予算委員会第四分科会

1981-03-31 参議院 全156発言

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会議録情報#0
昭和五十六年三月三十一日(火曜日)
   午前十時一分開会
    —————————————
   分科担当委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     片山 甚市君     山田  譲君
     山田  譲君     小野  明君
     馬場  富君     中野  明君
     近藤 忠孝君     山中 郁子君
     田渕 哲也君     伊藤 郁男君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     小野  明君     対馬 孝且君
     中野  明君     和泉 照雄君
     伊藤 郁男君     柄谷 道一君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    主 査         亀井 久興君
    副主査         渋谷 邦彦君
    分科担当委員
                岩上 二郎君
                藏内 修治君
                古賀雷四郎君
                関口 恵造君
                名尾 良孝君
                小野  明君
                坂倉 藤吾君
                対馬 孝且君
                中野  明君
                山中 郁子君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
   政府委員
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働大臣官房会
       計課長      高橋 伸治君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  加藤  孝君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     小西  亘君
       農林水産省構造
       改善局農政部就
       業改善課長    鈴木 一郎君
       労働大臣官房国
       際労働課長    平賀 俊行君
       労働大臣官房参
       事官       田代  裕君
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       労働省職業安定
       局特別雇用対策
       課長       佐藤 勝美君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
    —————————————
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亀井久興#1
○主査(亀井久興君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 分科担当委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、山田譲君、馬場富君及び近藤忠孝君が分科担当委員を辞任され、その補欠として小野明君、中野明君及び山中郁子君が分科担当委員に選任されました。
 また本日、伊藤郁男君が分科担当委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が分科担当委員に選任されました。
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亀井久興#2
○主査(亀井久興君) 昭和五十六年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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小野明#3
○小野明君 最近の景気の停滞といいますか、個人消費の低迷、こういうことから公定歩合も一%下がったわけですが、春闘を前にいたしまして、何を申しましても物価の安定ということが非常に重大な問題であろうかと思います。
 そこで、物価情勢が推測によりますと七・八ということに相なっておりますが、これをオーバーするということになりますと大変でありますが、先日も大臣、物価の安定に命を賭してというきわめて積極的な御発言がございました。物価安定にかける大臣のまず御決意というものを改めてお尋ねをいたしたいと思います。
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藤尾正行#4
