本会議

1982-12-10 参議院 全52発言

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会議録情報#0
昭和五十七年十二月十日(金曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第五号
  昭和五十七年十二月十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
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徳永正利#1
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、検査官に辻敬一君を、
 原子力委員会委員に向坊隆君を、
 公正取引委員会委員長に高橋元君を、
 公害健康被害補償不服審査会委員に及川冨士雄君、榊孝悌君、中島二郎君を、
 社会保険審査会委員に月橋得郎君を、
 運輸審議会委員に亀山信郎君を、
 電波監理審議会委員に菊池稔君を、
 日本放送協会経営委員会委員に磯田一郎君を、
 日本電信電話公社経営委員会委員に松井政吉君を、
 地方財政審議会委員に石川一郎君、木村元一君、立田清士君、知野虎雄君、松島五郎君を
任命したことについて、それぞれ本院の承認または同意を求めてまいりました。
 まず、検査官、日本放送協会経営委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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徳永正利#2
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも承認または同意することに決しました。
 次に、原子力委員会委員、公正取引委員会委員長、運輸審議会委員、電波監理審議会委員及び公害健康被害補償不服審査会委員のうち中島二郎君、地方財政審議会委員のうち石川一郎君、木村元一君、立田清士君、松島五郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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徳永正利#3
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも承認または同意することに決しました。
 次に、公害健康被害補償不服審査会委員のうち及川冨士雄君、榊孝悌君、地方財政審議会委員のうち知野虎雄君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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徳永正利#4
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも承認または同意することに決しました。
 次に、社会保険審査会委員、日本電信電話公社経営委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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徳永正利#5
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも承認することに決しました。
     ─────・─────
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徳永正利#6
○議長(徳永正利君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。原田立君。
   〔原田立君登壇、拍手〕
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原田立#7
○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問を行います。
 第一に、中曽根政権の発足に当たっては、山積する内外の諸問題を放置したまま、四十数日間に及ぶ国民不在の派閥抗争を繰り広げ、政治空白をもたらし、国民の政治不信を大きくしたのであります。その上、先日行われた総理の所信表明を伺うに、「わかりやすい政治」「思いやりの心」「幸せの基盤である家庭」等と美辞麗句は並べておりますが、具体的方策が何ら示されておらず、国民にとってまことにわかりにくい政治になっており、期待の持てない政権と、不信の念はさらに高まっております。
 総理は所信表明で、「政治を支えるもの、それは国民の信頼である」と言っております。それならば総理みずからが、今日緊急の課題となっている証人喚問、議員辞職勧告などに対し、政治倫理の確立にリーダーシップをとることではありませんか。国会にゆだねるというのではなく、自民党総裁としても積極的に努力すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
 第二に、五十五年の衆参同時選挙以来、自民党内には「政治は力なり、力は金なり」というおごりが色濃くなっております。すなわち、五十一年に施行された政治資金規正法附則八条には、発足後五年を経過した段階で見直すことになっているにもかかわらず、それ以後二年に及ぶ間、全く放置しておくばかりでなく、逆に企業献金の制限緩和の方向に進んでいるのがその端的な姿であります。したがって、国民の信頼を取り戻すための政府の最優先課題は、金権腐敗の病根を断つための政治資金の規制強化が急務であると考えますが、総理、いかがですか。
 第三に、総理は、現行憲法について一定の評価を与えている半面、「時代や国民意識の変化に伴い憲法を見直す」との考えを明らかにし、あわせて自民党内の改憲運動は是認する旨の発言をしておりますが、その真意は那辺にあるのですか。どの条文を見直し、どのように改めようと考えているのか、具体的に答弁願いたいと思います。
 次に、外交、防衛について伺います。
 第一に、総理は、アメリカはわが国にとって最も重要なパートナーとして日米関係を重視すると述べ、新年早々レーガン大統領との首脳会談を予定しているようでありますが、会談に臨む総理の基本的な案件について明らかにしていただきたい。
 第二に、昨年五月訪米した鈴木前総理は、シーレーン防衛問題をめぐって国民の強い批判を浴びたことは周知のとおりであります。にもかかわらず、九月三十日に行われた日米防衛首脳定期協議では、三沢基地強化策を決め、またシーレーン防衛をめぐる共同研究、軍事技術協力、日米合同訓練についての協議、取り決めなどをあわせ考えるとき、専守防衛を掲げている政府の主張は、アメリカの軍事戦略のもとでなし崩し的に崩れようとしており、国民は強い危惧の念を抱かざるを得なくなっております。総理のお考えをお伺いしたい。
 第三に、さらに安全保障に関する基本姿勢の中で、総理は「軍事大国にならず」と明言しておりますが、今日、世界百六十五カ国の中で第八位の防衛費を持つに至っております。総理の言う「軍事大国」とはいかなる定義を言うのか、具体的に説明願いたい。
 第四に、総理はまた、近隣諸国に軍事的脅威を与えることのないよう配慮するとも述べていますが、現にインドネシア、フィリピンなどのASEAN諸国首脳は、わが国の防衛力強化、なかんずくシーレーン防衛について脅威となる旨の発言をし、危惧の念を明らかにしていますが、総理の見解はどうですか。
 第五に、貿易摩擦問題は、貿易立国として進まざるを得ないわが国にとってきわめて関心の強いところであります。日米首脳会談の際、農産物輸入等の対米貿易摩擦問題に対してどう対処されますか。また、対EOとの貿易摩擦問題への対応策も、この際あわせて御説明願います。
 次に、行政改革についてお伺いします。
 総理は、就任以来、行政改革の遂行を内閣の最大課題と位置づけておりますが、国鉄、電電、専売公社の民営化、省庁の統廃合など、どれ一つをとっても関係各方面から抵抗の強い難問題ばかりであります。果たして総理は、政治生命をかけて勇断をふるう決意があるのかどうか、今後の行政改革の実施について説明願いたい。
 次に、経済、財政問題についてお伺いいたします。
 第一に、鈴木内閣は国民に対し、「あと半年たてば景気がよくなる」「一年たてば財政はよくなる」と再三にわたり国民に約束してきましたが、すべて空手形に終わっております。政府は、当初実現不可能な五・二%の成長率をようやく撤回し、三・四%に下方修正しましたが、この三・四%すら実現できないというのが大方の見方であり、政府部内ですら目標達成が危ぶまれております。景気不況のあおりを受け、中小企業を初め関係産業の経営の悪化により、新規学卒者の就職難や、史上二番目の二・四八%の失業率を記録するなど、きわめて厳しい状況下にあります。政府は、これらの問題に対してどう対処されるのか伺いたい。
 第二に、政府は去る十月八日経済対策閣僚会議を開き、公共事業の上期繰り上げ発注の反動や輸出の減少から下期に景気が落ち込むのを最小限に食いとめるため、総事業規模二兆七百億円の公共投資の拡大を柱にした総合経済対策を決定しました。しかし、その中身は、予算の先食い、地方へのツケ回し、水増し見積もりなど数字の魔術を駆使して粉飾しており、早くも年度内効果が疑問視されています。いま政府がなすべきことは、幻と化した鈴木前内閣の「五十九年度までに赤字国債ゼロ」「増税なき財政再建」という二大公約について、早急に国民の理解、協力を得るための努力が先決です。すなわち、経済の安定成長を確保しながら財政の健全化をどのような手順、日程、手段で進めていくのかという中期的政策路線を明示することではないでしょうか。所見をお伺いします。
 第三に、いま政府が策定中の新経済五カ年計画は、その見通しの判断の基礎となるきわめて重要な計画であることは申すまでもございません。この新経済五カ年計画における基本的姿勢はいかなるものか、また、いままでの新経済社会七カ年計画とはいかなる点が異なるのか、示していただきたいのであります。
 第四に、政府は景気対策の一環として、住宅建設促進のため公庫の融資枠を三万戸追加し、自己資金分を含めた水増し見積もりで三千億円の事業規模の拡大を図るとしております。しかし、住宅取得能力が低下し、今後も可処分所得が増加することが期待できず、しかも住宅ローン控除の拡大も盛り込めなかったことから、早くも「これでは住宅不況は解消しない」との声が聞かれる状況です。政府は年度内の新規住宅着工戸数の見通しはどの程度としていますか、伺います。
 また、こうした住宅不況の事態の中で、十月から住宅金融公庫融資に段階金利制を導入したのを初め、土地投機再燃につながるおそれのある土地譲渡税再緩和の方針を打ち出すなど、建設促進に逆行するような姿勢を見せていることには賛成できません。この際、高過ぎる住宅価格、また、買い手の所得の伸び悩みという住宅不況の根本課題に抜本的に施策の見直しを図るべきだと思いますが、どうですか。
 さらに、今年度下期の中小建設業界の景況は、今回の追加公共投資の規模から見て、引き続き受注の落ち込み、完工高の減少、資材価格の上昇などから収益性の低迷が長期化し、きわめて厳しい状況となっています。したがって、分割発注の促進など受注機会の確保、拡大に努めるべきだと思いますが、いかがですか。
 関連して、公共事業の配分に当たっては、用地購入費がほとんどかからない危険河川の改修、すでに工事に取りかかっている準備工事の不要な事業、用地手当て済みの事業、橋やトンネルなど用地補償比率が低く波及効果が大きな事業、新興商業都市の街路整備など民間投資誘発が期待できる事業を優先すべきではないかと考えますが、いかがですか。
 次に、財政再建問題ですが、五十六年度三兆三千億円の歳入不足に続いてことしも六兆円を超える大幅税収不足によって、鈴木内閣の五十九年度赤字国債脱却の財政再建路線は完全に破綻しています。政府予算の国債依存度で見ると、当初ベースでは着実な低下が見られるものの、決算ベースでは五十一年度補正以来三割依存が続き、全く再建が進んでいないことが明らかであります。来年度以降、安易な増税による財政再建構想が新聞等で報じられ、国民は非常に不安の念を強くしています。財政再建に対する政府の基本姿勢と具体策をお伺いいたします。
