原田立の発言 (本会議)

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○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問を行います。
 第一に、中曽根政権の発足に当たっては、山積する内外の諸問題を放置したまま、四十数日間に及ぶ国民不在の派閥抗争を繰り広げ、政治空白をもたらし、国民の政治不信を大きくしたのであります。その上、先日行われた総理の所信表明を伺うに、「わかりやすい政治」「思いやりの心」「幸せの基盤である家庭」等と美辞麗句は並べておりますが、具体的方策が何ら示されておらず、国民にとってまことにわかりにくい政治になっており、期待の持てない政権と、不信の念はさらに高まっております。
 総理は所信表明で、「政治を支えるもの、それは国民の信頼である」と言っております。それならば総理みずからが、今日緊急の課題となっている証人喚問、議員辞職勧告などに対し、政治倫理の確立にリーダーシップをとることではありませんか。国会にゆだねるというのではなく、自民党総裁としても積極的に努力すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
 第二に、五十五年の衆参同時選挙以来、自民党内には「政治は力なり、力は金なり」というおごりが色濃くなっております。すなわち、五十一年に施行された政治資金規正法附則八条には、発足後五年を経過した段階で見直すことになっているにもかかわらず、それ以後二年に及ぶ間、全く放置しておくばかりでなく、逆に企業献金の制限緩和の方向に進んでいるのがその端的な姿であります。したがって、国民の信頼を取り戻すための政府の最優先課題は、金権腐敗の病根を断つための政治資金の規制強化が急務であると考えますが、総理、いかがですか。
 第三に、総理は、現行憲法について一定の評価を与えている半面、「時代や国民意識の変化に伴い憲法を見直す」との考えを明らかにし、あわせて自民党内の改憲運動は是認する旨の発言をしておりますが、その真意は那辺にあるのですか。どの条文を見直し、どのように改めようと考えているのか、具体的に答弁願いたいと思います。
 次に、外交、防衛について伺います。
 第一に、総理は、アメリカはわが国にとって最も重要なパートナーとして日米関係を重視すると述べ、新年早々レーガン大統領との首脳会談を予定しているようでありますが、会談に臨む総理の基本的な案件について明らかにしていただきたい。
 第二に、昨年五月訪米した鈴木前総理は、シーレーン防衛問題をめぐって国民の強い批判を浴びたことは周知のとおりであります。にもかかわらず、九月三十日に行われた日米防衛首脳定期協議では、三沢基地強化策を決め、またシーレーン防衛をめぐる共同研究、軍事技術協力、日米合同訓練についての協議、取り決めなどをあわせ考えるとき、専守防衛を掲げている政府の主張は、アメリカの軍事戦略のもとでなし崩し的に崩れようとしており、国民は強い危惧の念を抱かざるを得なくなっております。総理のお考えをお伺いしたい。
 第三に、さらに安全保障に関する基本姿勢の中で、総理は「軍事大国にならず」と明言しておりますが、今日、世界百六十五カ国の中で第八位の防衛費を持つに至っております。総理の言う「軍事大国」とはいかなる定義を言うのか、具体的に説明願いたい。
 第四に、総理はまた、近隣諸国に軍事的脅威を与えることのないよう配慮するとも述べていますが、現にインドネシア、フィリピンなどのASEAN諸国首脳は、わが国の防衛力強化、なかんずくシーレーン防衛について脅威となる旨の発言をし、危惧の念を明らかにしていますが、総理の見解はどうですか。
 第五に、貿易摩擦問題は、貿易立国として進まざるを得ないわが国にとってきわめて関心の強いところであります。日米首脳会談の際、農産物輸入等の対米貿易摩擦問題に対してどう対処されますか。また、対EOとの貿易摩擦問題への対応策も、この際あわせて御説明願います。