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたしますが、私は、何と申しましても私どもの日本の国の政治の基本といいまするものは、これは国民の生活の安定とそして今後の福祉の向上にある、かように考えておるわけでございまして、そういったことを考えてまいります際に、私どもの経済が発展をしていくということは非常に慶賀すべきことでございますけれども、そういったことを支えておりますのは、何といいましてもこれは物価が安定をしておりませんと、すべてのものは全部崩れていくわけでございます。私がそんなことを申し上げるのは非常におかしゅうございますけれども、世界的な石油の高騰でございますとか、あるいは石油の供給量の削減でありますとかというようなことが私どもの手の届かないところで起こっておるわけで、そういったことを基調にいたしまして、世界的な非常に大きな混乱が生じておる、その中で影響を受けざるを得ないわけでございますけれども、私どもにもしそこに政治があり、政策があるということにいたしましたならば、その影響を最小限にとどめる、それをどのように効果づけていけるかということが私は一つの大きな政治課題である、かように考えておるわけであります。
 そういった点から考えてみまして、昨年の場合六・四%の消費者物価の上昇というものをやむを得ないというものと仮定をいたしまして、そういった骨格の上にあらゆる経済の基本をなしております労働条件の規定といいますものが労使間で協定されておる、そうして非常におかげさまでそれが私どもの産業の発展に対しても寄与をしてくれるところが多かった、こういうことでございますけれども、残念ながら、その際に石油の高騰でありますとか、あるいはその後におきまする天候の異常な気象変化というようなものを考えていなかったということになりますと、これはまるっきり政治が予測に欠けておったということになりますけれども、そういったものを予測しておりながら、それが六・四%の物価上昇の中にとどまるであろうというような考え方をしておりましたということが、非常に私は政策的な予見に欠けるところがあった、かように考えるわけでございます。残念ながら、そういう経過をたどりまして、昨年の年末には消費者物価七%程度に上昇はやむを得ないというようなことに基礎的な条件を変更をし、それが本年に入りまして一−三月になれば大いに安定をしていくであろう、六・四%に近づくような成果を上げ得るであろうというような予測も、さらにこれは豪雪でありますとか何とかというような諸種の条件で達成することができませんで、結局はこの三月の末になりまして、振り返ってみれば七・七%とか八%とかというようなところにならざるを得なくなってきている。
 こういうことによりまして、そういうことを想定しなかった労働条件というようなものが、実質的に、あらゆる賃金の上昇というようなことを名目的に協定をいたしましたにかかわりませず、それが全部帳消しになって、帳消しになっただけでなくて、実際的には実質賃金が一%も低下をするというような情勢になってきたわけでございますから、これに対してこれを座視しておるというようなことがあったのでは、私は政治の基本というものも経済の見通しも、すべてのものが立っていかない、こういうことになると考えるわけでございます。でございますから、五十六年度の新たな想定というものを考えてみましても、五・三%程度に経済の規模を拡張、拡大をしていこう、発展をしていこうというようなことを考えておりましても、これがまた五十五年度のように物価五・五%に抑えますと言いながら、それが守り切れないというようなことになったのでは、私はこれはえらいことになる、かように考えるわけでございまして、私どもといたしましては、この際あらゆる私どもの政策に優先をいたしまして、そうして物価の安定を図って国民の皆様方に政治の信頼をひとつ回復をさせていただく、そういうことでなければ、何をやりましてもそのこと自体が信頼を失い、そうして福祉を崩していくというようなことにつながっていくわけでございますから、これは私ども政治家といたしまして、また責任のある政府の閣僚といたしまして、これを座視するわけにはいかない、こういうことでございますので、私のすべての力、あるいは政府のあらゆる力をここに集中をしていくということをやっていかなければならぬ、政治生命を賭す、内閣の運命をかける、私はあたりまえのことであろう、かように考えておるわけでございます。
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小野明#5
○小野明君 三月二十七日の閣議で総務長官の報告によるという数字を見ますと、二月の労働力調査というのはきわめて厳しいものがありますね。完全失業者が百三十五万人。さらにこの数字というのは前年比で二十四万人の増、こういう最近にない驚くべき数字が出ておるわけでございます。こういう数字を見ますときに、本日質問いたしたいと思っておりますが、中高年の失業の情勢という問題、その特徴というものをお尋ねしたいんですが、時間が限られておりますから、年齢別の階級分位別にひとつ数字がわかっておれば四十五歳から五十四歳、五十五から六十四、中高年のところの完全失業者、この数字をひとつお知らせいただきたいと思います。
