大森昭の発言 (本会議)

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○大森昭君 私は、日本社会党を代表して、総理並びに関係閣僚に、国民の身近な諸問題について若干角度を変えまして質問したいと思います。
 まず、総理にどうしても最初にただしておかなければならないことは、政治姿勢の根底にある政治倫理の問題であります。
 総理、世の中では新内閣を中曽根政権と素直に言う人というのは少ないのでありまして、多くは直角だとか、あるいは純角だとか、角防だとか、傾角だとか、まあひどいのになりますと田中・曽根政権などと言っております。
 総理、世論は、あなたの「わかりやすい」政治という趣旨に反しまして、わかりにくい政権ということを言われております。その最大の理由が、つかみどころのない政治姿勢によるものであり、とりわけ政治倫理の欠如にあるのではないでしょうか。
 そこで、私は、政治倫理について一つだけあなたにただします。
 それは、裁判で有罪判決を受けた国会議員は、みずからどう国民に対処すべきかということであります。総理、あなたは政治の最高責任者として、「最終的に本人が判断すること」だということを繰り返しております。しかし、繰り返しの答弁でありますが、それでは済まないのではありませんか。仮に私がそのような立場にあれば、直ちに私は辞職をいたします。まことに失礼でありますが、仮にあなたが当事者となった場合にはいかがされる所存でありますか。私は、国民の信頼を不可欠とする公的な立場にある政治家としての倫理観をただしておきたいと思うのであります。
 次に、私は景気対策についてお尋ねいたします。
 自民党が国会で絶対多数を占めてからすでに二年六カ月を経過しましたが、この間、自民党の経済運営は完全に失敗であったと言わざるを得ません。深刻な財政危機、不況からの回復のおくれ、失業の増大、中小企業経営の不振、所得の格差や地域ごとの格差が拡大するなど、いずれも政府・自民党が適切な対応を誤ったからであります。
 特に、ここで私が問題にしたいことは、われわれが主張しておりました一兆円減税や内需拡大を実行することなく、いまだに個人消費を低迷させている政府・自民党の責任についてであります。現在のように景気が悪くなれば個人の所得も伸び悩み、それに伴って購買力は低下し、生産高は減少し、そのことが不況と国民の生活不安を一層深刻にさせているという悪循環をつくり出していることであります。総理、あなたは、私どもはそういう主張をしておりますが、どういう具体的な打開策をお持ちになっているか、お伺いしたいと思うのであります。
 所得税は、減税がないと自然に増税される仕組みになっております。景気回復のかぎと言われる個人消費を低迷させている最大の理由は、可処分所得の減少にあることは明らかであります。加えて、スト権、団交権を剥奪され、その代償としての仲裁裁定、人事院勧告の完全実施は当然のことであるにもかかわらず、これを渋っているなどということは、さらに景気回復をおくらすものとして絶対に容認できません。現在、野党が一致してこの完全実施を要求しているのもその意味合いからであります。
 所得減税について、総理、あなたは与野党で財源を見つけてもらいたいとか、あるいは特別小委員会で一致したらということを言っておりますが、一国の首相として余りにも不見識ではないでしょうか。すでに野党の方は一兆円減税の具体的な案を提示をしているのであります。いま問題は政府・与党の決断にあり、あなたが決断すべき時ではないでしょうか。明確にお答えをしていただきたいと思うのであります。
 また、五年連続の課税最低限度の据え置きによって国民生活の上に税金が重くのしかかってきております。とりわけ課税最低限度の是正は、政府の怠慢によるものと言わざるを得ません。税の不公平感を一層増幅するものでありますので、いま直ちに実行してもらいたいと思うのでありますが、大蔵大臣の所見はいかがでしょうか。
 次に、中小企業対策について質問いたします。
 景気動向の指数は昨年十月に五〇%を超えたものの、それ以降ずっと五〇%を割り、景気は収縮過程にあり、この中で中小企業の苦しさは一段と深刻なものとなっております。企業倒産件数も千五百件を超えた十月の実情からしても、効果的な対策を打ち出すべきであると思います。さきの総理の答弁では、貸付金を用意するとか、総合的対策を講ずるということであり、そのことも必要でしょうが、それが当面を糊塗する一時しのぎの中小企業対策であってはならないと考えているところであります。
 たとえば、中小企業向けの官公需は直接に中小企業の仕事に結びつくものとして、その役割り、期待には大きなものがあります。毎年閣議決定によって決められ、その割合も少しずつではありますが、ふえております。しかし、ことし九月の行政管理庁から出された報告書によりますと、大企業と中小企業の定義や区分に誤りのあったことが指摘されております。本来中小企業に発注すべきものを大企業に発注したり、発注の区分を不正確にして、中小企業の受注がしにくくなるようなことがあること自体大変な問題であります。総理及び通産大臣に見解を伺いたいと思います。