 また、国債発行の増大により、その発行残高は今回の補正予算で九十七兆円になり、国民一人当たり八十八万円、四人家族の標準世帯で三百五十二万円の借金をしていることであります。これからさらに国債発行の減額はきわめて厳しい現状であります。昭和六十年以降急増する赤字国債の償還について、国債の借りかえは行わないと確約できるのかどうか、今後の国債管理政策について総理の考えをお聞きしたい。
 次に、五十七年度補正予算についてお伺いいたします。
 第一に、補正の内容は政府の税収過大見積もりの穴埋め補正であります。すなわち三兆九千二百四十億円もの公債増発と地方交付税の減額や国債定率繰り入れの停止、さらには公務員給与の凍結などの歳出圧縮が柱となっており、当初における政府の税収過大見積もりの穴埋めだけに終わっています。深刻な不況のてこ入れは、国庫債務負担行為五千億円の約束手形の振り出しにすぎません。さらに、地方交付税が補正予算のおくれからその交付が延期されておりますが、地方行財政の円滑な執行のための措置はどう講じられ、万全が期せられているのか、お伺いします。
 第二に、国債定率繰り入れの停止は、健全財政の枠組みを後退させ、国債管理政策への国民の不安を高め、中長期的に見ても国債依存からの脱却困難なわが国財政の運営にとって、近いうちに悪い影響が出ることは必至であります。定率繰り入れ停止について納得できる説明を求めます。
 次に、当面の課題である人勧問題について伺います。
 人事院勧告の完全凍結によって、当初に計上した一%分の六百七十億円の給与改善費も取り崩されていますが、公共企業体の仲裁裁定議決案件の速やかな決定とともに、単に勧告を財政難だけの観点で判断せず、労使関係の安定、労働三権の憲法保障の点から政府の再考を強く求めます。
 公務員給与凍結が来年春闘の民間賃金の抑制にまで悪用され、国民生活や景気の観点から縮小再生産の危険があり、ひいては税収減につながることはだれが見ても明らかであります。私は、政府が勇断をもって、人事院勧告凍結の早期撤回を強く求めるものであります。政府の見解をお聞きしたい。
 最後に、減税と公共料金問題についてお伺いします。
 第一に、五十二年から昨年までの家計の所得の伸びは二一%程度ですが、所得税額の伸び率は七〇・三%にもなっています。加えて物価は所得の伸びを上回って二一・八%にも上昇しています。これでは国民生活が苦しくなるのは当然であります。国民の税負担を軽減し、消費の拡大、景気回復を図り、財政再建を進める上からも、わが党が繰り返し主張してきた一兆円所得税減税を即刻実施すべきです。いかがですか。
 第二に、財政再建との絡みで、来年度は国鉄運賃を初め、たばこ、消費者米麦価等の公共料金の値上げがメジロ押しであります。所得の増加が望めない中で家計はますます苦しくなるばかりです。政府はこれらの問題についてどう対処されるのか、具体策を伺います。
 以上、各方面からお聞きしましたが、中曽根総理に対して多くの国民は期待を持つとともに大きな不安を抱いております。総理、言葉のみでなく、行動をもって国民が信頼する政治を実現されんことを要望し、私の質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 原田議員にお答えを申し上げます。
 まず最初に、自民党の総裁公選を機に約四十日間の政治空白が生じまして、国民の皆様方にいろいろ御迷惑をおかけいたしましたことにつきましては、心から遺憾の意を表する次第でございます。政府といたしましてこれから実績を上げまして、これを取り返してまいりたいと思います。
 証人喚問及び議員辞職問題等について御質問がございました。
 いずれもこれらは国会議員の規律や身分に関する国会としての重要問題でございまして、各党において御協議をいただいておるところであり、その推移を見たいと思っております。私は行政府の長といたしまして、このような国会の事項につきましていろいろ意見を申し上げる立場ではございませんので、各党の意見が一致いたしまして早期にそれが実現することを期待しておるものでございます。
 なお、議員辞職の問題でございますが、国権の最高機関である国会の議員と、これを選出する主権者たる国民とのきずなを断ち切るということは、よほど慎重を要するものであると考えております。国会は国権の最高機関でございまして、いわば主権を構成する重要な機能の一部を持っておるところであり、選挙はこの主権を構成するための非常に重要な一つの場面でございます。そういう関係を通じて議員は選出されておりますので、議員と選挙民の関係を断ち切るという点については慎重でなければならぬとかねがね考えておったところでございます。これらの問題は本人みずからが判断すべきことが適当であると考えております。
 次に、政治資金規正法の問題について御質問がございました。
 政治資金につきまして、これを清潔、浄化していくということは御指摘のとおりきわめて大事であり、民主主義の根幹に触れる問題であるとも考えております。しかし、政治資金の問題は一面におきまして選挙制度のあり方等の問題とも関係もあり、また各党のよって立つ財政基盤にも関係しているところでございまして、今後の各党の政治活動そのものにも影響してくる重大な問題であります。したがいまして、各党間で十分論議を尽くして合意を形成していただくことが重要ではないかと考えております。
 憲法問題について御質問がございました。
 私は、先般来申し上げますように、戦前と戦後の日本を比べてみます場合に、現憲法が果たした大きな歴史的役割りを評価しておる者の一人でございます。しかし、いかなる制度あるいは法律等におきましても完全というものはないのでございまして、常によりよきものへ志向して勉強し、検討し、研究するということは、これは正しい態度であると考えておるのであります。私は、憲法改正問題を現内閣は政治日程にのせない、そういうことを申しておるのでございまして、個々の条文についての具体的意見は内閣総理大臣といたしまして差し控えたいと考える次第でございます。
 日米会談の基本的案件、条件等について御質問がございました。
 一月に予定しておりまする訪米の際は、微妙に変化しつつある国際情勢あるいは日米間の諸問題等々につきましてレーガン大統領と隔意なき懇談を遂げまして、相互の理解を深め、かつ日米間の信頼をさらに強化するという努力をしてみたいと考えておるところでございます。
 その中で、日米防衛協力問題等について御質問がございましたが、私は、前から申し上げますように、日本の防衛の基本は、まず第一にみずからの国はみずから守るということ、第二番目に、足りないところは友好国と安全保障体系を結成いたしまして協力して守るということ、第三番目は、これにふさわしい環境を整備すること、たとえば備蓄の問題もあり、あるいは平和外交、軍縮問題、国際世論の喚起等々もございます。いわゆる総合的安全保障政策と言われる部分でございましょう。これらの組み合わせによりまして日本の安全保持をやっていきたいと思っておるわけでございますが、アメリカは、第二番目に当たります日米安全保障体系の重要な相手方でありまして、この日本とアメリカの間に信頼性を強めていくということは政治家として心得べきことであると考えておるのであります。いずれにしても、われわれは平和憲法のもとに専守防衛に徹する、そういう基本的防衛政策に徹しまして推進してまいりたいと考えるわけでございます。
 軍事大国とはいかんという御質問でございましたが、わが国は、専守防衛のもとに非核三原則を堅持して、自衛のために必要最小限度の範囲内で節度ある防衛力を整備するという方針でございます。この範囲を超えまして他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持することになれば、それはいわゆる軍事大国ではないかと思います。わが国はこのようなものを目指しているものでないことはもとよりのことでございます。
 近隣諸国の懸念について御質問がございました。
 いわゆるシーレーンの問題は、わが国の防衛力の整備の一つの部分といたしまして輸送航路帯等を検討しておるわけでございます。いずれもこれらは先ほど申し上げました専守防衛の範囲内において考えておるものでございまして、近隣諸国に何ら脅威を与える性格のものではございません。
 なお、これらの諸国の一部に若干の反応はございましたが、外交当局が努力いたしまして、事情を御説明申し上げまして御理解をいただいたと聞いております。なお今後とも誤解が生じないように努力してまいるつもりでございます。
 貿易摩擦、特に農業問題について御質問がございましたが、いままでわが国は数次にわたりまして農産物等についても自由化あるいは規制の解除等を行ってきておるわけでございます。わが国の農業にはわが国特有の特異性がございます。そういう事情もよく相手方に説明をし、また相手方の意見も十分よく聞いて、そうして相互に理解を得る妥当な結論を得るように努力してまいりたいと思っております。
 行政改革につきましては、行政改革は現下の最大政治課題の一つでありまして、政府は一体となって取り組む考えでございます。当面の具体的政策は、九月二十四日に決めました行政改革大綱を順次実現していくということでございます。
 具体的には、今国会に御提案申し上げました国鉄再建臨時措置法案を成立させること、次期通常国会を目途に提出をいま準備して努力しておりまする四共済年金の統合問題、それから公社の改革問題、電電、専売、国鉄に関する問題でございます。それから予算編成その他において立案ないし調整すべきものといたしまして、国鉄再建緊急対策十項目の推進、国民医療費適正化対策、それから食管等の財政負担軽減対策、それから補助金等の整理等の問題を来年度予算編成とあわせまして努力してまいるつもりでございます。
 景気対策について御質問がございました。
 経済の現状は先進諸国に比べますれば比較的日本は良好であると思いますが、景気の足取りは力強さを欠いております。したがいまして、公共投資の推進、住宅建設の促進、中小企業対策、災害対策、不況産業対策、内需の拡大及び雇用対策等を中心とする総合経済対策を先般決定いたしまして、その一部として今回補正予算にも項目を計上しておる次第でございます。
 政府は、経済成長率につきましては、五十七年度の実質成長率を三・四%に改定いたしました。この三・四%程度は可能であると考えております。今後とも内外の経済動向を注目しながら機動的な対策をとるべく考えておるところでございます。
 財政再建につきましては、五十九年度赤字公債脱却という考え方は最近の数字を見まして著しく困難になってきたと考えております。したがいまして、経済七カ年計画に対しまして新しい新五カ年計画をいま策定中でございます。この五カ年計画と見合いまして財政再建の新しい計画を策定すべくいま準備、努力しておる最中でございます。
 最近の情勢が第二次石油危機を経まして非常な世界経済の冷却化と同時に、わが国財政収入の落ち込みが顕著に出てまいりました。そういう場面も踏まえまして、経済計画につきましては、より着実な現実的な観点を取り入れる。それと同時に、将来に対する展望あるいは未来に対する希望も持てるような経済計画でなければならぬと思っておりまして、それらについてせっかく経済企画庁を中心にしてつくっていただいておる最中でございます。
 それから財政再建の具体的方策につきましては、今後とも重要な課題といたしまして、歳出の見直し、合理化の徹底、それから五十八年度予算の編成におきましても一般歳出を前年度同額に圧縮する意気込みで努力して、この歳出構造につきまして検討を加えます。それと同時に、歳入構造につきましても、増税なき財政再建の基本線を維持しつつ、歳入構造の見直しを行いたいと考えております。
 国債処理につきまして御質問がございましたが、これは大蔵大臣に答弁をお願いいたしたいと思っております。