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関英夫#6
○政府委員(関英夫君) 最近の完全失業者の中の中高年齢者の数字ということでございますので、二月の数字を申し上げたいと思いますが、総理府の調査によります二月の完全失業者数は、御指摘のとおり、全体で百三十五万人、そのうち四十歳から五十四歳層が三十一万人、それから五十五歳以上が三十万人でございます。で、前年に比較いたしまして四十歳から五十四歳で六万人の増、五十五歳以上で八万人の増と、こういうことになっております。
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小野明#7
○小野明君 六十五歳以上はどうですか。
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関英夫#8
○政府委員(関英夫君) 五十五歳以上ということでくくられておりまして、その六十五歳以上というような分位がとれないわけでございます。五十五歳以上で三十万人という数字でございます。
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小野明#9
○小野明君 そうしますと、百三十五万人のほほ半数をこの中高年の失業者で占めておると、こういうことになりますね。そうしますと、この中高年の今後の対策というものがきわめて重要に相なるということになろうかと思います。そこで、この中高年の雇用という問題で端的に今後の対策というものをひとつ御説明いただきたいと思います。
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関英夫#10
○政府委員(関英夫君) 雇用対策としては、まず失業を予防する。それからやむなく失業した人の就職を促進するという二面に分かれるかと思います。
 そこで、中高年の雇用対策といたしましては、まず第一に、わが国の定年制度、これが従来五十五歳というようなものが非常に多い、これを何とかして昭和六十年までには六十歳に延長していく、あるいは昭和六十年以降になりますと六十歳前半層の労働力が非常にふえるわけでございますので、いまから六十歳以上に定年延長できるところはもちろんしていただくし、あるいは一律定年延長が無理な場合には、再雇用とか勤務延長とかさまざまな多様な形で六十歳以上についても雇用の継続を図っていく、そういうことによって中高年齢者が長い間働いて得てきた知識と経験、能力を生かして従来の職場でずっと働き続けられるようにしていく、こういうことがまず第一だと思います。で、そのための定年延長奨励金制度とかいろいろな奨励制度がございますが、そういうものを活用して、できる限り従来の職場で引き続き働けるようにすること、これが失業の予防という意味でまず第一の対策でございます。で、そのためには、また中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法で、高齢者の雇用率というものも定めております。五十五歳以上六%という数字でございますが、全国平均ではこの率を達成いたしておりますが、大企業ほどまだ未達成のところが多い。そういうところへの雇用率の達成指導を個別に行っていくことを含めまして、まずは中高年の雇用を確保するということが第一でございます。
 それから二番目に、中高年齢者がやむなく失業した場合には、先生御承知のように、わが国の雇用慣行のもとでは新規学卒を採用するという形のものが一般的でございまして、中途採用が少ないという意味で中高年齢者の求人が非常に少ないわけでございます。そこで、できる限り中高年齢者に合った求人開拓をして、中高年の雇用を促進していく。その場合に事業主に対します奨励制度、助成制度を活用して中高年齢者の雇用を促進していくということが非常に重要なことでございます。さらにもっと年をとりました六十歳前半層になりますと、フルタイムの常用雇用はもはや無理だと、非常に短時間あるいは臨時的な仕事ならやれる、そういうことをして地域のお役に立ちたいというような方も出てまいります。そういった方々のためには、本年度からシルバー人材センターというようなものを助成していこうという補助制度を新しくとったわけでございます。そういうような形で高齢者の多様な就業ニーズに応じた雇用対策を行っていこうと考えているところでございます。
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小野明#11
○小野明君 それで、昨年末失対事業問題につきまして、失業対策制度調査研究会という会が失対事業に対しまして一つの方向を出しましたね。労働省は従来失対事業問題につきまして三十八年、四十五年ですか、それから五十五年とずっと調査研究会というものによりまして、重大な方向転換といいますか、施策をやってきておるわけですね。そうしますと、そういう重要な施策の転換をおやりになる、あるいは新たに失業対策事業というものを変えていくという場合にこういう私的な諮問機関の意向だけをとっていく、あるいはこれを隠れみのにして施策をやるということについては、私は問題があるんではないか。と申しますのは、国家行政組織法によりましてその第八条で、重大な施策については八条による機関の設置と、こういうことがうたわれているわけですね。それで、労働省にも雇用安定審議会と、三者構成のものがございます。これらの意見を聞かずに失対制度の調査研究会と、これだけによって失対事業制度の見直しというものを行うことについては疑義があるんですが、この点はいかがですか。