 次に、行政改革についてお伺いします。
 総理は、就任以来、行政改革の遂行を内閣の最大課題と位置づけておりますが、国鉄、電電、専売公社の民営化、省庁の統廃合など、どれ一つをとっても関係各方面から抵抗の強い難問題ばかりであります。果たして総理は、政治生命をかけて勇断をふるう決意があるのかどうか、今後の行政改革の実施について説明願いたい。
 次に、経済、財政問題についてお伺いいたします。
 第一に、鈴木内閣は国民に対し、「あと半年たてば景気がよくなる」「一年たてば財政はよくなる」と再三にわたり国民に約束してきましたが、すべて空手形に終わっております。政府は、当初実現不可能な五・二%の成長率をようやく撤回し、三・四%に下方修正しましたが、この三・四%すら実現できないというのが大方の見方であり、政府部内ですら目標達成が危ぶまれております。景気不況のあおりを受け、中小企業を初め関係産業の経営の悪化により、新規学卒者の就職難や、史上二番目の二・四八%の失業率を記録するなど、きわめて厳しい状況下にあります。政府は、これらの問題に対してどう対処されるのか伺いたい。
 第二に、政府は去る十月八日経済対策閣僚会議を開き、公共事業の上期繰り上げ発注の反動や輸出の減少から下期に景気が落ち込むのを最小限に食いとめるため、総事業規模二兆七百億円の公共投資の拡大を柱にした総合経済対策を決定しました。しかし、その中身は、予算の先食い、地方へのツケ回し、水増し見積もりなど数字の魔術を駆使して粉飾しており、早くも年度内効果が疑問視されています。いま政府がなすべきことは、幻と化した鈴木前内閣の「五十九年度までに赤字国債ゼロ」「増税なき財政再建」という二大公約について、早急に国民の理解、協力を得るための努力が先決です。すなわち、経済の安定成長を確保しながら財政の健全化をどのような手順、日程、手段で進めていくのかという中期的政策路線を明示することではないでしょうか。所見をお伺いします。
 第三に、いま政府が策定中の新経済五カ年計画は、その見通しの判断の基礎となるきわめて重要な計画であることは申すまでもございません。この新経済五カ年計画における基本的姿勢はいかなるものか、また、いままでの新経済社会七カ年計画とはいかなる点が異なるのか、示していただきたいのであります。
 第四に、政府は景気対策の一環として、住宅建設促進のため公庫の融資枠を三万戸追加し、自己資金分を含めた水増し見積もりで三千億円の事業規模の拡大を図るとしております。しかし、住宅取得能力が低下し、今後も可処分所得が増加することが期待できず、しかも住宅ローン控除の拡大も盛り込めなかったことから、早くも「これでは住宅不況は解消しない」との声が聞かれる状況です。政府は年度内の新規住宅着工戸数の見通しはどの程度としていますか、伺います。
 また、こうした住宅不況の事態の中で、十月から住宅金融公庫融資に段階金利制を導入したのを初め、土地投機再燃につながるおそれのある土地譲渡税再緩和の方針を打ち出すなど、建設促進に逆行するような姿勢を見せていることには賛成できません。この際、高過ぎる住宅価格、また、買い手の所得の伸び悩みという住宅不況の根本課題に抜本的に施策の見直しを図るべきだと思いますが、どうですか。
 さらに、今年度下期の中小建設業界の景況は、今回の追加公共投資の規模から見て、引き続き受注の落ち込み、完工高の減少、資材価格の上昇などから収益性の低迷が長期化し、きわめて厳しい状況となっています。したがって、分割発注の促進など受注機会の確保、拡大に努めるべきだと思いますが、いかがですか。
 関連して、公共事業の配分に当たっては、用地購入費がほとんどかからない危険河川の改修、すでに工事に取りかかっている準備工事の不要な事業、用地手当て済みの事業、橋やトンネルなど用地補償比率が低く波及効果が大きな事業、新興商業都市の街路整備など民間投資誘発が期待できる事業を優先すべきではないかと考えますが、いかがですか。
