中曽根康弘の発言 (本会議)
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○国務大臣(中曽根康弘君) 下田議員にお答え申し上げます。
北炭の夕張の事故について御指摘がございましたが、多くの従業員の皆さんが職を失うに至ったことはまことに痛ましく、残念に思う次第でございます。政府といたしましては、保安の確保等万全を期することにより、二度とこうした事故を繰り返さないように戒めたいと思います。
家庭の問題について御質問がございましたが、私は、日本のたくましい文化と福祉の国をつくる上について家庭は大事な原単位であると考えておるのであります。しかし、現実には多くの母子家庭あるいは失業に苦しむ家庭等もあることは十分承知しております。さればこそ、このような家庭一つ一つを大事にして政治の光を当てようというのが私の考え方なのであります。
組閣についていろいろ御批判をいただきましたが、わが内閣は、行政改革、財政再建、日米関係の信頼強化、景気対策等を当面の重大な任務と考えておりまして、これらの仕事をやり得る人物本位の組閣をやったと考えており、いままでのような順送りとかあるいは派閥にとらわれた考え方から脱却いたしまして、派閥を超えた人材の簡抜を行ったと考えております。このような趣旨は、これからの仕事と実績において国民の皆さんに見ていただきたいと考えております。
殖産住宅に関する問題について御質問がございましたが、これは昭和五十二年四月十三日の国会の証言で申し上げたとおりでありまして、東郷社長は私と旧制静高の同窓生でございますが、株式上場に際しまして同級生あるいは友人等の名義を借りまして、そして株式の売買をやった。会社防衛の意味もあったと思います。しかし、私の場合は、私の名前を借りるということをしないで私の秘書の名前をお使いになった。そういうことで、金銭の授受があったわけでもございませんし、名前をわれわれは使われたということであると思っております。
次に、政治資金規正法の問題でございますが、衆議院選挙に際しまして選挙区における届け出についてずさんな点がありましたことはまことに遺憾でありまして、これは訂正をいたしました。
なお、ロッキード事件についての御質問がありますが、これも先ほどの証言で申し上げたとおり、児玉電話なるものはございません。
次に、仲裁裁定の取り扱いでございますが、先ほど申し上げましたように、仲裁裁定については与野党間でその取り扱いに関し合意が成立して、われわれはこの仲裁裁定の取り扱いについて国会の判断に従うと申し上げておるところでございます。
人事院勧告の扱いは、勧告制度尊重という基本的たてまえに立っております。しかしながら、現在の危機的な財政事情のもとにおきまして、やむを得ず異例の措置として今回は公務員給与改定の見送りを行った次第でございます。
公務員給与の改定の見送り自体は、所得の伸びの低下を通じまして個人消費に多少影響することは事実であると思います。しかし、給与改定を行うとした場合に、財源をどう調達するかということによって経済にいろいろな反応も出てまいります。増税で財源を調達するという場合は景気にマイナスの作用もあります。赤字公債で行うという場合には、情勢によっては物価に影響することもございます。そういう意味におきまして、この問題は中長期的な財政の対応力の回復という点から考慮する必要があると私たちは考えておるのであります。
しかし、民間賃金の決定問題は、これは労使間の自主的な話し合いで決定すべきものであるということは当然でございます。
恩給、年金の改善につきましては、先ほど来申し上げましたような財政状況等も考えますと、この問題の処理は厳しい情勢にあると申し上げざるを得ません。
臨時行政調査会の私学助成、国立大学定員の抑制問題について御質問がございましたが、第二次臨時行政調査会の第三次答申については、政府としては八月十日の閣議におきまして最大限尊重する旨を決めました。現内閣におきましても、この方針に沿いつつ、しかしわが国高等教育の振興には遺憾なきを対処してまいりたいと思っております。
農産物貿易問題につきましては、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的であります。これが市場開放に対するわれわれの考え方でございます。
一月に予定されている訪米に際しましては、わが国の農業の実情やこれまでの市場開放措置等をアメリカ側にも十分説明いたしまして、その理解を得ながら適切に対処してまいるつもりであります。
増税なき財政再建の基本方針は堅持してまいります。まず、行政の簡素効率化、制度、施策の見直し、歳出削減に努力を集中する考え方であります。歳入面についても増税なき財政再建の理念に沿いつつ、歳入構造の見直しを行いたいと思っておる次第であります。
行政改革は、国民に奉仕する行政改革であることはもとよりであります。この行政改革は、過去のひずみを直すという面もありますが、国の将来に明るい展望を開くための行政改革でもあります。政府といたしましては、既存の行財政のあらゆる分野にわたって聖域のない見直しを行い、簡素にして効率的な行政を実現する方針であります。今後とも国民各界各層の理解と協力を得つつ、行政改革を進めるつもりでおります。
非核三原則は、今後ともこれを維持していく方針であります。
日米防衛技術交流の問題につきましては、先般来申し上げますように、武器輸出三原則、政府の統一見解、それと日米安保条約等に基づく日米協力関係の問題がございます。この二つの要素を念頭に置きつついま慎重に検討を加え、関係各省においてその処理を練っていただいておるところでございます。
いわゆるシーレーンの問題につきましては、わが国の周辺海域数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度まで自衛の範囲内において海上交通保護を行い得ることを目標に防衛力を整備するという考え方であります。この場合、航路帯といたしまして、いまのところ南東方面、南西方面の二つのルートを検討しておるところでございます。鈴木前総理の米国での御発言はこのような従来からの政府の考え方を説明したものであり、われわれといたしましては専守防衛の精神のもとに、今後とも海上防衛の防衛力の整備に努力してまいりたいと思っております。
さて、外国特派員に渡しました私の文書についてでございますが、憲法につきましては、かねがね申し上げておるように、私は現憲法の歴史的役割りを高く評価している一人でございますが、しかし、常によりよきものへ志向して、制度、法律と同じく、一般的にこれを見直し、研究することは正しいことであると考えております。この新しい憲法というのは、そのような観点に立って自主的に制定するよりよき憲法という一般的意味を申し上げておるのであります。その具体的内容につきましては、総理大臣としては差し控えたいと思っております。
さて、私と竹村さんとの対談の中で解散問題と憲法の問題をとらえて御質問になりましたが、私のこのときの答弁は、調べてみますと、内外情勢に基づいて準備をする、つまりすぐ解散するとか政治課題にするという意味じゃなくして、国民的コンセンサスを得るためにまず準備をすることが大事だ、そして正しい事態を国民に知らせることが第一であります、そう答えておるのであります。御理解をいただきたいと思います。
戦前のわが国の行為について御質問がありましたが、過去の大戦におきまして、わが国の行為がアジアの国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚しております。私の過去の発言についてお言葉がございましたが、私の青雲塾綱領の中にも、アジア復興につきましては謙虚な立場に立って奉仕する、そういう文章もあるのでございます。
また、戦前のわが国の行為につきまして、昨日も答弁申したとおり、国際的には侵略であるという厳しい批判を受けていることは事実であり、この事実は政府としても十分認識をし、そして第二次大戦は遺憾な戦争であったと申し上げておるのであります。
アジアに対する認識について御質問がありましたが、アジア諸国はわが国にとり平和と繁栄を分かち合う重大な隣人でございます。この地域の平和と繁栄のために積極的役割りを果たしていくことは、わが国外交の最重要課題の一つでございます。私は、総理大臣就任早々ASEAN諸国の首脳部の皆さんに電話をいたしましたのも、そういう精神に基づいて行ったのであります。この認識に基づきまして、アジア諸国との一層の相互理解と友好関係の強化のために努力いたしたいと思います。(拍手)
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