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加藤孝#12
○政府委員(加藤孝君) 昨年の十二月の六日に出されました失業対策事業についての研究報告、これは長年失業対策に関しまして賃金審議会の委員等を通じて失対事業に御造詣の深い方、あるいはまた社会保障制度についての日本の最高権威者と、こういうような方々を構成員といたしまして、その研究報告をしていただくに当たりましては、現地視察などを全国何カ所にもわたりまして実施をするとか、あるいはまた主なものについてはそれぞれやはり就労者団体、それからまた市町村等の事業主体というようなところの意見聴取等も行われます中で、約半年以上にわたる研究を続けられてこの結論をまとめられたものであるわけでございます。そういう意味におきまして、その内容につきましては私どもきわめて権威の高い適切な内容のものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。
 いま御指摘ございましたその三十八年、四十五年というような時点でこういう大きな失対制度の転換が行われておるということとの絡みでのお話がございましたが、三十八年あるいは四十五年の報告を受けまして、それにつきましては法改正を含む内容のものであったわけでございます。その報告に基づきましてそれぞれ法律改正が行われたわけでございまして、当然、その前提といたしまして関係の審議会の意見も伺い、また国会での御審議を経て所要の措置がとられたと、こういう経過があるわけでございます。
 しかしながら今回の報告は、これは当面実施いたしますことは、五十六年度におきまして特例一時金という措置によりまして、この際自立引退をされる方については一人当たり百万円の予算措置を講ずると、そういうことによって自立引退を円滑に行うと、こういうようなものがこの具体的な五十六年度の措置であるわけでございます。
 また、五年程度の経過期間後において六十五歳というものを一つの上限に持っていくと、こういうことにつきましては、これは今後高齢者の方々の自立引退を円滑に実施をしていく中におきまして、その五年程度後には六十五歳に持っていくと、こういうようなことで、特に法律改正を要するようなものではない、今回の報告を実現するに当たりましては特に法改正を必要とするような内容のものはないと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、特にこれを審議会に改めて御諮問するとかいうようなことはしていないわけでございます。法改正の問題があれば、当然関係審議会の御意見を承るつもりでおりますが、そういう内容のものではございませんので、今回はいま御指摘ございました中央職業安定審議会に対しましても、この研究報告の内容及びこれにつきましての労働省の考え方を御説明をするという形で、審議会の方には説明をさしていただいたと、こんなような経緯のものでございます。
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小野明#13
○小野明君 そうすると、この内容を見ますと法律上の改正を伴うものではないと、こういう御説明があった。しかし六十五歳を上限とすると。そして十万人のうちの約七割を削減をすると、こういうわけですね。法改正ではない、しかし実質的にはそういう効果を持つものではないかと、こう思います。そうなればなお、よきもあしきも国家行政組織法第八条というものがあるんですから、それをやはりきちっと生かしていくべきではないかと私は思うんです。それは本日の私の意見として述べておきますが、法律改正によらないと、こういうふうにおっしゃるんですから、なお私は問題だと思うんですが、緊急失対法には年齢の規定もないですね。したがって六十五歳を上限とする法的な根拠がないと私は思います。さらに憲法二十五条あるいは憲法二十七条、御承知のとおりですが、この引退の強制という問題は、この憲法の条文に照らしても、国民の勤労権あるいは生活権というものを奪うものではないかと、こういうふうに思いますが、いかがですか。
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加藤孝#14