 地方交付税の交付繰り延べに対する措置につきましては、地方交付税の十一月交付分につきましてはすでにその一部を実施しております。残余の額は、交付税特別会計において資金運用部から借り入れる必要がありますために、その根拠法となる地方交付税法等の一部を改正する法律案の成立を待ちまして、可及的速やかに地方団体に交付する予定でおります。
 仲裁裁定につきましてはすでに申し上げましたとおり、与野党間でその取り扱いに関し合意が成立いたしまして、国会の御判断に従う考え方でございます。与野党間の合意は、十二月七日に、仲裁裁定については今国会中に裁定どおり議決いたしますということであります。
 人事院勧告につきましては、労働基本権の制約、良好な労使関係の維持等に配慮しつつ検討しておるところでございますが、未曾有の危機的な財政事情のもとにおきまして公務員の皆様方にも痛みを分かち合っていただかなければならない、まことにやむを得ざる残念な措置として、そして特例の異例の措置として給与改定の見送りを決定した次第でございます。
 減税問題につきましては、衆議院大蔵委員会の小委員会におきまして、財源を模索しつつ、いまその具体的方途を策定中でございます。この与野党の合意が得られましたならば、これを尊重して実施いたしたいと考えております。
 財政再建の推進を図りつつ、景気の着実な回復を図り雇用の安定を確保するために、先般、内需の拡大あるいは不況対策等の総合経済対策を決定いたしましたが、これらの経済対策を一面に推進すると同時に、御趣旨に沿いまして政治の倫理の向上、国民生活に密着した政治のあり方を探求しつつ懸命の努力をいたしたいと思っております。
 以上で御答弁を終わりにいたします。拍手
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
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安倍晋太郎#9
○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えをいたします。
 最近、とみに激しくなってまいりました日米の経済摩擦、さらに日欧の経済摩擦に対してどう対処すべきかというお尋ねでございますが、欧米におきましては、御承知のように失業問題の悪化等の非常に困難な経済状況のもとにおきまして、わが国との経済摩擦は日々厳しくなっておるわけでございます。こうした中にあって、農産物を含む日米間の諸問題については、わが国の実情や、あるいはまたこれまでとってまいりました市場開放措置等を十分米国側に説明する一方、わが国といたしましても欧米との友好関係及び自由貿易体制の維持強化を図る、こういう観点から一層の市場開放へ向けてのできるだけの努力を行う必要があると考えておるわけでございます。
 また、ECとの間では、現在東京で貿易協議が進行中でございますが、基本的には米国に対応するのと同様の精神で対処してまいりたいと考えておるわけであります。拍手
   〔国務大臣塩崎潤君登壇、拍手〕
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塩崎潤#10
○国務大臣(塩崎潤君) 原田議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず第一は、新経済五カ年計画の問題でございます。
 この計画は、現行の経済社会七カ年計画について、昭和五十四年八月の計画策定後に生じました顕著な経済的、社会的な変化を取り入れて抜本的な見直しをしようとするものであります。顕著な変化とは、まず第一に、第二次石油危機の影響によって世界貿易あるいは経済成長率が計画の想定を下回って低下していることであります。第二は、エレクトロニクスを中心とした技術革新の進展でございます。第三には、女子労働力の進出といった労働市場の構造変化などであります。
 新計画の基本的な方向は、このような変化に対応しながら、まず第一に、国際経済摩擦の解消を図りながら自由貿易体制を維持することを基本として世界経済の発展に積極的に貢献していくこと、第二は、来るべき高齢社会に備えるとともに、生活の質的向上を実現して安定した福祉社会を築いていくこと、第三には、技術開発等を中心として積極的に経済社会の活力を維持形成していくこと等でありまして、これらをねらいとして経済審議会で各界の御意見を伺いながら鋭意検討してまいりたいと存じます。
 次に、公共料金に関する御質問にお答え申し上げます。
 まず、物価の安定は国民生活の基本であり、他の商品などの自由な価格と違って、公共料金は政府みずからが決定しあるいはコントロールする価格でございますので、経済企画庁としては、いかなる場合においても公共料金につきまして十分監視、厳正に取り扱いたいと思います。
 以上でございます。拍手
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
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竹下登#11
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、財政再建の基本姿勢につきましては総理からお答えがありました。したがって、特に国債管理政策を中心とする御質問に対してお答えをいたします。
 まず、昭和六十年度以降赤字国債の償還が急増していく、そのとおりであります。したがいまして、当面はとにかく特例公債の発行そのものの縮減に全力を挙げていく、これが基本でありまして、公債償還の問題につきましては、それこそ今後幅広く検討していく課題であると、このように考えております。
 そして、この国債管理政策ということになりますと、とにかく財政負担の軽減を図りながら国債の発行、消化、流通、償還の各局面にわたりまして、国民経済に国債が円滑に受け入れられるような配慮をすることがまず必要であります。したがって、今日までもいろいろ工夫をしてまいりました。五年割引国債の創設でありますとか中期利付国債の発行でありますとか、その多様化を図ってきたことでございますが、今後とも市場の動向あるいは投資家のニーズ等を勘案しながら国債の種類の多様化を図るなど国債管理政策の適時適切な運営に努力をしてまいりたい、このように考えておるところであります。
 そうして、このたびのいわゆる定率繰り入れの問題につきましては、まさにこの財政事情等から考えますとやむを得ざる措置としてお許しをいただこうと、こういう措置でございます。しかし公債の償還に支障を生ずることはない、こういう前提に立っておることを申し上げておきます。
 さらに、予算委員会のたびごとにお示しいたしておりますいわゆる財政の中期展望、こういうような問題につきましても、新経済計画の検討状況とか五十八年度予算編成の状況等を見きわめながらその作成について検討をしてまいりたい。
 以上でお答えを終わります。拍手
   〔国務大臣内海英男君登壇、拍手〕
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内海英男#12
○国務大臣(内海英男君) お答えいたします。
 昭和五十七年度内新規住宅着工戸数の見通しにつきましては、昭和五十七年四月から十月までの建設戸数は約七十一万戸、前年同期に比べまして約一万戸の減となっております。しかし、最近四カ月間連続して前年同月を上回っておりまして、本年度におきましてはほぼ前年度並みの百十四万戸前後に達するものと考えております。
 次に、今後の住宅対策につきましては、政府においては、昭和五十七年度に住宅金融公庫を中心とした公的住宅金融の拡充、住宅・土地税制の大幅な改正等の諸施策を講ずるとともに、十月八日の総合経済対策において住宅金融公庫の貸付枠の追加、住宅改良貸し付けの貸付限度額の引き上げを行うなど総合的な対策を講じているところであります。今後とも、国民の居住水準の向上を図るとともに、住宅投資の拡大による経済の安定的発展に資するため、住宅建設の促進、既存ストックの有効活用等について適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公共事業の分割発注の促進等により受注機会の確保の拡大に努めるべきではないかとの御質問でございますが、この点につきましては、建設業の大半を占める中小建設業の振興を図るとともに、景気刺激効果を末端に浸透させるためにも、公共工事について地元建設業者等中小建設業者の受注機会の確保が緊要であると考えております。
 このため建設省においては、かねてより所管事業の執行に当たりましては、事業の効率的施工に配慮しつつ、一、分割発注の推進、二、発注標準の遵守、三、共同請負制度の活用等の手段により、地元建設業者等中小建設業者の受注機会の確保に努めているところでありますが、今後とも同様の措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、用地補償比率が低く、経済波及効果の大きな事業に優先配分すべきではないかという御質問でございましたが、公共事業は、各公共施設の整備状況、地域住民の要請等を踏まえ、地域の実情に即して計画的に実施することが必要であります。しかしながら、現在のような経済情勢のもとにおきましては、景気の維持拡大に資するという配慮も必要であると考えております。公共事業の執行に当たりましては、今後とも御指摘の点につきまして十分配慮をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。拍手
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徳永正利#13
○議長(徳永正利君) 下田京子君。
   〔下田京子君登壇、拍手〕
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下田京子#14
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問いたします。
 総理、あなたは家庭を大切にする政治を行うとおっしゃいました。しかし、どれほど本気でお考えでしょうか。
 昨年、北炭夕張で保安無視のためとうとい命を奪われた九十三名の御遺族の皆さん、そしてことし首を切られた二千名を超える労働者とその家族の皆さんが、いまこの厳しい北海道での冬をどんな思いで過ごされているか、総理は御存じでしょうか。
 「お父さんは、もう帰ってこない。わが家もシーンとしている。お父さんが「ただいま」って帰ってきたらなあ」――父親を失った夕張の子供の詩です。
 総理、あなたのおっしゃる家庭の団らんをこの子供から奪ったのはだれですか。働きたくとも働く場所がない、働いても暮らしが成り立たない、このまま行ったらわれわれの暮らしはどうなるのか。これは、労働者はもちろん商店や農家の皆さんの共通の不安であり、訴えであります。総理、いま国民が求めているのは、あなたのおっしゃるそらぞらしい言葉ではありません。国民の不安にしっかりと目を向け、耳を傾ける政治をこそ願っております。
 そこで、お尋ねします。
 総理、あなたは、「政治を支えるもの、それは国民の信頼である」と言われました。ところがどうですか。あなたは、自民党のかなめである幹事長にロッキード資金を受け取った二階堂氏を再任し、内閣のかなめ、官房長官には、事もあろうに田中角榮のふところ刀と言われる後藤田氏を据えました。さらに法務大臣には、田中弁護団とうり二つの発言を国会で展開し、指揮権発動は当然だと言い放っている秦野氏を起用しました。これで一体、国民の信頼を得られるとお考えですか。まさに国民への挑戦ではありませんか。重ねて納得のいく説明を求めます。
 次に、総理、あなた自身にかかわる疑惑も重大です。
 札束が乱れ飛んだと言われる十年前の総裁選挙、この選挙に絡む殖産住宅の五億円献金問題について、あなたは、あの金は東郷民安氏が独断で取り計らったものと国会で証言されました。ところが、この事件について一審はもちろん八〇年七月の東京高裁の判決でも、はっきりと、あなたの依頼に基づいて東郷氏が株の操作で調達したと認定しているではありませんか。一体どちらが本当ですか。東京高裁の判決が間違っているとでもおっしゃりたいのでしょうか。