 次に、財政再建問題ですが、五十六年度三兆三千億円の歳入不足に続いてことしも六兆円を超える大幅税収不足によって、鈴木内閣の五十九年度赤字国債脱却の財政再建路線は完全に破綻しています。政府予算の国債依存度で見ると、当初ベースでは着実な低下が見られるものの、決算ベースでは五十一年度補正以来三割依存が続き、全く再建が進んでいないことが明らかであります。来年度以降、安易な増税による財政再建構想が新聞等で報じられ、国民は非常に不安の念を強くしています。財政再建に対する政府の基本姿勢と具体策をお伺いいたします。
 また、国債発行の増大により、その発行残高は今回の補正予算で九十七兆円になり、国民一人当たり八十八万円、四人家族の標準世帯で三百五十二万円の借金をしていることであります。これからさらに国債発行の減額はきわめて厳しい現状であります。昭和六十年以降急増する赤字国債の償還について、国債の借りかえは行わないと確約できるのかどうか、今後の国債管理政策について総理の考えをお聞きしたい。
 次に、五十七年度補正予算についてお伺いいたします。
 第一に、補正の内容は政府の税収過大見積もりの穴埋め補正であります。すなわち三兆九千二百四十億円もの公債増発と地方交付税の減額や国債定率繰り入れの停止、さらには公務員給与の凍結などの歳出圧縮が柱となっており、当初における政府の税収過大見積もりの穴埋めだけに終わっています。深刻な不況のてこ入れは、国庫債務負担行為五千億円の約束手形の振り出しにすぎません。さらに、地方交付税が補正予算のおくれからその交付が延期されておりますが、地方行財政の円滑な執行のための措置はどう講じられ、万全が期せられているのか、お伺いします。
 第二に、国債定率繰り入れの停止は、健全財政の枠組みを後退させ、国債管理政策への国民の不安を高め、中長期的に見ても国債依存からの脱却困難なわが国財政の運営にとって、近いうちに悪い影響が出ることは必至であります。定率繰り入れ停止について納得できる説明を求めます。
 次に、当面の課題である人勧問題について伺います。
 人事院勧告の完全凍結によって、当初に計上した一%分の六百七十億円の給与改善費も取り崩されていますが、公共企業体の仲裁裁定議決案件の速やかな決定とともに、単に勧告を財政難だけの観点で判断せず、労使関係の安定、労働三権の憲法保障の点から政府の再考を強く求めます。
 公務員給与凍結が来年春闘の民間賃金の抑制にまで悪用され、国民生活や景気の観点から縮小再生産の危険があり、ひいては税収減につながることはだれが見ても明らかであります。私は、政府が勇断をもって、人事院勧告凍結の早期撤回を強く求めるものであります。政府の見解をお聞きしたい。
 最後に、減税と公共料金問題についてお伺いします。
 第一に、五十二年から昨年までの家計の所得の伸びは二一%程度ですが、所得税額の伸び率は七〇・三%にもなっています。加えて物価は所得の伸びを上回って二一・八%にも上昇しています。これでは国民生活が苦しくなるのは当然であります。国民の税負担を軽減し、消費の拡大、景気回復を図り、財政再建を進める上からも、わが党が繰り返し主張してきた一兆円所得税減税を即刻実施すべきです。いかがですか。
 第二に、財政再建との絡みで、来年度は国鉄運賃を初め、たばこ、消費者米麦価等の公共料金の値上げがメジロ押しであります。所得の増加が望めない中で家計はますます苦しくなるばかりです。政府はこれらの問題についてどう対処されるのか、具体策を伺います。
 以上、各方面からお聞きしましたが、中曽根総理に対して多くの国民は期待を持つとともに大きな不安を抱いております。総理、言葉のみでなく、行動をもって国民が信頼する政治を実現されんことを要望し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109715254X00519821210_007

発言者: 原田立

speaker_id: 406

日付: 1982-12-10

院: 参議院

会議名: 本会議