○政府委員(加藤孝君) この六十五歳という上限を五年程度の経過期間を経て実施していこう、こういう考え方が示されたわけでございますが、失対法の現在の規定、これは特に失業対策事業就労者に対していわば永世的にといいますか、いつまでも何歳になってもこの失対事業への就労の権利とか就労の保障とか、そういったものを規定しているわけのものではないわけでございます。そういう意味で、これはやはり合理的な制限というようなものは可能であろうと、こういうふうに考えておるわけでございまして、現にたとえば一定の所得以上のある方については失対事業に就労をすることはお断りするというようなことも、一定の合理的な制限、こういうようなことで通達で実施しておるということもあるわけでございます。そういうようなこととの関係から見ましても、現在失対事業に就労しておられる方がこれが年齢の制限が一切ないということの中で、六十五歳以上の方が約半数、七十歳以上の方が二五%、さらにはまた七十五歳以上の方も約一割、八十歳以上の方もおられるというような状況の中で、失対事業が労働政策の事業として、社会福祉事業としてならともかく、労働政策の事業として、働いていただいてそれに対して賃金を払っていくと、こういうような形の事業として継続することがぎりぎりの状態になってきておる、こんなような状況にあるわけでございます。
 一方また、失対事業の本来の目的が民間へ就職するまでの間の一時的な就労の場、こういう性格を基本的に持っておるわけでございます。そういう中で、民間においては先生御存じのように、いま六十歳定年制というものへ懸命に持っていこう、こんなような現状にあるわけでございまして、六十五歳以上の定年制を決めておるというようなところはもう皆無に等しいような状況にあるわけでございます。そういう中で、この失対事業の現在のそういう状況から、非常にもう事業継続がむずかしくなってきておる、あるいはまた失対事業の本来のそういう性格が、民間企業への一時的な就労の場であるというようなことで、六十五歳というものについて一つの上限を設けることについて、これはやはり一応合理的な制限ということで十分考えられるのではないか、こう思っておるわけでございます。
 しかしそれをいま直ちにやるということにつきましては、いろいろまたこの失対事業をめぐる経緯あるいは就労者の実情等から見まして、いろいろその辺については問題もあるであろう、こういうようなことで、五年程度の経過期間を置く中で円滑にそういう六十五歳という線へ持っていけるようにと、こういうことで考えておるわけでございます。強制的にそこでびしっと持っていくということではなくて、五年の経過期間の中でこういう高齢者の方々の今後の生活相談というようなものを安定所、あるいは事業主体である市町村あるいは地域の関係社会福祉関係機関といったものとの十分な連携等によりまして、円滑なそういう自立引退への道行きを敷くことによって、その六十五歳というものを円滑に実態として持っていこうと、こんなふうに考えておるところのものでございます。
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小野明#15
○小野明君 六十五歳までが労働政策としては限界だというような、そういう御意見のようですが、そうすれば六十五歳を超えたら働く意思と能力があっても、これはもう労働省の所管ではない、勝手にもう生活保護にいきなさいと、こういうことですか。
 緊急失対法には、もう加藤さんも御存じのように、十一条の二で高齢失業者等就労事業という規定がございますね。これは全然生かされてないじゃないですか。いま関さんの説明でも、今度の百三十五万人の完全失業者、この底には不安定就労している人が一千万を超えるほどいるわけですね、完全失業者の定義は非常に厳しいですからね。一千万を超える不安定就労者がいる。そうすると、六十五歳までが限度であると、こういうふうに決めつけるというのは、私は労働省が、政府がみずから政府の役割りを放棄するということに等しい。この緊急失対法に決めておる高齢者事業、こういうものは何ら日の目を見ていない。こういうことから、六十五歳をリミットとする、限度とするなんていうことは、それこそ私は生存権、勤労権を奪う一番最悪なこれは方途である。これを失対の調査研究会というものの報告というものを隠れみのにしてあなたたちは強行しようとしておると、こう言う以外にないと思うんですが、いかがですか。
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加藤孝#16
○政府委員(加藤孝君) いま御指摘のございました高齢者につきましての就労事業、これは確かに緊急失対法でそういう規定がございますが、三十八年にこれが規定されまして実施しようとしたところ、非常に就労団体の方からの厳しい抵抗等もございまして、結局、これが実施をされないまま今日に至った。内容的には、それにかわるようなものとして現在失対事業の甲事業というような形で、主としてそういう高齢者等を対象にいたしまして軽易な作業を失対事業の甲事業と、こういうような形で実施をしておるものでございます。
 また、六十五歳の問題でございますが、これは六十五歳以上は一切労働政策として対象にしないんだと、こういうことを申し上げておるわけではなくて、雇用対策上特別な措置をとる。一般の安定所での職業紹介であるとか、あるいは高齢者相談室での職業相談とかこういったようなものは、これはもちろん何歳でも本人が御希望あれば当然やっていくわけでございますが、こういう国費で、その個人個人に対して雇用対策上特別の措置を講じていく、こういうものについては六十五歳と、こういう考え方がこの失対事業以外の諸対策についても現在とられておるところでございまして、たとえば特定地域の開発就労事業であるとか、あるいはまた中高年の求職手帳制度であるとか、また定年延長奨励金であるとか、公共事業の吸収率制度であるとか、すべて特別のそういう措置をとるというものについでは六十五歳、こういう考え方をしておるわけでございます。もちろんそういう一般の職業紹介の窓口は、年齢に制限なくオープンにして職業相談に応じておる、こういうものであるわけでございます。