 次に、農産物の自由化などについても再三質問が出ておりますが、恐らくレーガン大統領との会談において、あなたは農産物の自由化、輸入枠の拡大について強く要請を受けると思うのでありますが、あなたは具体的にこの会談の中でどのような回答あるいは約束をする所存でありますか。この点についても明確な御答弁をいただきたいと思うのであります。
 あわせて減反政策についても、政府の変更について明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 次に、深刻化しつつある雇用問題についてお伺いをいたします。
 雇用情勢が好転したら景気の回復は本物だとよく言われますが、昨今の雇用情勢は昭和三十一年以降二十六年ぶりの悪い水準にあります。それは特定業種ということではなく、全業種に、しかも全国的に広がり、十月現在で百三十九万人の失業者を出しております。うち四十六万人が男子世帯主であります。五万人が女子世帯主であるなど、これまでにない異常な事態が続いております。諸外国と比べればというお話でありますが、そういうことではこれは今日の雇用の状態というのはゆるがせにできないと思います。
 雇用の確保と創出のためには、何といっても早急に景気の回復を図ることが必要であると思うわけであります。その際わが国がとるべき経済政策は、国内需要を適切に引き上げ、これに見合った経済構造に改革し、経済の分権化を図るなど社会システムの転換を図り、福祉型成長を実現する方向を目指すべきであると思います。
 そしてまた、このような景気回復と産業構造の転換の方向の上に、私は、第一には、構造不況下にある素材産業の急激な転換を避けるために、企業グループの社会的責任と地域産業育成を可能にする緩やかな転換を図っていく必要があると思います。第二に、今後雇用に大きな影響を及ぼすロボットやオフィスオートメーションの導入について、雇用問題を生じさせないように一定の社会的規制を加えていく必要があると考えるものであります。以上、当面する雇用対策について労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
 さらに、閉山に追い込まれた北炭夕張新炭鉱の再開発について総理の所見を伺いたいと思います。
 今日の石炭鉱業は深刻な経営実態を露呈し、政府の適切な措置なくしては第七次政策の二千万トン体制に甚大な打撃を受けることは明らかであります。政府の責任は重大であります。今後、夕張新炭鉱は、労務賃の早期支払い、雇用対策、地域経済等の緊急課題とともに、特に安倍前通産大臣の基本方針として出された、山の再開発の実現のため新会社設立に最大限努力するとの見解が表明されましたが、これが早期実現のために総理の確固たる御答弁を求めるものであります。
 次に、婦人問題について申し上げます。
 現在、婦人労働者は千三百九十一万人となっております。総労働者数の三四・五%を占めるに至りましたが、このうち低賃金や不安定な労働環境に置かれておるパート、臨時雇いなどは実に二百六十六万人に上っているのであります。
 以上の実態に思いをはせるとき、まず第一に、婦人労働者に多いパートの課税最低限度を現行の七十九万円から百二十万円に引き上げること。第二に、健康保険、厚生年金、雇用保険などへの加入を常用労働者と差別なく実施すること。第三に、家内労働者の工賃は地域最低賃金を下回らないことなどは早急に改善すべきだと思うわけであります。あわせて、家内労働手帳を完全に交付するよう指導を強めるべきだと考えます。
 政府は、一九八五年までに婦人差別撤廃条約を批准する義務を国際的に負っておりますが、早期完全批准についてどう考えているのか、あわせて御見解を賜りたいと思います。
 また、優生保護法について厚生大臣は、同法改正に慎重な態度をとると表明しておられますが、この点、総理の考え方をお伺いしたいと思います。
 最後に、法務大臣に一言お尋ねいたします。あなたが問題のゲーム機製造業者らの協会の顧問をしていたことについていろいろ新聞報道がされておりますが、中身は私にはよくわかりませんが、いろいろな記事の中で今日あるわけでありますが、正直にひとつ御見解、弁明などをいただきたいと思います。
 以上をもって私の代表質問を終わりますが、ただいま申し上げました質問事項はいずれも国民にとってきわめて重要な関心事でありますので、総理初め関係大臣は、いままで三日間を通じましていろいろ答弁を聞いておりますが、率直に申し上げまして少し答弁に誠意がないのじゃないか、あるいは具体性がないのじゃないかというふうに感じられますので、切に、私の質問に対しましては誠意をもって御答弁していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109715254X00519821210_027

発言者: 大森昭

speaker_id: 6313

日付: 1982-12-10

院: 参議院

会議名: 本会議