 また、あなたは、七六年の政治資金のでたらめ報告事件の際、将来間違いを繰り返さないと約束しておきながら、またしても七九年、八〇年と、引き続き違法献金事件を引き起こしているではありませんか。
 さらにあなたは、ロッキード事件についても児玉からの電話を受けたことはないと国会で証言されておりますが、その後、証拠として採用されたコーチャン調書でもあなたとのかかわりが明確に述べられており、依然として疑惑は晴れておりません。これでどうしてあなたの弁明を信用できるでしょうか。明確な答弁を求めます。
 第二番目は暮らしの問題です。
 総理は、日本は豊かになった、これからは心の問題だと、国民に自立自助の精神と忍耐を求め、福祉、教育切り捨て、国民いじめの臨調答申を最大限に尊重すると強調されました。とんでもない話です。
 以下、五点にわたって具体的にお聞きいたします。
 一つ。臨調答申に基づいて政府が公務員給与の凍結を打ち出した途端、財界の総理と言われる稲山経団連会長は、「民間労働者も賃金引き上げをゼロにすべきだ」と言い出しました。これを聞いた中小企業、商店の皆さんは、これじゃますます売り上げが落ち込んで景気はよくならぬと頭を抱え込んでおります。総理、あなたは、公務員労働者や民間労働者のふところを寒くすることが消費不況に一層拍車をかけるとはお考えにならないのでしょうか。私は、政府の責任において、人事院勧告と仲裁裁定の完全実施を直ちに行うべきであることを強く主張するものであります。
 二つ。軍人恩給や年金でやっと生活されているお年寄りや障害者、母子家族の皆さんは、次に削られるのは私たちかと不安を訴えております。総理、この声を無視して来年度物価スライドまでやめるようなことはしないと、はっきり約束されますか。
 三つ。臨調は、「日本の大学進学率は高過ぎる、今後十年、進学率を引き下げるべきだ」との立場から、私学助成の切り下げ、国立大学の定員抑制を主張しておりますが、あなたはこのような考え方にやはり同調されるのですか。
 四つ。前内閣は私の質問に対して、農産物の輸入自由化、枠拡大は行わないと言いながら、実際には譲歩を重ねてまいりました。しかも、臨調答申が市場開放を求めているため農家の皆さんの不安は一層深刻です。あなたは一月に訪米されるそうですが、レーガン大統領に会って、まさか農産物の輸入自由化、枠拡大を約束されるようなことはないでしょうね。
 五つ。鈴木前総理は、「増税なき財政再建」に「政治生命をかける」と言っておりました。ところが、あなたはそれを単なる基本理念の一つに引き下げました。そして竹下大蔵大臣は、すでに大型間接税、つまり悪名高い一般消費税の導入を真剣に検討すべきと述べております。総理も同じお考えですか。それとも大蔵大臣に発言取り消しを指示されますか。
 以上、具体的な総理の答弁を求めます。
 総理、わが国の経済の現状は力強さを欠いているなどというなまやさしいものではありません。二十六年ぶりの高い失業率、中小企業の倒産もふえています。五年連続の所得税減税の見送りと公共料金の相次ぐ値上げで、どこの家庭も家計簿が悲鳴を上げております。この上、臨調だ、行革だといって大企業奉仕、軍備増強のために国民に犠牲を押しつけてきたら、国民の暮らしは一体どうなると思いますか。もしあなたに国民に対する思いやりの心が一片でも残されているなら、国民いじめのにせ行革をやめて、本当の意味での国民奉仕の行政改革を進めるべきではないでしょうか。
 第三番目は、戦争か平和か、一体どちらの道を選ぶのかという問題です。
 まず最初に、総理訪米に際し具体的対応についてお聞きします。
 周知のように、アメリカ政府、議会関係者は、わが国に防衛政策の根本的な転換を繰り返し迫っています。平和憲法、非核三原則、専守防衛などの日本の特殊性は認めないというのです。総理訪米の際にも同様のことが求められると思います。
 そこで、まず非核三原則についてお伺いいたします。アメリカ軍の三沢基地への核兵器を積めるF16戦闘爆撃機の配備や、アメリカ第七艦隊への核弾頭つきトマホークミサイル配備が迫っている中で、あなたは非核三原則をあくまで厳守し、疑わしきは入れずの立場をしっかりとられるのかどうか。
 また、訪米みやげに軍事技術協力を約束すると伝えられていることは重大です。総理は憲法の精神、原則と国会決議、武器輸出三原則及び従来の政政方針を踏みにじってまで安保条約を優先させ、アメリカに対する軍事技術供与を行うのかどうか、この際はっきりとお答えください。
 さらに、今日の事態の重大性は、こうした基本政策の転換がすでに始まっていることです。かつて政府は、「憲法上、日本の防衛義務は日本領土内に限られている、それを出てやることは憲法違反だ」と明確に述べておりました。ところが、鈴木前総理は昨年の日米首脳会談で、「日本の庭先である周辺海域を自分で守るのは当然」と述べ、いわゆる一千海里シーレーン防衛を約束しました。これは、日本の防衛対象区域を領土、領海、領空に限った従来の領域防衛から、周辺一千海里にも及ぶ領域外防衛へと拡大した大転換ではありませんか。総理、あなたは、鈴木前総理のこの約束を継承して領域外防衛に乗り出すつもりか、明確な答弁を求めます。
 最後に、私は、中曽根総理の憲法観、太平洋戦争に対する認識についてお尋ねします。
 あなたは、昨日わが党の不破委員長も示した、総理就任当日に外国人特派員に渡した経歴紹介の中で、「私は自分たちの手でつくった新しい憲法をいまでも実現したいと思っている。しかし私はこの問題で日本社会を引き裂きたくはない」と述べています。これは総理としてのあなたの見解です。あなたのおっしゃる日本社会を引き裂きかねない新しい憲法とは一体どんな内容なのか、お示しください。
 また、あなたは四年前、「総理になったら憲法問題をテーマに解散、総選挙をするか」と問われて、「そのための準備をする」と明言しています。一体あなたは、だれに、どこで、いつ、何を準備させるおつもりですか、具体的にお聞かせ願います。
 総理、あなたは昨日の答弁で、太平洋戦争を「まことに遺憾な戦争であり、あの戦争での日本の行為について、国際的に「侵略である」という厳しい批判があることは事実だ」と述べています。伺いますが、あなた自身、あの戦争を世界の批判どおりに侵略戦争とお認めになるのかどうか、あなた御自身のお考えをはっきりお答えください。
 あなたは、拓殖大学総長就任の際、講演で「われわれが東南アジア諸国に行くと、民衆はわれわれに大東亜戦争のおかげで独立できたとお世辞を言ってくれる。しかし、政治家の方は、うっかりそんなことを言うと日本からの賠償金を減らされるから言わない」などと得意げに話されております。あなたは、今後ともこのような侮辱的な認識でもってアジア諸国民に対応するおつもりですか。過去の戦争を事実に基づき厳粛に侵略であったと認めることこそ、わが国とアジア諸国民の友好の第一歩であるとはお考えになりませんか。明確な答弁を求めます。
 日本共産党は、党創立以来この六十年間、平和と民主主義、国民の暮らしを守って歩み続けてまいりました。私はいま、多くの国民の皆さんと御一緒に、戦争と政治反動を許さず、国民生活向上のためにより一層奮闘することを表明して、質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 下田議員にお答え申し上げます。
 北炭の夕張の事故について御指摘がございましたが、多くの従業員の皆さんが職を失うに至ったことはまことに痛ましく、残念に思う次第でございます。政府といたしましては、保安の確保等万全を期することにより、二度とこうした事故を繰り返さないように戒めたいと思います。
 家庭の問題について御質問がございましたが、私は、日本のたくましい文化と福祉の国をつくる上について家庭は大事な原単位であると考えておるのであります。しかし、現実には多くの母子家庭あるいは失業に苦しむ家庭等もあることは十分承知しております。さればこそ、このような家庭一つ一つを大事にして政治の光を当てようというのが私の考え方なのであります。
 組閣についていろいろ御批判をいただきましたが、わが内閣は、行政改革、財政再建、日米関係の信頼強化、景気対策等を当面の重大な任務と考えておりまして、これらの仕事をやり得る人物本位の組閣をやったと考えており、いままでのような順送りとかあるいは派閥にとらわれた考え方から脱却いたしまして、派閥を超えた人材の簡抜を行ったと考えております。このような趣旨は、これからの仕事と実績において国民の皆さんに見ていただきたいと考えております。
 殖産住宅に関する問題について御質問がございましたが、これは昭和五十二年四月十三日の国会の証言で申し上げたとおりでありまして、東郷社長は私と旧制静高の同窓生でございますが、株式上場に際しまして同級生あるいは友人等の名義を借りまして、そして株式の売買をやった。会社防衛の意味もあったと思います。しかし、私の場合は、私の名前を借りるということをしないで私の秘書の名前をお使いになった。そういうことで、金銭の授受があったわけでもございませんし、名前をわれわれは使われたということであると思っております。
 次に、政治資金規正法の問題でございますが、衆議院選挙に際しまして選挙区における届け出についてずさんな点がありましたことはまことに遺憾でありまして、これは訂正をいたしました。
 なお、ロッキード事件についての御質問がありますが、これも先ほどの証言で申し上げたとおり、児玉電話なるものはございません。
 次に、仲裁裁定の取り扱いでございますが、先ほど申し上げましたように、仲裁裁定については与野党間でその取り扱いに関し合意が成立して、われわれはこの仲裁裁定の取り扱いについて国会の判断に従うと申し上げておるところでございます。
 人事院勧告の扱いは、勧告制度尊重という基本的たてまえに立っております。しかしながら、現在の危機的な財政事情のもとにおきまして、やむを得ず異例の措置として今回は公務員給与改定の見送りを行った次第でございます。
 公務員給与の改定の見送り自体は、所得の伸びの低下を通じまして個人消費に多少影響することは事実であると思います。しかし、給与改定を行うとした場合に、財源をどう調達するかということによって経済にいろいろな反応も出てまいります。増税で財源を調達するという場合は景気にマイナスの作用もあります。赤字公債で行うという場合には、情勢によっては物価に影響することもございます。そういう意味におきまして、この問題は中長期的な財政の対応力の回復という点から考慮する必要があると私たちは考えておるのであります。
 しかし、民間賃金の決定問題は、これは労使間の自主的な話し合いで決定すべきものであるということは当然でございます。
 恩給、年金の改善につきましては、先ほど来申し上げましたような財政状況等も考えますと、この問題の処理は厳しい情勢にあると申し上げざるを得ません。
 臨時行政調査会の私学助成、国立大学定員の抑制問題について御質問がございましたが、第二次臨時行政調査会の第三次答申については、政府としては八月十日の閣議におきまして最大限尊重する旨を決めました。現内閣におきましても、この方針に沿いつつ、しかしわが国高等教育の振興には遺憾なきを対処してまいりたいと思っております。
 農産物貿易問題につきましては、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的であります。これが市場開放に対するわれわれの考え方でございます。
 一月に予定されている訪米に際しましては、わが国の農業の実情やこれまでの市場開放措置等をアメリカ側にも十分説明いたしまして、その理解を得ながら適切に対処してまいるつもりであります。
 増税なき財政再建の基本方針は堅持してまいります。まず、行政の簡素効率化、制度、施策の見直し、歳出削減に努力を集中する考え方であります。歳入面についても増税なき財政再建の理念に沿いつつ、歳入構造の見直しを行いたいと思っておる次第であります。
 行政改革は、国民に奉仕する行政改革であることはもとよりであります。この行政改革は、過去のひずみを直すという面もありますが、国の将来に明るい展望を開くための行政改革でもあります。政府といたしましては、既存の行財政のあらゆる分野にわたって聖域のない見直しを行い、簡素にして効率的な行政を実現する方針であります。今後とも国民各界各層の理解と協力を得つつ、行政改革を進めるつもりでおります。
