土光敏夫の発言 (行財政改革に関する特別委員会)
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○土光参考人 臨時行政調査会の会長をいたしております土光でございます。
本日は、行財政改革特別委員会に出席いたしましてごあいさつを申し上げ、かつまた行政改革につきます所信の一端を申し述べる機会を与えられましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。
委員各位におかれましては、いわゆる行革関連特例法案を初め、広く行政改革のあり方について、大所高所のお立場から連日御熱心な御審議をいただいておることに対しまして、臨時行政調査会会長といたしまして、また国民の一人といたしまして、深く敬意を表する次第であります。
さて、わが国は、明治以来約百年余り、戦後の廃墟から三十数年の間に、社会的、経済的に目覚ましい発展を遂げてまいりました。これはひとえに、すべての国民の一致したたゆまぬ努力の結晶ともいうべきものであります。
しかし、近年、内外の諸情勢は大きく変化いたしまして、わが国は今後、人口構成の高齢化、エネルギー資源の制約等多くの困難を克服しつつ経済の発展を図り、社会の成熟化の進展と先進国家としての国際的役割りの増大に対応していくことが要請されているところであります。しかも、いまや財政は、国債残高八十二兆円にも及ぶ赤字を抱え、猶予を許さない深刻な事態に立ち至っておるのであります。このような状況では、新たな時代に対応した国民的、国家的課題に機動的、弾力的に対応することは不可能であります。資源エネルギーの乏しいわが国が、国際社会におきまして名誉ある地位を占めていくには、官民一体となって社会経済全体の創造性と活力を高めることが急務であります。
いま臨時行政調査会が設置され、国を挙げて行政改革に取り組むということは、長期的展望に立って新たな時代を切り開き、今後の日本の繁栄と安定の基礎を築くことになるのであります。このような考え方のもとに政府の行財政改革にかける決意を確認しつつ、私は、当調査会会長をお引き受けいたしまして、増税なき財政再建、国、地方を通ずるわが国行政全体の抜本改革に微力を尽くしているわけであります。
もとより行政改革の本旨は、単に財政再建策を検討することではなく、行財政の惰性的運用を打破し、新たな時代に対応した国民的、国家的課題を担い得る行政の制度及び運用を構想し実現することにあります。しかしながら、財政再建を初めとする行財政の難局の打開と立て直しが現下の急務であることにかんがみまして、また同時に、政府からもこれにつき緊急の答申を求められましたので、まず財政支出の思い切った節減と行政の合理化、効率化を緊急の課題として取り上げたわけであります。調査会といたしましては鋭意審議を尽くしまして、去る七月十日、緊急に着手しなければならない措置を行政改革に関する第一次答申として取りまとめ、内閣総理大臣に提出し、国会にも御報告申し上げたところであります。
私は、今回の答申を今後の本格的行政改革を推進するための突破口になるものと考えております。今回の措置は、いわば緊急の外科手術であります。産業活動や国民生活の各部門に何がしかの痛みを与えることは避けがたいところであります。しかし、これは新たな時代に向けた新しい国づくりに伴ういわゆる産みの苦しみともいうべきものであります。このような考えに基づきまして、当面、国民の皆様に財政支出の節減に伴う痛みに耐えていただくことをあえてお願いしたわけであります。
私は、わが国の将来に思いをいたしますならば、答申が言わんとする趣旨については、必ずや国会を初めとして国民の皆様の大方の御賛同が得られるものと確信するものであります。
政府におかれても、本答申の趣旨にのっとり、当面講ずべき措置を取りまとめられ、いわゆる行革関連特例法案を初めとする関係法律案を国会に提出されたところであります。国会におかれましては、国権の最高機関たるお立場におかれまして十分御審議をいただくとともに、これらの改善措置ができるだけ速やかに実施に移されるよう、さらに一段の御尽力をいただくことを強く期待するものであります。
次に、この機会に、当調査会の審議状況及び今後の検討方針について御報告させていただきたいと存じます。
当調査会は、去る九月から行政改革の本番ともいうべき基本的課題につきまして本格的な検討に着手いたしました。すなわち、行政の果たすべき役割りといった行政改革を実施する際の物差しともいうべき基本理念を初めといたしまして、行政組織、国と地方の機能分担、特殊法人などのあり方につきまして根本的な見直しを行い、抜本的改革案を答申いたしたいと考えております。これらの検討課題については、当調査会の終期である昭和五十八年三月を待つまでもなく、来年六月、七月に予定しておりまする基本答申にできるだけ多くの具体的な改革方策を盛り込むこととしております。なお、審議の進展状況によりまして、一部の事項につきましては中間答申を提出することも考えてまいる所存であります。
本日は、第一次答申の起草委員をお願いいたしました圓城寺会長代理も出席いたしておりますので、答申の考え方なり審議状況などにつきまして、御質問をいただきますならばお答えしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
これで私のごあいさつは一応終わったのでありますが、一言付言させていただきますならば、私が老骨にもかかわらず臨調の会長をお引き受けいたしましたのは、このままでは日本の将来は、非常に問題が切迫しておる、西欧先進国の例から見ましても遠からずにっちもさっちもいかなくなるという状況であろうかと思うのであります。しかし、もしわが国がいま国の歩みを変えるならば、十分これに対しては対応できる時間があると思うので、鈴木総理も全力を尽くして行革の実行に邁進すると確約していただいたのであります。今回の臨調の仕事は国家に対するわれわれの最後の御奉公と考え、全力を尽くしたいと思いますが、何とぞ全面的な御支援を重ねてお願いいたす次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)