中曽根康弘の発言 (本会議)
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○国務大臣(中曽根康弘君) 原田議員にお答えを申し上げます。
まず最初に、自民党の総裁公選を機に約四十日間の政治空白が生じまして、国民の皆様方にいろいろ御迷惑をおかけいたしましたことにつきましては、心から遺憾の意を表する次第でございます。政府といたしましてこれから実績を上げまして、これを取り返してまいりたいと思います。
証人喚問及び議員辞職問題等について御質問がございました。
いずれもこれらは国会議員の規律や身分に関する国会としての重要問題でございまして、各党において御協議をいただいておるところであり、その推移を見たいと思っております。私は行政府の長といたしまして、このような国会の事項につきましていろいろ意見を申し上げる立場ではございませんので、各党の意見が一致いたしまして早期にそれが実現することを期待しておるものでございます。
なお、議員辞職の問題でございますが、国権の最高機関である国会の議員と、これを選出する主権者たる国民とのきずなを断ち切るということは、よほど慎重を要するものであると考えております。国会は国権の最高機関でございまして、いわば主権を構成する重要な機能の一部を持っておるところであり、選挙はこの主権を構成するための非常に重要な一つの場面でございます。そういう関係を通じて議員は選出されておりますので、議員と選挙民の関係を断ち切るという点については慎重でなければならぬとかねがね考えておったところでございます。これらの問題は本人みずからが判断すべきことが適当であると考えております。
次に、政治資金規正法の問題について御質問がございました。
政治資金につきまして、これを清潔、浄化していくということは御指摘のとおりきわめて大事であり、民主主義の根幹に触れる問題であるとも考えております。しかし、政治資金の問題は一面におきまして選挙制度のあり方等の問題とも関係もあり、また各党のよって立つ財政基盤にも関係しているところでございまして、今後の各党の政治活動そのものにも影響してくる重大な問題であります。したがいまして、各党間で十分論議を尽くして合意を形成していただくことが重要ではないかと考えております。
憲法問題について御質問がございました。
私は、先般来申し上げますように、戦前と戦後の日本を比べてみます場合に、現憲法が果たした大きな歴史的役割りを評価しておる者の一人でございます。しかし、いかなる制度あるいは法律等におきましても完全というものはないのでございまして、常によりよきものへ志向して勉強し、検討し、研究するということは、これは正しい態度であると考えておるのであります。私は、憲法改正問題を現内閣は政治日程にのせない、そういうことを申しておるのでございまして、個々の条文についての具体的意見は内閣総理大臣といたしまして差し控えたいと考える次第でございます。
日米会談の基本的案件、条件等について御質問がございました。
一月に予定しておりまする訪米の際は、微妙に変化しつつある国際情勢あるいは日米間の諸問題等々につきましてレーガン大統領と隔意なき懇談を遂げまして、相互の理解を深め、かつ日米間の信頼をさらに強化するという努力をしてみたいと考えておるところでございます。
その中で、日米防衛協力問題等について御質問がございましたが、私は、前から申し上げますように、日本の防衛の基本は、まず第一にみずからの国はみずから守るということ、第二番目に、足りないところは友好国と安全保障体系を結成いたしまして協力して守るということ、第三番目は、これにふさわしい環境を整備すること、たとえば備蓄の問題もあり、あるいは平和外交、軍縮問題、国際世論の喚起等々もございます。いわゆる総合的安全保障政策と言われる部分でございましょう。これらの組み合わせによりまして日本の安全保持をやっていきたいと思っておるわけでございますが、アメリカは、第二番目に当たります日米安全保障体系の重要な相手方でありまして、この日本とアメリカの間に信頼性を強めていくということは政治家として心得べきことであると考えておるのであります。いずれにしても、われわれは平和憲法のもとに専守防衛に徹する、そういう基本的防衛政策に徹しまして推進してまいりたいと考えるわけでございます。
軍事大国とはいかんという御質問でございましたが、わが国は、専守防衛のもとに非核三原則を堅持して、自衛のために必要最小限度の範囲内で節度ある防衛力を整備するという方針でございます。この範囲を超えまして他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持することになれば、それはいわゆる軍事大国ではないかと思います。わが国はこのようなものを目指しているものでないことはもとよりのことでございます。
近隣諸国の懸念について御質問がございました。
いわゆるシーレーンの問題は、わが国の防衛力の整備の一つの部分といたしまして輸送航路帯等を検討しておるわけでございます。いずれもこれらは先ほど申し上げました専守防衛の範囲内において考えておるものでございまして、近隣諸国に何ら脅威を与える性格のものではございません。