 非核三原則は、今後ともこれを維持していく方針であります。
 日米防衛技術交流の問題につきましては、先般来申し上げますように、武器輸出三原則、政府の統一見解、それと日米安保条約等に基づく日米協力関係の問題がございます。この二つの要素を念頭に置きつついま慎重に検討を加え、関係各省においてその処理を練っていただいておるところでございます。
 いわゆるシーレーンの問題につきましては、わが国の周辺海域数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度まで自衛の範囲内において海上交通保護を行い得ることを目標に防衛力を整備するという考え方であります。この場合、航路帯といたしまして、いまのところ南東方面、南西方面の二つのルートを検討しておるところでございます。鈴木前総理の米国での御発言はこのような従来からの政府の考え方を説明したものであり、われわれといたしましては専守防衛の精神のもとに、今後とも海上防衛の防衛力の整備に努力してまいりたいと思っております。
 さて、外国特派員に渡しました私の文書についてでございますが、憲法につきましては、かねがね申し上げておるように、私は現憲法の歴史的役割りを高く評価している一人でございますが、しかし、常によりよきものへ志向して、制度、法律と同じく、一般的にこれを見直し、研究することは正しいことであると考えております。この新しい憲法というのは、そのような観点に立って自主的に制定するよりよき憲法という一般的意味を申し上げておるのであります。その具体的内容につきましては、総理大臣としては差し控えたいと思っております。
 さて、私と竹村さんとの対談の中で解散問題と憲法の問題をとらえて御質問になりましたが、私のこのときの答弁は、調べてみますと、内外情勢に基づいて準備をする、つまりすぐ解散するとか政治課題にするという意味じゃなくして、国民的コンセンサスを得るためにまず準備をすることが大事だ、そして正しい事態を国民に知らせることが第一であります、そう答えておるのであります。御理解をいただきたいと思います。
 戦前のわが国の行為について御質問がありましたが、過去の大戦におきまして、わが国の行為がアジアの国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚しております。私の過去の発言についてお言葉がございましたが、私の青雲塾綱領の中にも、アジア復興につきましては謙虚な立場に立って奉仕する、そういう文章もあるのでございます。
 また、戦前のわが国の行為につきまして、昨日も答弁申したとおり、国際的には侵略であるという厳しい批判を受けていることは事実であり、この事実は政府としても十分認識をし、そして第二次大戦は遺憾な戦争であったと申し上げておるのであります。
 アジアに対する認識について御質問がありましたが、アジア諸国はわが国にとり平和と繁栄を分かち合う重大な隣人でございます。この地域の平和と繁栄のために積極的役割りを果たしていくことは、わが国外交の最重要課題の一つでございます。私は、総理大臣就任早々ASEAN諸国の首脳部の皆さんに電話をいたしましたのも、そういう精神に基づいて行ったのであります。この認識に基づきまして、アジア諸国との一層の相互理解と友好関係の強化のために努力いたしたいと思います。拍手
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徳永正利#16
○議長(徳永正利君) 柳澤錬造君。
   〔柳澤錬造君登壇、拍手〕
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柳澤錬造#17
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、さきの中曽根内閣総理大臣の所信表明に対して質問を行います。
 総理、いま国民は不況のどん底にあってどんなに苦しんでいるか、御存じでしょうか。それをこの不況下に、自民党は後継総裁をめぐって現職閣僚が四人も立候補して、総裁争いで一カ月半もの政治空白をつくりました。これほど国民のことを忘れた自民党政権の本質を見せてくれたものはありません。
   〔議長退席、副議長着席〕
しかも、それについて総理からは一言の反省の言葉も聞かれませんでした。総理、国民は、このような中曽根総理の姿勢に不満を持ち不安を感じているのです。
 私は、当面の重要な課題は次の三点にあると思っております。一つは、政治倫理を確立して議会制民主主義の機能を向上させ、自由と民主主義体制を堅持すること。二つとして、行政改革と財政再建を両立させ、景気回復を図るとともに開放経済体制を維持すること。三つとして、世界の国民総生産の一〇%を占める日本として、平和戦略をもって国際連帯の役割りを果たすこと。以上の三本柱を中心にしてこれより質問をしてまいります。
 まず第一に、政治倫理と社会倫理についてであります。
 総理、今日の政治不信というのは、実は政治家不信なのです。社会的地位の高い政治家は、金や利権で動くのではなく、道義的倫理規範に従って行動することによって国民は尊敬もすれば信頼もしてくれるのであります。しかるに総理は、この重要な政治倫理について、所信表明ではたった一行触れただけでした。これほど中曽根総理の性格を浮き彫りにしたものはありません。これでは次の通常国会で、この一行も削ってしまうのではないでしょうか。
 総理、わが国は過去五年間に汚職が三千七百四十二件もありました。これは氷山の一角であり、実際はこの何倍あるかわかりません。しかも汚職をした者がいばっており、全くの汚職天国と言えましょう、このような国が近代国家の中でどこにありますか。
 そこで総理に申し上げたい。汚職、選挙違反、賭博などで裁判となり、たとえ第一審でも有罪となったら、そのような人は政府の政務次官、国会の常任委員長はもちろんのこと、党の役員にもつけないと、国民の前に明確にしてみずから範を示していただきたい。あわせて、国会に政治倫理委員会を設置して、国民の疑惑に対して解明することを総理の勇気ある決断によって実現されたい。
 次に、総理の家庭観についてでありますが、総理のお説は余りにも現実離れをしており、無知にも等しいと言わざるを得ません。総理は「親子三代」と言われましたが、三代が住めるような住宅事情ではなく、むしろ住宅ローンの返済で共働きを余儀なくされ、子供はかぎっ子となっていくのです。いまや家庭にまで暴力、覚せい剤が入り込んできて、親子関係もおかしくなってしまい、子供が親を殺す、親が子供を殺すなど、それにサラ金地獄と、戦前では考えられないような家庭の破壊が広がっているのを総理はどう見ておられますか。
 さらに暴力は大学から高校へ、中学へと拡大して、生徒が先生を殴る、授業で教科書を使わない、その上生徒のシンナー遊びは蔓延をして悪の温床となっています。教育がこれほど荒廃したことがありましょうか。この教育の実態こそあすの日本の国の姿を示しています。
 総理、この荒廃した教育、家庭をどうしたらよろしいとお考えですか。私はその責任がすべて政府にあるとは言いません。ただ、全国の家庭でお母さん方がどんなに困っているか考えてみてあげてください。このような家庭に希望を与えるのが政治ではないですか。いまこそ道義を基盤とした政治倫理とともに社会倫理も確立することが急務であると思うのですが、総理の御所見を承ります。
 第二には、行政改革と財政再建についてであります。
 いまや行政改革は国民の総意となっています。総理も臨調答申を最大限に尊重すると言っていました。しかるに、昨日の衆議院本会議でわが党佐々木委員長が「行革をどう進めるか具体的プランを示せ」と質問したのに対し、総理は「行革は将来に向かって希望を持ってやるものだ」との一言で、具体的な答弁をしていません。行政改革推進のわが党に対しまことに失礼な態度と言わざるを得ません。再度、行革推進の具体的プログラムをお示しをいただきたいと思います。
 また、昨年十一月に成立した行革特例法案による予算削減が五百億円であるのに、本年度の補助金は昨年よりも二千億もふえています。これはどういうことなのですか、御説明をいただきたい。
 この際、今後五年間公務員の新規採用を半減して総人件費の抑制を図ると公約すべきであると思うのですが、いかがですか。お約束できますか。
 また、政府は、人事院勧告を凍結し、仲裁裁定にも従わないというのはなぜですか。これは政府みずからがルールを破ったのであります。政府は公務員の労使関係をどのようにしようと考えているのですか。これでは従来から法を守り行政改革にも協力しようとしている良識ある公務員労働組合の誠意を踏みにじるものであります。政府は決められたルールを守るのか、それともスト権など労働基本権を組合に返還するのか、総理はどちらをとるのか、この際玉虫色ではなく明確なる決断をお示しいただきたい。
 次に経済問題ですが、政府は、経済成長率を実質五・二%で予算を組みながら、その後三・四%と修正しました。民間機関では二%台と予測をしています。これでは不況は深刻化するばかりであり、景気は回復をいたしません。特に、今日の日本経済を築き上げてきた鉄鋼を初め多くの基幹産業までも軒並み不況で苦しんでいるのを政府はどう責任をとるつもりですか。総理は仕事のできる内閣をつくったと言われました。だったら景気回復のために、先ほども三・四%可能であると答弁されましたが、それに甘んじるのではなくて、計画の五・二%を達成させると決意し、その努力を責任をもってすべきであって、総理の御決意のほどをお聞きしたいです。
 また、国税庁の調査によると、昨年度の平均年収の伸び率は過去二十三年間の最低で四・九%であり、所得税負担率は五・八%となっています。したがって、サラリーマンの九一・五%が税金を納めているのです。しかるに政府は、みずからの失政による税収不足には手当てをしても、減税には応じようとしません。これほど国民の意思を無視した態度はありません。政府の責任ある答弁を求めます。
 わが民社党は、発想の転換をして、行政改革と財政再建の両立を目指す新財政再建五カ年計画を提唱しています。これは四ないし五%程度の中成長は実現すべきであり、それを可能としているものであります。
 その骨子は、大幅減税を断行して個人消費を伸ばすこと、公共投資を拡大し、住宅対策、都市再開発、防災対策を計画的に進めること、中小企業投資減税、中小企業承継税制を確立すること、公務員の定数削減、補助金の徹底整理をすること、不公平税制を是正することなどで日本経済を活性化し、景気回復を図ることこそ当面の緊急課題であると思うのですが、総理の御見解をお聞きしたい。
 第三に、国際連帯についてであります。
 いまや国内外の情勢は激動の一語に尽きます。特にソ連の新政権誕生によって、米ソ関係、中ソ関係、米中関係はどのような変化を生じていくのか。朝鮮半島、ベトナム、アフガニスタンなどアジアの国々はどう動くのかです。これらはこれからの日本の進路に重大な影響を持つものでありますが、去る三日の総理の所信表明では何ら解明されておりません。総理はいかなる分析をし、どのような展望を持っているのか、明確にしていただきたい。それなくして従来の参勤交代的なアメリカ訪問をするのであれば、それはお金の浪費です。
 総理、いまやわが国は全世界の国民総生産の一〇%を生み出す経済大国となりました。しかし、そのためにエネルギーの八五%、食糧の六七%、鉄鉱石など鉱物資源のほぼ一〇〇%を世界の国々から輸入し、技術加工して輸出をする貿易立国です。したがって、世界の国々との協調なくしてこれだけの経済力を維持していくことはできません。しかるに、政府開発援助は先進国十七カ国の中で十四番目という低さです。
 また、南北問題も、日本を含めた北側先進国が世界の人口の四分の一で、世界の総所得の八〇%を占めており、残りの二〇%を南側の三十億の人々が分け合って生活しているのです。その結果、第二次大戦後、戦争によって死んだ人々が一千万人であるのに対し、飢餓で死んだ人々は六千万人と言われています。この南北問題の現実に対して総理は胸が痛みませんか。いかなるお考えをお持ちでしょうか、どうやってわが国の責任を果たすおつもりでしょうか、明確な態度を示されたい。
