも事実でございます。で、いままで本来ならば税収がうんと減ったときに借金をしないで何らかの形で、公共サービスを少なくするかあるいは増税を行うかすべきものであったものを、それをやらなかったということも事実でございます。
 そういうような諸般の情勢から、今回はまことに申しわけございませんが、結局財政の立て直しということがやっぱり国民経済に私は一番影響がある。ここでさらに財政を悪化させながら減税をするということのメリットと、そういう諸般の情勢からしてわずかに実質賃金が減ったことも事実であるが、しかしこれは幸いに、ともかく三月、四月、五月にかけての日本の卸売物価、それに続く消費者物価の低落傾向は顕著に実はあらわれてきておる。そういう点から考えると、むしろ物価の安定というものを先に進めることによって、個人消費の支出を伸ばすということによって景気を維持していくと、よくしていくということの方がいいという政策判断に基づいておるわけでございます。で、アメリカの民間活力というものははなはだ低くて、日本は労働生産性の上昇というのは、一つの例を取れば、一九七九年で対前年比で日本は四・五プラスになっていますが、アメリカの労働生産性というのは非常に低くてマイナスの〇・四というような状態でありまして、民間の活力というものは日本とアメリカでかなり違う。
 私はそういうような点から考えますと、この際はひとつ、まあ労使の賃金問題でわれわれ口出すことは一切できませんが、物価の安定というものを通して国民生活に寄与するという点に重点を置いた方が今後のいろんな面で望ましいというような政策判断に基づいて、今回はひとつ減税はお許しをいただきたいということを申し上げておる次第でございます。

発言情報

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発言者: 渡辺美智雄

speaker_id: 9286

日付: 1981-02-26

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会