 いろいろ勤労権のお話等も出たわけでございますが、やはりこの勤労権の問題、一つの権利宣言的なものでございまして、そういう失対事業を六十五歳過ぎてもやらなければ憲法違反になるというような具体的なものではないと、こんなふうに考えておるところでございます。
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小野明#17
○小野明君 具体的な問題に入りますが、失対就労者が六十五歳で打ち切られる。そうしますと、引退後の雇用とかあるいは生活保障の具体策、いま若干触れられたようですが、あるんですか、これは。
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加藤孝#18
○政府委員(加藤孝君) もう六十五歳を過ぎられまして失対事業を自立引退される方のその後の生活態様、これはいろいろあろうと思います。まだ元気だから働けるぞという方ももちろんあると思いますが、そういう方につきましては、今後安定所におきましても臨時とかパートとかそういったようなものでのごあっせんも努力をしていかなきゃならぬと、こんなふうに思っておりますし、追加的に収入を得たい、あるいは生きがい的というような就労を希望する方については、シルバー人材センターであるとか生きがい就労事業であるとか、そういったようなものでの対応というものも考えていかなきゃならぬ。
 あるいはまた社会保障施策の面でも、これはやはり安定所がよく市町村あるいは社会福祉機関と連携とりまして、老人ホームであるとかあるいはまた年金の問題であるとか、あるいはまた生活保護への移行の問題であるとか、そういったようなものについていろいろ関係機関と協力等しながら、それらについて今後の、引退後のそれぞれの人に合った道行きについていろいろ生活相談を講じていく、そういう窓口を開設しながら、今後五年間程度の間にこの円滑な自立引退への道行きをつけていきたい、こんなふうに考えているわけでございます。
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小野明#19
○小野明君 円滑にいかないわけですよね。これは六十五歳をめどにもうそれ限界だというのは、これはもう労働省の手を離れて厚生省にいきなさい、生活保護を受けなさいと。いまの雇用・失業情勢からいきますと、るる説明がありましたように、もう半数の六十万人が完全失業者、中高年齢者がですよ。そうすればもう、あなたが民間就労とかいろいろ言いましても、それは口ばかりになるんですよ。生活保護にいきなさいと、これと私は同義語だと思う。たとえば生活保護にいった場合に、七十二歳と七十歳、七十二歳の男子、七十一歳の女子と、こういう老夫婦の場合に、生活保護、幾らになると思いますか。
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加藤孝#20
○政府委員(加藤孝君) 地域によっていろいろ……
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小野明#21
○小野明君 一級地でいい。
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加藤孝#22
○政府委員(加藤孝君) 一級地で申し上げますと、六十五歳から六十九歳の方の生活保護が六万五千八百九円、一人世帯でございます。
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小野明#23
○小野明君 いや、七十二歳と七十歳の、その金額を言いなさい。
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加藤孝#24
○政府委員(加藤孝君) 七十歳以上でございますと、七万八千四百円という状態でございます。それからまた二人世帯でございますと、十一万五千二百三十四円という状況でございます。
 これに対しまして失対賃金、これはまあ福岡市で例にとりますと、現在、甲事業で八万四千二百二十六円、それから乙事業で十万三千五百十四円こんなような状況でございます。
 また、いわゆる日雇い仕事的なもので勤労収入が三万円ある場合の生活保護で見ますと、七十歳以上の方で十万一千六百五十四円というような数字になっております。
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小野明#25
○小野明君 六十五歳で切って生活保護にいきなさいというのと同義語だと。生活保護にいきましても、金はこれは同じ政府から出るわけですよね。そうすると、やはり働く人、能力ある者は六十五歳を超えてもやはり私はこういう公的な就労事業、民間の景気回復するまでの間ということでありましても、公的就労事業というものは維持すべき、拡大すべきだと、こう思いますがね、生活保護にどんどん追いやるんでなくてね。どうですか、そこは。
