藤尾正行の発言 (予算委員会第四分科会)
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○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたしますが、私は、何と申しましても私どもの日本の国の政治の基本といいまするものは、これは国民の生活の安定とそして今後の福祉の向上にある、かように考えておるわけでございまして、そういったことを考えてまいります際に、私どもの経済が発展をしていくということは非常に慶賀すべきことでございますけれども、そういったことを支えておりますのは、何といいましてもこれは物価が安定をしておりませんと、すべてのものは全部崩れていくわけでございます。私がそんなことを申し上げるのは非常におかしゅうございますけれども、世界的な石油の高騰でございますとか、あるいは石油の供給量の削減でありますとかというようなことが私どもの手の届かないところで起こっておるわけで、そういったことを基調にいたしまして、世界的な非常に大きな混乱が生じておる、その中で影響を受けざるを得ないわけでございますけれども、私どもにもしそこに政治があり、政策があるということにいたしましたならば、その影響を最小限にとどめる、それをどのように効果づけていけるかということが私は一つの大きな政治課題である、かように考えておるわけであります。
そういった点から考えてみまして、昨年の場合六・四%の消費者物価の上昇というものをやむを得ないというものと仮定をいたしまして、そういった骨格の上にあらゆる経済の基本をなしております労働条件の規定といいますものが労使間で協定されておる、そうして非常におかげさまでそれが私どもの産業の発展に対しても寄与をしてくれるところが多かった、こういうことでございますけれども、残念ながら、その際に石油の高騰でありますとか、あるいはその後におきまする天候の異常な気象変化というようなものを考えていなかったということになりますと、これはまるっきり政治が予測に欠けておったということになりますけれども、そういったものを予測しておりながら、それが六・四%の物価上昇の中にとどまるであろうというような考え方をしておりましたということが、非常に私は政策的な予見に欠けるところがあった、かように考えるわけでございます。残念ながら、そういう経過をたどりまして、昨年の年末には消費者物価七%程度に上昇はやむを得ないというようなことに基礎的な条件を変更をし、それが本年に入りまして一−三月になれば大いに安定をしていくであろう、六・四%に近づくような成果を上げ得るであろうというような予測も、さらにこれは豪雪でありますとか何とかというような諸種の条件で達成することができませんで、結局はこの三月の末になりまして、振り返ってみれば七・七%とか八%とかというようなところにならざるを得なくなってきている。
こういうことによりまして、そういうことを想定しなかった労働条件というようなものが、実質的に、あらゆる賃金の上昇というようなことを名目的に協定をいたしましたにかかわりませず、それが全部帳消しになって、帳消しになっただけでなくて、実際的には実質賃金が一%も低下をするというような情勢になってきたわけでございますから、これに対してこれを座視しておるというようなことがあったのでは、私は政治の基本というものも経済の見通しも、すべてのものが立っていかない、こういうことになると考えるわけでございます。でございますから、五十六年度の新たな想定というものを考えてみましても、五・三%程度に経済の規模を拡張、拡大をしていこう、発展をしていこうというようなことを考えておりましても、これがまた五十五年度のように物価五・五%に抑えますと言いながら、それが守り切れないというようなことになったのでは、私はこれはえらいことになる、かように考えるわけでございまして、私どもといたしましては、この際あらゆる私どもの政策に優先をいたしまして、そうして物価の安定を図って国民の皆様方に政治の信頼をひとつ回復をさせていただく、そういうことでなければ、何をやりましてもそのこと自体が信頼を失い、そうして福祉を崩していくというようなことにつながっていくわけでございますから、これは私ども政治家といたしまして、また責任のある政府の閣僚といたしまして、これを座視するわけにはいかない、こういうことでございますので、私のすべての力、あるいは政府のあらゆる力をここに集中をしていくということをやっていかなければならぬ、政治生命を賭す、内閣の運命をかける、私はあたりまえのことであろう、かように考えておるわけでございます。