 さらに難民問題についてですが、昨年ようやく難民条約を批准しました。これは条約発効後二十七年目であり、八十二番目の批准国であります。その後も難民の認定は全く冷たく、せっかく出頭した人々を難民と認めず国外退去をさせているのはなぜですか。わが国の司法行政は弱きをくじき強さを助けるのを本領としているのでしょうか。この人々は、家を捨て、職を捨て、国家をも捨てて、自由を求めて命がけで脱出してきた人々であって、なぜ思いやりの心をもって人間らしい扱いをしてあげないのですか。総理の言う「思いやりの心」とは演説の飾り文句だったのでしょうか。
 本年九月末の難民定住受け入れの人数は、アメリカの四十八万を初め、フランス八万五千、カナダ八万四千、豪州六万九千、西ドイツ二万であるのに対し、最も近いわが日本はわずかに千九百九十八名であります。総理、世界の国民総生産の一〇%を占める日本として恥ずかしくないですか。
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秋山長造#18
○副議長(秋山長造君) 柳澤君、時間を超過しておりますので簡単に願います。
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柳澤錬造#19
○柳澤錬造君(続) これでも経済大国と言えましょうか。総理にも良心はありましょう。速やかに政府の態度を改めるようにしていただきたい。
 最後に、日本が世界から求める時代は終わりました。東西関係を見ましても、南北問題にしましても、日本はその真ん中に位置して、どちらに対しても発言のできる立場にあります。いまこそ真剣になって、この世界に対する平和戦略を持ってリーダーシップを発揮すべきであり、その絶好のチャンスです。その責任を果たすことが二十一世紀に向けてわが日本が生きていく戦略であり、使命であると考えるものです。中曽根総理の誠実にして内容の充実した権威ある御答弁を求めて、質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 柳澤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、内外多難の折に、自由民主党の内部事情から四十日間にわたる政治空白の時期を生じさせましたことは、国民の皆様方にまことに申しわけない事態であると思っております。そのおくれを取り戻すために全力を投入してまいりたいと思っております。
 また、一審でも有罪となった人は役職につけるなというお言葉でございます。御提言はしかと承っておきたいと思います。
 政治倫理委員会の設置の問題等について御質問がございました。
 この問題は国会議員の規律に関する問題で、先般来申し上げますように、国会としての重要事項であると思いまして、各党間で十分御協議願いたいと考えております。
 現在の家庭環境をどのように認識して対策を講ずるかという御質問でございます。
 わが国の家庭環境につきましては、現実におきましては一部において御指摘のような状態でさまざまの問題を持っておることを承知しております。特に暴力問題、覚せい剤問題等は重要な問題であります。このような問題を解決していくためにも政治の光を家庭に当てる必要がある、家庭の場を充実していく必要がある、そういう考えに立った次第なのでございます。したがいまして、日本社会を支える原単位としてこの家庭をいかに充実させていくかということに今後政治の力を集中してまいりたいと考えております。
 政治倫理と社会倫理の確立について御質問がございました。
 御質問の趣旨については非常に同感でございます。それにはまず政治家自身が自粛自戒をし、国民の模範になるような進退をすることが大事であると心得ており、また公務員の綱紀の粛正についても一層の努力徹底を図る必要があると思っております。
 また、社会倫理の確立のためには健全な明るい礼節と愛情に富んだ家庭が基礎になる、そういう意味におきまして、家庭の充実という点につきましても先ほど来申し上げるように努力してまいりたいと思っておるところございます。
 臨時行政調査会を中心にする行革の進め方につきましては、臨調答申を最大限に尊重してこれを実行するということはわが内閣の基本的姿勢でございます。
 改革の具体的方策は、当面は九月二十四日の閣議決定を逐次実行していくということでございまして、具体的なプランは、今臨時国会におきまして国鉄再建臨時措置法案を提出して、これを速やかに御成立を願いたいと思っております。そして、できるだけ早期にこの臨時措置法案による委員会の人事の任命を国会の御協力を得て行って、作業に入っていただいて、国鉄に対する包括的なかつ具体的なプランを作成していただきたいと考えております。
 次に、次期通常国会に提出すべく目下それを目途に準備している問題といたしましては、四共済年金の統合関係でございます。それから公社の改革問題、電電、専売の問題が主となってまいります。
 それから五十八年金予算その他において立案ないし調整すべきものとして、国鉄再建緊急対策十項目の推進と国民医療費適正化対策、食管等の財政負担軽減対策、それから補助金カットの問題、このように考えております。
 五十七年度の補助金について御質問、御言及がございました。
 五十七年度におきましては、臨調の第一次答申を最大限に尊重して補助金整理合理化にも努力を払ったところでございまして、行革特例法案による補助金の削減額は約二千五百億円でございます。そして対前年度の増額、御指摘の分は、これも相当な努力をいたしましたのでございますが、若干増加をいたしました。しかし、増加額、伸び率ともに近年で最も低い水準を示しております。前年度におきまして補助金の増加額は六千五百億円でございましたが、五十七年度におきましてはこれを二千六百億円に抑えてきたので、さらにこの努力を継続してまいりたいと思っております。
 新規採用の半減につきまして、定員削減には従来からも非常に努力しております。しかし、国家公務員の仕事の中には大学教育の問題、特に各県に医科大学が一つずつできまして相当の定員増が要求されてきております。国立病院、療養所の充実の問題、あるいは外交機能の確保、あるいは登記、税務の増強の必要性、あるいは海上保安関係、こういう問題がございまして、新規採用を半減せよということはかなり困難の状態であります。しかし、その御趣旨は十分尊重してやりたいと思います。
 今後とも、人件費の累増を抑制するために、いまやっております第六次定員削減計画を強力に推進して、厳しい定員管理に努めていくつもりでございます。五十七年度におきましては、ネットで千四百人縮減をいたしました。来年度につきましても相当の成果を上げるように、予算編成の際、努力してまいるつもりであります。
 人事院勧告の扱いにつきましては、人事院勧告尊重という基本的たてまえに立って検討しておる次第でございますが、危機的な財政事情のもとに、異例の措置として給与改定の見送りを行わなければならないのははなはだ残念な次第でございます。
 仲裁裁定につきましては、与野党間でその取り扱いに関して合意が成立いたしました。これを守ってまいりたいと思います。
 労働基本権の問題の提起がございましたが、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度、公労委の仲裁制度を今後とも維持尊重していく考えには変わりはございません。したがって、労働基本権については現行制度によって対処していくという考えでございます。
 経済成長率について、五・二%を目途にせよという御指摘でございますが、最近の国際的な経済情勢の冷え込みからいたしまして、三・四%に改定せざるを得ない状況でございます。政府は総合経済対策を決めまして、今度の補正予算にも若干の項目でお願いをしておる次第でございますが、懸命の努力を払いまして、景気が上向くように努力してまいりたいと思っております。
 所得税の減税につきましては、先ほど来申し上げますように、財源を得て、そして減税小委員会で与野党の合意をつくろうと努力しておるところでございます。この結論が得られれば、これを尊重してまいりたいと思っております。
 財政再建五カ年計画、経済新計画について御質問がございました。
 民社党が去る十月に新財政再建五カ年計画をお出しになりましたことは私も承知しておりまして、その内容も拝見いたしましたが、このような御努力を的確におやりになっていることに敬意を表しておる次第でございます。しかしながら、財政の実態、現況を見ますと、必ずしも民社党のおっしゃるとおりにやることには困難な面もあるのでございます。しかし、この御意見は重要な参考の資料といたしまして、今後とも財政再建の方策を探求してまいりたいと思っております。
 国際情勢につきまして御質問がございましたが、米ソ間の状況は緊張が緩和される方向にいまあるとは考えておりません。しかしながら、ソ連に新しい体制が出現いたしまして、これがどういう方向に世界政策を打って出るか重大な関心を持って見守っております。昨日ソ連大使が私のところへ表敬に参りまして、アンドロポフ新政権の政策について私も若干質問をしてまいりましたが、大体従来のいわゆる平和政策を述べた程度で、特に顕著なことはございませんでした。
 相互依存関係の深まった今日の国際社会においては、いかなる国も永続的な世界の平和と繁栄なくして自国の平和と繁栄はございません。特に日本はそのような条件にある国であります。それと同時に、国力の発展に伴って日本の果たすべき国際責任と役割りは非常に大きくなっていると考えております。
 さらに南北問題について御質問がありましたが、わが国は自由世界第二位の大きな経済力を有する国といたしまして、この経済力等を通じて世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献すべき役割りを持っていると思います。このような考え方から、所信表明演説で申し上げましたように、新中期目標のもとで開発途上国に対する経済、技術面での協力に一層力を注ぐ方針でございます。また、国連等の場を通じて南北対話を促進し、南北問題の解決に積極的に貢献するという態度を堅持してまいりたいと思います。
 難民問題について御質問がございました。
 難民には二つの種類がございまして、いわゆる政治的亡命者とベトナム難民と二つ性格がございます。しかし、難民認定に当たりましては、庇護を求める外国人に対する人道的配慮のもとに、難民条約にのっとり、迫害の有無について慎重に審査をしております。難民と認定されなかった者につきましても、一律に在留を否定することはなく、個々の事情を検討して在留の許否を決定しております。インドシナ難民のわが国への定住受け入れにつきましては、今後とも国内の受け入れ体制を整備して努力してまいりたいと思います。
 私は、行管長官当時、このベトナム難民の処理について非常に心を砕きまして、いま宗教団体や赤十字に委託してめんどうを見ていただいておるのが大部分でございますが、それではいけない、みずから政府は責任を持つべきであると、そういう考えに立ちまして今回大いに新しい難民センターを建設することを決め、約七百二十名の収容力を持つ快適な難民センターをこれからつくる予定で、すでに予備費から二十億円の予算をいただきましてその設計に入っておるところでございます。今後とも難民問題については人道上の問題として力を入れたいと思います。
 わが国外交の基本につきましては、先ほど来申し上げましたように、果たすべき国際責任とその役割りが増大していることも十分認識するとともに、東西関係、南北関係等につきまして、日本の果たしている重要な位置と役割りについても認識を新たにして積極的に努力していく所存でございます。拍手
   〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕
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瀬戸山三男#21
○国務大臣(瀬戸山三男君) 柳澤さんの御質問のうちで私の所管に関する部分だけをお答えしておきます。