なお、これらの諸国の一部に若干の反応はございましたが、外交当局が努力いたしまして、事情を御説明申し上げまして御理解をいただいたと聞いております。なお今後とも誤解が生じないように努力してまいるつもりでございます。
貿易摩擦、特に農業問題について御質問がございましたが、いままでわが国は数次にわたりまして農産物等についても自由化あるいは規制の解除等を行ってきておるわけでございます。わが国の農業にはわが国特有の特異性がございます。そういう事情もよく相手方に説明をし、また相手方の意見も十分よく聞いて、そうして相互に理解を得る妥当な結論を得るように努力してまいりたいと思っております。
行政改革につきましては、行政改革は現下の最大政治課題の一つでありまして、政府は一体となって取り組む考えでございます。当面の具体的政策は、九月二十四日に決めました行政改革大綱を順次実現していくということでございます。
具体的には、今国会に御提案申し上げました国鉄再建臨時措置法案を成立させること、次期通常国会を目途に提出をいま準備して努力しておりまする四共済年金の統合問題、それから公社の改革問題、電電、専売、国鉄に関する問題でございます。それから予算編成その他において立案ないし調整すべきものといたしまして、国鉄再建緊急対策十項目の推進、国民医療費適正化対策、それから食管等の財政負担軽減対策、それから補助金等の整理等の問題を来年度予算編成とあわせまして努力してまいるつもりでございます。
景気対策について御質問がございました。
経済の現状は先進諸国に比べますれば比較的日本は良好であると思いますが、景気の足取りは力強さを欠いております。したがいまして、公共投資の推進、住宅建設の促進、中小企業対策、災害対策、不況産業対策、内需の拡大及び雇用対策等を中心とする総合経済対策を先般決定いたしまして、その一部として今回補正予算にも項目を計上しておる次第でございます。
政府は、経済成長率につきましては、五十七年度の実質成長率を三・四%に改定いたしました。この三・四%程度は可能であると考えております。今後とも内外の経済動向を注目しながら機動的な対策をとるべく考えておるところでございます。
財政再建につきましては、五十九年度赤字公債脱却という考え方は最近の数字を見まして著しく困難になってきたと考えております。したがいまして、経済七カ年計画に対しまして新しい新五カ年計画をいま策定中でございます。この五カ年計画と見合いまして財政再建の新しい計画を策定すべくいま準備、努力しておる最中でございます。
最近の情勢が第二次石油危機を経まして非常な世界経済の冷却化と同時に、わが国財政収入の落ち込みが顕著に出てまいりました。そういう場面も踏まえまして、経済計画につきましては、より着実な現実的な観点を取り入れる。それと同時に、将来に対する展望あるいは未来に対する希望も持てるような経済計画でなければならぬと思っておりまして、それらについてせっかく経済企画庁を中心にしてつくっていただいておる最中でございます。
それから財政再建の具体的方策につきましては、今後とも重要な課題といたしまして、歳出の見直し、合理化の徹底、それから五十八年度予算の編成におきましても一般歳出を前年度同額に圧縮する意気込みで努力して、この歳出構造につきまして検討を加えます。それと同時に、歳入構造につきましても、増税なき財政再建の基本線を維持しつつ、歳入構造の見直しを行いたいと考えております。
国債処理につきまして御質問がございましたが、これは大蔵大臣に答弁をお願いいたしたいと思っております。
地方交付税の交付繰り延べに対する措置につきましては、地方交付税の十一月交付分につきましてはすでにその一部を実施しております。残余の額は、交付税特別会計において資金運用部から借り入れる必要がありますために、その根拠法となる地方交付税法等の一部を改正する法律案の成立を待ちまして、可及的速やかに地方団体に交付する予定でおります。
仲裁裁定につきましてはすでに申し上げましたとおり、与野党間でその取り扱いに関し合意が成立いたしまして、国会の御判断に従う考え方でございます。与野党間の合意は、十二月七日に、仲裁裁定については今国会中に裁定どおり議決いたしますということであります。
人事院勧告につきましては、労働基本権の制約、良好な労使関係の維持等に配慮しつつ検討しておるところでございますが、未曾有の危機的な財政事情のもとにおきまして公務員の皆様方にも痛みを分かち合っていただかなければならない、まことにやむを得ざる残念な措置として、そして特例の異例の措置として給与改定の見送りを決定した次第でございます。
減税問題につきましては、衆議院大蔵委員会の小委員会におきまして、財源を模索しつつ、いまその具体的方途を策定中でございます。この与野党の合意が得られましたならば、これを尊重して実施いたしたいと考えております。
財政再建の推進を図りつつ、景気の着実な回復を図り雇用の安定を確保するために、先般、内需の拡大あるいは不況対策等の総合経済対策を決定いたしましたが、これらの経済対策を一面に推進すると同時に、御趣旨に沿いまして政治の倫理の向上、国民生活に密着した政治のあり方を探求しつつ懸命の努力をいたしたいと思っております。
以上で御答弁を終わりにいたします。(拍手)
〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