田中信の発言 (文教委員会)

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○参考人(田中信君) 本日は、日本学校健康会法案御審議の参考人としてお招きいただきましたが、御参考になれるかどうかわかりませんが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 私の考えておりますところを申し述べさせていただきますが、それに先立ちまして私の経歴を話させていただきます。
 現在は、社団法人全国学校栄養士協議会会長といたしまして、会員八千名とともに、二十一世紀を担う児童生徒の健康にとりましては学校給食がなくてはならないものである。その学校給食をより豊かなものにするために努力させていただいております。また、この三月までは、小学校の教員といたしまして給食主任もいたし、また管理栄養士の登録をいたしておりますので、栄養士の業務をも行ってまいりました。ただいまは栄養士養成施設の非常勤講師でございます。
 さて、このたびの日本学校給食会と日本学校安全会を統合いたしまして日本学校健康会を設立するということにつきましては、子供の健康を総合的に推進するということで、学校現場におきましては非常に大切なことであると存じます。その総合的に推進するということにつきましてもう少し詳しく申し述べさせていただきたいと思います。
 義務教育というところは、御案内のとおり、社会人としての基礎を築くところでございます。社会に出ますと、健康第一、健康であれば自分の持っている能力を十分に引き出すこともでき、またどのような職業につくこともできます。そのために学校では、「健康な生活とは」ということにつきまして各部門とも力を合わせて一丸となって努力いたしているものでございます。また、その方法といたしましては、子供の生活全般に手を入れるというやり方でなければ、その目的を達するということはなかなか困難でございます。そのためにどのように具体的にしているかということをもう少し述べさせていただきますと、もう十二月になりますと、かぜ引きがやってまいります。「かぜ引きを追い払うには」という指導目標が立てられますと、校内の体育とか保健とか安全、給食、生活指導、特活、PTAというものの部門がすべて「かぜ引きを振り払うには」というその点に集中して計画が立てられます。
 体育では、全校でマラソンをする、なわ跳びをする。保健では、薄着の励行、着物は何枚着ていますかという着物の枚数調べ、半ズボン、半くつ下でがんばりましょうと言います。また安全では、遊び時間は全部外へ出て遊びましょう、そのために運動場が込んでいますから、危ない遊びはやめて、器具も正しく使って、けがのないようにしましょうと言います。一方給食では、朝御飯は必ず食べてきてください、そうしてその食品の数は五つ以上なくてはいけません、数え方は、御飯で一つです、みそ汁を飲めば、みそ汁のみそで一つ、それからワカメが入ればワカメで三つ、豆腐で四つ、それでその上目玉焼きがあれば、油を引きますから油で一つ、卵で六つです、それにホウレンソウのおひたしでもつけば七つです、御飯、みそ汁、目玉焼き、ホウレンソウでもう七つになります、五つ以下ではいけませんというふうに具体的に申します。朝御飯が食べられなかったら体のどこかが悪いのですから、朝御飯が食べられた時点から学校に来てください、給食は残さず食べましょう、切っても切っても中まで緑の濃い野菜は、かぜの細菌を振り払う力がありますと申します。一方生活指導では、早寝早起き、朝起きたら、なわ跳び何回、庭の掃除をする、道路の掃除、部屋の掃除、そうして姿勢をよくして堂々と歩きなさい、しょぼしょぼしていれば、かぜの細菌はしょぼしょぼしているところに振りかかってきます、保健だの給食だの体育だのいろいろな目標を達成するには、すべて努力なしてはできません、努力、努力また努力でがんばりなさいと励まします。また特活では、その内容をポスターにいたしまして全校に張りめぐらせるというようにいたします。また教務では、その教育の内容をPTAに知らせて全面的な協力を仰ぐというように、各部門が一丸となって子供のかぜ引きというものに取り組むわけでございます。
 すなわち、子供の生活というものはどこがどの部門というふうに切り離せない総合されたものでございます。そのような観点から考えますと、このたびの安全会と給食会が一緒になるということは、それぞれの持っております力が十分に競合し合って一層発揮されるのではないかと存じます。
 また、もう一つこのたび考えておりますものは、学校給食といいますものはもう学校生活にとりましてなくてはならないものとなっております。そのために関係者は、向上、改善、充実のために一心不乱にならなければならないのでございますが、その方法については意見の違うところがございます。