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加藤孝#26
○政府委員(加藤孝君) もちろん基本的には元気な方は何歳まででも働いていただくというように基本的な努力をすべきだと思うわけでございます。
 ただ、先ほどから申し上げておりますように、決してそういう生活保護へ移行されることを奨励するというようなことで申し上げているのじゃなくて、国あるいは地方公共団体が、言うなら税金まる抱えの形の中でやっておる事業でございます。そういう特別の措置を講ずる形のこの事業が、現実問題として何歳でもおられるためにいわば事業として、労働政策の事業として実施し得なくなってきている、現場へたどり着くのがやっとであるというような方も中にはおられるわけでございます。そういう中で、何歳まででも労働政策としてそういう失対事業で抱えるということは、実務としてもなかなかむずかしくなってきておる、こういうような中で、やはりそういう制度的な合理性のある六十五歳というものを五年程度後において目標にしていこうというようなことでやっておるわけでございます。いま直ちにこういう方々にすぐやめていただくとか、あるいは今度の特例一時金でそういう方々全部、六十五歳以上の人はやめていただくというようなことを申し上げているわけではないわけでございまして、一応そういう一つの基本的な考え方というものを打ち出して、それへ向けて今後努力をしていこうということで打ち出しておる考え方でございます。
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小野明#27
○小野明君 あなたはいま、六十五歳を超えて現場へたどり着くのがやっとだというような人ばっかりのような言い方をしているが、これはけしからぬ言い方だ。それは人間には年齢ありましても、六十五歳を超えましても働く意欲があり、能力ある人がたくさんいるわけだから、それにはやっぱり公的就労の場というものを保障しておくと。そしてこの厳しい高齢化社会、中高齢の厳しい雇用、失業情勢に対応するということが基本になきゃならぬと思うんですよ。
 それから、具体的問題にいきますが、来年度、五十六年度で七、八、九の三カ月間に限って特例措置ね、例の百万を促進措置として支給する、こういう期間をどうして設定をするんですか。これは引退をするという人については、来年度いっぱいの予算ですから、何もこう三カ月で切る必要はない、百万円もらえば収入認定されるわけでしょう、収入認定になるわけですよね、引退すれば。だからそれは生活保護にもなかなか入れない、こういうことになる。特にこの七、八、九の三カ月というものを設定した、これが私は解せない、一年間の予算ですからね。引退をする人にはやっぱり自由な意思で引退をするということにしなければならぬと思いますが、どうですか。
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加藤孝#28
○政府委員(加藤孝君) この七、八、九月におきまして百万円の特例一時金を実施するということにいたしておりますのは、これはこの際こういう失対事業を、労働政策の事業としてあるべき姿に持っていくような方向へ持っていこう、そのためには、現在就労を続けていくことがなかなか困難になってきておられる、そういうような方々にひとつぜひこの際自立、御引退を願うということで勧奨をするものであるわけでございます。
 これにそういう期限をつけましたのは、実は現在、地方単独措置で、たとえば五十万とか、県によりましては百万というような金額を出しておるところもあるわけでございますが、そういうのがいつやめられてもそれが出る、こういうようなことで、結局これが実際にはそういう方々の自立、引退につながっていない、いつやめてももらえるから、こういうようなことでずっとあるわけでございますので、そういう意味で、やはり一定の期限というものをつけて一つのふん切りをつけていただく、こういうことがどうしても必要であろう、こういうことで一つのこういう期限を設けておるわけでございます。
 それで実際には、実務の面でまいりますと、いろいろ事業計画の策定の関係の問題、あるいは四十六年のときに実施をいたしました実例等々から考えまして、やはり余り長期では事業計画も立ちにくいというようなことでこういう三カ月の期限を設けて、その中でこういう措置を実施していこう、こんなふうに考えているところのものでございます。
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小野明#29
○小野明君 というのは、三カ月間でこれはやめることを、引退することを強制するんじゃないですか。強制と同じじゃないですか。予算というのは年度でやればいいんでしょう。引退する者は本人の意思を尊重とするということがなきゃならぬが、三カ月間という区切ってやるということは同時に強制を意味しませんか。どうですか。
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