 わが国の学校教育は、関係者の努力によりましてこれまで着実な発展を遂げていると考えておりますが、柳澤さんがおっしゃったとおりに、今日、非行や校内暴力あるいはシンナー遊び等の増加、一部に見られるような適切を欠く学校運営などの問題が指摘されていることはまことに遺憾であります。これらの問題を解決して、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒を育成することは今日の大きな課題であると思っております。
 このため文部省としては、新しい学習指導要領の趣旨を生かした教育活動によりまして、ゆとりの趣旨を生かした教育活動によりまして、ゆとりのある充実した学校生活の実現が図られるよう指導しているところであります。また、教員が児童生徒を十分に理解して愛情と使命感を持って指導に当たることが大切であり、さらに学校における真剣な取り組みはもとより、家庭や地域社会との連携を一層深め、これらが一体となってこの問題に対処していく必要があると考えております。このような努力を続けることによりまして、公教育の信頼を確立することのできるよう最善を尽くしたいと思っております。
 以上お答えをいたします。拍手
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
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齋藤邦吉#22
○国務大臣(齋藤邦吉君) 国家公務員の定員の削減につきましては、すでに総理大臣からもお答えがございましたが、私からもお答え申し上げておきます。
 国家公務員の定員の削減につきましては、昭和四十三年度から厳しく進めてきたところでございますが、さらにこれを強化いたしまして、昨年の九月第六次定員削減計画を策定し、昭和五十七年度以降五年間で五%、数字で申しますと、八十九万人に対し約四万五千人削減するという計画を立てたわけでございますので、今後はそうした計画に基づいて厳しく取り組んでいく考えでございます。
 しかし、また一方、それぞれの省庁におきましては新しい緊要な行政需要があるわけでございます。先ほど総理からもお述べになりましたように、医学教育の問題あるいは国立病院、療養所等々の緊要な行政需要等もありますので、こうした問題を踏まえて定員の管理を行っている実情でありますので、一律に新規採用を抑制するとか半減するとかということは、その気持ちは私は十分理解できますが、現実的には適当ではないであろうと、かように考えておる次第でございます。拍手
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
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竹下登#23
○国務大臣(竹下登君) いわゆる補助金問題につきましては総理からかなり詳しくお答えがありました。
 補助金は、御承知のように十四兆七千六百五十八億円、これをたとえば厚生省、文部省、農水省、建設省、その形でくくってみますと八三・三%、また社会保障、文教、公共事業、この形で見てみますと七九%、そして法律補助か予算補助か、法律補助というくくり方をしますと八二・二、しかも交付先が地方公共団体に対する交付、こういうことになりますと、これが七八・八、いずれの側面からくくってみましても八〇%という数字が出てまいるわけであります。
 いま御指摘にありましたように、さきの行政改革の国会と言われた国会におきまして、地域特例等についての御審議をいただぎました。これがいわゆる削減の一つの根拠となったことも事実であります。そういたしまして、その他の問題につきましては、国の施策を実現するための重要な政策手段という機能を持つことはもとよりでありますけれども、これが既得権化したり、あるいは惰性的な運用で硬直化しやすい。これらを除去いたしまして、まさに財政資金の効率的使用、そして行政運営の能率化、この観点に立って整理をし、そこで、総理からもお答えがありましたように、とにかく五十三年以来の伸び率を見てみますと、一八・四%が逐年減少され、五十七年度はまさに一・八%と、いわゆる地方交付税、国債費を除く一般歳出と同じにまでこれが削減せられた。また、年次的にも件数別にも金額的にも、五十七年度予算にはそれが画期的な数字となっております。引き続き御趣旨を体して努力をする所存であります。拍手
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
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安倍晋太郎#24
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私に対する御質問の第一は、ソ連に新政権が生まれまして、世界情勢にどういう変化があるのか展望をし、また分析したことがあるのか、こういうお尋ねでございますが、すでに総理からもお答えをいたしましたように、ソ連のアンドロポフ新政権が生まれました後に、中ソ関係で確かに話し合いが始まる等の動きが見られるわけでありますが、しかし、米ソ関係を中心とする東西関係を初め、現下の厳しい国際情勢には基本的な変化はないと、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。わが国といたしましては、今後ともこのような動きが御指摘の諸関係及び諸地域の情勢にどうした影響をもたらすのか、冷静かつ慎重にその推移を見守ってまいりたいと考えております。
 第二に、政府開発援助の問題でございますが、わが国が平和国家であり、また自由世界第二位の経済力を有する国であり、かつ対外経済依存度の高いわが国が国際社会において果たすべき責任であるとともに、援助を通じて世界経済の発展並びに世界の平和と安定に貢献することは、ひいてはわが国の平和と安定にも資するものであると考えておるわけであります。こうした観点から、わが国は援助の拡充に努めておることは事実であります。
 わが国の八一年の政府開発援助実績は、絶対額では先進国中第四位でありますが、政府開発援助の国民一人当たりの負担額及び対GNP比では、先ほど御指摘がございましたようにいずれも第十四位というふうになっております。したがって、わが国としましては、総理が所信表明演説で述べられましたように、新中期目標のもとで政府開発援助の拡充を着実に図っていきたいと考えております。拍手
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秋山長造#25
○副議長(秋山長造君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時十二分開議
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徳永正利#26
○議長(徳永正利君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。大森昭君。
   〔大森昭君登壇、拍手〕
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大森昭#27
○大森昭君 私は、日本社会党を代表して、総理並びに関係閣僚に、国民の身近な諸問題について若干角度を変えまして質問したいと思います。
 まず、総理にどうしても最初にただしておかなければならないことは、政治姿勢の根底にある政治倫理の問題であります。
 総理、世の中では新内閣を中曽根政権と素直に言う人というのは少ないのでありまして、多くは直角だとか、あるいは純角だとか、角防だとか、傾角だとか、まあひどいのになりますと田中・曽根政権などと言っております。
 総理、世論は、あなたの「わかりやすい」政治という趣旨に反しまして、わかりにくい政権ということを言われております。その最大の理由が、つかみどころのない政治姿勢によるものであり、とりわけ政治倫理の欠如にあるのではないでしょうか。
 そこで、私は、政治倫理について一つだけあなたにただします。
 それは、裁判で有罪判決を受けた国会議員は、みずからどう国民に対処すべきかということであります。総理、あなたは政治の最高責任者として、「最終的に本人が判断すること」だということを繰り返しております。しかし、繰り返しの答弁でありますが、それでは済まないのではありませんか。仮に私がそのような立場にあれば、直ちに私は辞職をいたします。まことに失礼でありますが、仮にあなたが当事者となった場合にはいかがされる所存でありますか。私は、国民の信頼を不可欠とする公的な立場にある政治家としての倫理観をただしておきたいと思うのであります。
 次に、私は景気対策についてお尋ねいたします。
 自民党が国会で絶対多数を占めてからすでに二年六カ月を経過しましたが、この間、自民党の経済運営は完全に失敗であったと言わざるを得ません。深刻な財政危機、不況からの回復のおくれ、失業の増大、中小企業経営の不振、所得の格差や地域ごとの格差が拡大するなど、いずれも政府・自民党が適切な対応を誤ったからであります。
 特に、ここで私が問題にしたいことは、われわれが主張しておりました一兆円減税や内需拡大を実行することなく、いまだに個人消費を低迷させている政府・自民党の責任についてであります。現在のように景気が悪くなれば個人の所得も伸び悩み、それに伴って購買力は低下し、生産高は減少し、そのことが不況と国民の生活不安を一層深刻にさせているという悪循環をつくり出していることであります。総理、あなたは、私どもはそういう主張をしておりますが、どういう具体的な打開策をお持ちになっているか、お伺いしたいと思うのであります。
 所得税は、減税がないと自然に増税される仕組みになっております。景気回復のかぎと言われる個人消費を低迷させている最大の理由は、可処分所得の減少にあることは明らかであります。加えて、スト権、団交権を剥奪され、その代償としての仲裁裁定、人事院勧告の完全実施は当然のことであるにもかかわらず、これを渋っているなどということは、さらに景気回復をおくらすものとして絶対に容認できません。現在、野党が一致してこの完全実施を要求しているのもその意味合いからであります。
 所得減税について、総理、あなたは与野党で財源を見つけてもらいたいとか、あるいは特別小委員会で一致したらということを言っておりますが、一国の首相として余りにも不見識ではないでしょうか。すでに野党の方は一兆円減税の具体的な案を提示をしているのであります。いま問題は政府・与党の決断にあり、あなたが決断すべき時ではないでしょうか。明確にお答えをしていただきたいと思うのであります。
 また、五年連続の課税最低限度の据え置きによって国民生活の上に税金が重くのしかかってきております。とりわけ課税最低限度の是正は、政府の怠慢によるものと言わざるを得ません。税の不公平感を一層増幅するものでありますので、いま直ちに実行してもらいたいと思うのでありますが、大蔵大臣の所見はいかがでしょうか。
 次に、中小企業対策について質問いたします。
 景気動向の指数は昨年十月に五〇%を超えたものの、それ以降ずっと五〇%を割り、景気は収縮過程にあり、この中で中小企業の苦しさは一段と深刻なものとなっております。企業倒産件数も千五百件を超えた十月の実情からしても、効果的な対策を打ち出すべきであると思います。さきの総理の答弁では、貸付金を用意するとか、総合的対策を講ずるということであり、そのことも必要でしょうが、それが当面を糊塗する一時しのぎの中小企業対策であってはならないと考えているところであります。
 たとえば、中小企業向けの官公需は直接に中小企業の仕事に結びつくものとして、その役割り、期待には大きなものがあります。毎年閣議決定によって決められ、その割合も少しずつではありますが、ふえております。しかし、ことし九月の行政管理庁から出された報告書によりますと、大企業と中小企業の定義や区分に誤りのあったことが指摘されております。本来中小企業に発注すべきものを大企業に発注したり、発注の区分を不正確にして、中小企業の受注がしにくくなるようなことがあること自体大変な問題であります。総理及び通産大臣に見解を伺いたいと思います。