 その一つの例を挙げますと、学校給食共同調理場でございますが、この点につきましても、市町村は、それぞれに抱えている事情によりまして、たとえば小規模校が多いとか、または給食場をつくる敷地がないとか、そのほかもろもろの経済事情によりまして、どうしても共同調理場でなければ実施できないということで、共同調理場建設の計画が進められますと、必ず反対運動が起こってまいります。この反対運動があるにもかかわらず、市町村は子供たちにとって早く給食をやってやりたいということで共同調理場実施に踏み切るわけでございますが、その際反対されたそれぞれの事項を埋めるために全力を挙げるのでございます。たとえば一番指摘される、遠いところから配送されるので冷めるという問題でございますが、この点につきましてもいろいろの工夫をして単独校と遜色のないようにするとか、または、離れたところで調理を行うのであるから子供の心と調理員の心が通わないというその欠点、すなわち教育である学校給食をどのようにその共同調理場の上に生かすかということで一心不乱になるのでございます。そうして、いろいろ実施される共同調理場による給食も、子供たちのためにとっては食事内容も向上されて本当に安心できるものになっているのでございます。私はこのことは、共同調理場云々ということを申し上げているのではなくて、このように多くの反対があるということは、その反対を埋める努力を関係者が一心不乱にするということを言っているのでございまして、このたびの健康会が誕生いたしますにつきましては、この委員会で諸先生方がたび重なる御審議をしているというそのことが、乙の両者が統合いたしますときに、いままで足りなかったことも十分に入れて、子供の健康を守るということだけではなくて、積極的に子供がその健康に立ち向かえる教育を育成する、そういう機関となるであろうということを私は確信いたしております。
 本日申し述べさせていただきましたことは、教育というものは総合的に成り立っている、どこがどうということを切り離すことができないものであるということと、もう一つ、いろいろ疑問をお持ちになって御審議いただくことがすなわち生まれる健康会にとって大変に有益な、プラスになるものであるということを申し述べさせていただきましたが、一日も早くこの日本学校健康会が設立いたしますことを願うものでございます。
 また、私が勤務いたしておりますところの学生の感想文がございますが、学校給食の重要性ということにつきまして二枚ほど読まさせていただきますのでお願いいたします。
 一つは給食の効果ということについてでございます。書きました者は養成施設の二年生でございます。
  私が小さい頃からよく母が言っていたことですが28お前は給食に随分助けられているんだよ。と、よく聞きました。私は未熟児で生まれ、生まれてすぐ肺炎にかかりそうになったり、心臓が弱かったり、からだが弱くて、両親も、28この子はちゃんと成長できるのだろうかと、心配していたそうです。しかし、小学校に入り、給食を好き嫌いなくきちんと食べ、よく遊び、運動していたらかぜなどあまりひくことなくじょうぶな子供になっていきました。こうやって自分のことをふり返って考えてみると、給食は子供の成長、発育になくてはならないものだと思います。特に中学時代は発育期のピークに達しているのだからぜひ必要だと思います。私は中学時代、給食があったことを非常に感謝しています。全国的にみると中学校の完全給食はまだまだ確立されていないようなので、一日も早く給食が実施されることを願ってます。
 もう一つは弁当についてでございます。
 私の中学生の時の生活は、朝はギリギリまで寝ていて朝食を少ししかとらず、昼は野菜類の少ないお弁当か菓子パン、クラブのあとに甘い菓子や清涼飲料水を口にし、夕食は油こいもの、そしてインスタントラーメンのような夜食……
 今から考えると背すじが寒くなるがあの頃は別に大した障害がなかったので何とも思わずこのような食生活を送っていた。
 一番おどろいたのは弁当は栄養的にかたよっているということである。母親が子供のために愛と知恵をしぼって作って下さるお弁当だから、栄養満点だと信じ込んでいたが、ビタミン類がとても少ないことに気づいた。
  私も現在自分でお弁当を作ってくるが本当にお弁当を作る苦労を感じている。水っぽいものやくさりやすいものは入れられないし、さめるとおいしくないので味付にも工夫がいる。味のちがうものをいっしょに入れると味がまざってまずいし、詰めるのにも苦労する。
  愛のこもったお弁当ではあってもわりと材料費もかかるので体をつくりあげる中学生時代にはやはり給食が向いていると思った。
  私の故郷では中学はどこも給食を行なっていないが、もし私が故郷で栄養士として働くなら、中学校も給食をとり入れるよう努力したいと思った。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 田中信

speaker_id: 481

日付: 1981-11-24

院: 参議院

会議名: 文教委員会