 次に、農産物の自由化などについても再三質問が出ておりますが、恐らくレーガン大統領との会談において、あなたは農産物の自由化、輸入枠の拡大について強く要請を受けると思うのでありますが、あなたは具体的にこの会談の中でどのような回答あるいは約束をする所存でありますか。この点についても明確な御答弁をいただきたいと思うのであります。
 あわせて減反政策についても、政府の変更について明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 次に、深刻化しつつある雇用問題についてお伺いをいたします。
 雇用情勢が好転したら景気の回復は本物だとよく言われますが、昨今の雇用情勢は昭和三十一年以降二十六年ぶりの悪い水準にあります。それは特定業種ということではなく、全業種に、しかも全国的に広がり、十月現在で百三十九万人の失業者を出しております。うち四十六万人が男子世帯主であります。五万人が女子世帯主であるなど、これまでにない異常な事態が続いております。諸外国と比べればというお話でありますが、そういうことではこれは今日の雇用の状態というのはゆるがせにできないと思います。
 雇用の確保と創出のためには、何といっても早急に景気の回復を図ることが必要であると思うわけであります。その際わが国がとるべき経済政策は、国内需要を適切に引き上げ、これに見合った経済構造に改革し、経済の分権化を図るなど社会システムの転換を図り、福祉型成長を実現する方向を目指すべきであると思います。
 そしてまた、このような景気回復と産業構造の転換の方向の上に、私は、第一には、構造不況下にある素材産業の急激な転換を避けるために、企業グループの社会的責任と地域産業育成を可能にする緩やかな転換を図っていく必要があると思います。第二に、今後雇用に大きな影響を及ぼすロボットやオフィスオートメーションの導入について、雇用問題を生じさせないように一定の社会的規制を加えていく必要があると考えるものであります。以上、当面する雇用対策について労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
 さらに、閉山に追い込まれた北炭夕張新炭鉱の再開発について総理の所見を伺いたいと思います。
 今日の石炭鉱業は深刻な経営実態を露呈し、政府の適切な措置なくしては第七次政策の二千万トン体制に甚大な打撃を受けることは明らかであります。政府の責任は重大であります。今後、夕張新炭鉱は、労務賃の早期支払い、雇用対策、地域経済等の緊急課題とともに、特に安倍前通産大臣の基本方針として出された、山の再開発の実現のため新会社設立に最大限努力するとの見解が表明されましたが、これが早期実現のために総理の確固たる御答弁を求めるものであります。
 次に、婦人問題について申し上げます。
 現在、婦人労働者は千三百九十一万人となっております。総労働者数の三四・五%を占めるに至りましたが、このうち低賃金や不安定な労働環境に置かれておるパート、臨時雇いなどは実に二百六十六万人に上っているのであります。
 以上の実態に思いをはせるとき、まず第一に、婦人労働者に多いパートの課税最低限度を現行の七十九万円から百二十万円に引き上げること。第二に、健康保険、厚生年金、雇用保険などへの加入を常用労働者と差別なく実施すること。第三に、家内労働者の工賃は地域最低賃金を下回らないことなどは早急に改善すべきだと思うわけであります。あわせて、家内労働手帳を完全に交付するよう指導を強めるべきだと考えます。
 政府は、一九八五年までに婦人差別撤廃条約を批准する義務を国際的に負っておりますが、早期完全批准についてどう考えているのか、あわせて御見解を賜りたいと思います。
 また、優生保護法について厚生大臣は、同法改正に慎重な態度をとると表明しておられますが、この点、総理の考え方をお伺いしたいと思います。
 最後に、法務大臣に一言お尋ねいたします。あなたが問題のゲーム機製造業者らの協会の顧問をしていたことについていろいろ新聞報道がされておりますが、中身は私にはよくわかりませんが、いろいろな記事の中で今日あるわけでありますが、正直にひとつ御見解、弁明などをいただきたいと思います。
 以上をもって私の代表質問を終わりますが、ただいま申し上げました質問事項はいずれも国民にとってきわめて重要な関心事でありますので、総理初め関係大臣は、いままで三日間を通じましていろいろ答弁を聞いておりますが、率直に申し上げまして少し答弁に誠意がないのじゃないか、あるいは具体性がないのじゃないかというふうに感じられますので、切に、私の質問に対しましては誠意をもって御答弁していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#28
○国務大臣(中曽根康弘君) 大森議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政治倫理の問題でございますが、ただいま組閣に関しましていろいろ御批判をいただきました。厳粛に受けとめまして戒めの言葉といたしたいと思います。
 なお、ただいま仮に私が当事者になった場合にどうするかという御質問がございましたが、私は常に政治家として良心に従い、厳に身を処するよう心がけてまいりたいと思っております。
 景気対策について次に御質問がございました。
 景気の現状は、先進諸国に比ぶれば良好ではございますが、景気の足取りは力強さを欠いておるところでございます。政府といたしまして総合経済対策を先ほど決定いたしまして、前に申し上げましたとおり、補正予算にもその費目を計上しておるところでございますが、これらの対策を推進してまいりたいと思っております。それと同時に、内外の経済動向を注視いたしまして、機動的な政策運営にも心がけてまいりたいと思っております。
 所得税の減税につきまして御質問がございました。
 衆議院大蔵委員会減税問題に関する小委員会は、野党の一兆円減税要求が出されたことにも関係し、それを踏まえて与野党の合意に基づく衆議院議長見解により設置されたものでございます。したがいまして、この減税小委員会で財源を含めて与野党合意を形成するように努力が行われておりますが、その結論が得られればこれを尊重いたしたいと申し上げる次第でございます。
 中小企業対策及び官公需対策について御質問がございました。
 中小企業を取り巻く経済情勢は厳しいものがございます。官公需につきましては、従来から中小企業者の受注機会の増大に最大限の努力を払うように政府としても努力をしてまいったところでございます。しかしながら、御指摘のように、先般の行政監察の結果に見られますように、本施策についてもなお改革の余地が十分あるように見受けられます。今後におきましても、本監察結果を踏まえまして、政府全体として本施策の一層の改善に最大限の努力を尽くしてまいりたいと思います。
 農産物貿易問題につきましては、農産物の市場開放について、関係各国との友好関係にも留意しつつ、国内農産物の需給動向を踏まえ、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であると考えております。一月に予定されております訪米に際しましては、わが国の農業のこれらの実情やこれまでの市場開放措置等も十分相手側に説明もし、その理解を得ながら適切に対処してまいる考えでございます。
 減反政策の変更に関しまして御質問がございました。
 米の潜在生産力は需要を大幅に上回っており、今後とも転作の着実かつ的確な実施が必要であると考えております。しかしながら、三年連続の不作という実情と米の政府在庫水準が著しく低下しておるこういう実情にもかんがみまして、五十八年度につきましては、第二期の転作等目標面積から七万七千ヘクタールを軽減いたしまして、六十万ヘクタールにいたしましたところでございます。
 また、夕張新鉱の再開発につきましては、大澤管財人の提示した構想につきまして、石炭協会の中で、保安の確保と安定経営の可能性を判断基準として現在鋭意検討がなされていると承知しております。政府といたしましても、今後この大澤構想が関係方面の理解と協力を得て実現されることとなるよう期待をしております。
 なお、そのほか労務債問題、あるいは雇用問題、地域経済問題等夕張新鉱をめぐる諸問題につきまして、政府としてもこれまで所要の措置を講じてまいりましたが、今後とも適切に対処してまいるつもりでございます。
 パートの所得限度の問題について御質問がございました。
 昭和五十六年度の税制改正におきまして、控除対象配偶者等の所得限度額を二十万円から二十九万円に引き上げた結果、現在では給与所得控除の最低保障額五十万円と合わせて七十九万円までの収入について配偶者控除が適用されております。この七十九万円をさらに引き上げるという問題につきましては、配偶者に所得のない世帯との税負担のバランスが著しく崩れるという問題もございまして、必ずしも適当であるとは考えておりません。
 さらに、健康保険などへの加入差別撤廃につきましては、パートタイマーについても、就労の実態がその事業所の同種の常用的な就労者に準ずる場合はすでにこれを適用しているところでございます。
 また、家内労働者の工賃につきまして、家内労働者の労働条件の改善を図るために、最低工賃については、都道府県ごとに設置されている公労使三者構成の審議会におきまして、同一地域における類似業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して決定されております。今後とも適正な水準の確保に努力してまいります。
 婦人差別撤廃条約、これにつきましては、批准のため国内法制等諸条件の整備に努めることは、国連婦人の十年国内行動計画後半期の重点課題となっております。政府といたしましても、できるだけ速やかに本条約を批准すべく目下作業中でございます。
 優生保護法の改正問題について御質問がございました。
 優生保護法に規定する人工妊娠中絶制度についてはいろいろな御意見もございます。国民のコンセンサスが得られる形となるよう目下関係当局において検討中でございまして、その検討結果をまって対処いたしたいと思います。拍手
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
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竹下登#29
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、特に所得税減税の総体的な問題については総理からお答えがありました。したがって、いわゆる課税最低限度の据え置きが国民生活に重負担を課して税の不公平感を増幅しておるという御指摘に対する考え方をお答えいたします。
 総理からお答えがございましたように、減税問題そのものにつきましては、まさに各党の合意に基づくいわゆる議長見解によりまして小委員会が設けられ、中間報告をいただいておる、やはり原則的にはこれを見守るという姿勢をとるべきであると思っております。
 そこで、課税最低限の問題でございますが、この議論も巷間いろいろなされております。言葉の中には、若年天国、熟年地獄という言葉もまたございます。そして課税最低限そのものを他の先進国に比べてみますならば最低限は高く、最低税率は低く、最高税率また高く、税率の刻みは最も多いというのがわが国の所得税の体系そのものでございますので、それらを勘案いたしまして、今日にわかに私は、御指摘の課税最低限の据え置きそのものが国民生活に重負担を課しておるという印象のすべてではないというふうに認識をいたしております。
 次に、パートの問題でございますが、これは総理から詳しくお答えがありました。五十四年、五十五年の両年にわたりまして、本院の本会議場におきましてもまた委員会におきましても強い要求がありました。五十六年度税制で改正をいたしたところでありますが、確かに配偶者に所得のない世帯との税負担のバランスを考えてみますと、おおむねこの五十万プラス二十九万というのがバランス上の限界点ではないか、このように認識をいたしております。拍手
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
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