森井忠良の発言 (社会労働委員会)
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○森井議員 御質問が長うございましたので、あるいは落ちがあるかと思いますけれども、私なりに整理をいたしましてお答えをいたしたいと思いますや。
第一点は明治憲法、いわゆる帝国憲法のことについてお触れになりました。帝国憲法下でも大正デモクラシー等があったではないか、したがって国民が目覚めておればそういった侵略的な戦争は起き得なかったのではないかという御指摘がございました。
これは白川委員、私どもが体験をいたしましたことを一つ二つ申し上げますとわかるわけでございますが、私の家にわずかな田畑がありました。それを軍隊が何とか使いたいということになりました。当然のことでありますが、私のおやじは抵抗いたしました。そうしましたら、ある日憲兵隊が参りまして、そして東方遙拝をさせまして、東方遙拝というのは昔は皇居に向かって礼をするわけでございますが、東方遙拝をした上で、四の五の言わずに判こをつけということでつかされまして、そのままとられました。
私どもは小学校時代を通じまして、すべての学校だったと思うのでありますが、ちゃんと教室の正面には天皇、皇后両陛下の写真がございまして、そして毎日拝まされておりました。いまの憲法と違いまして、要するに天皇は神様という発想でございました。実はこの天皇を利用して軍国主義が台頭したわけでございますけれども、このこと一つを例に申し上げれば御理解がいただけると思いますように、少なくとも明治憲法の時代にデモクラシーがあったということは、残念ながら私は全く考えられないというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがって、あくまでも一握りの軍国主義者によって起こされた戦争であるというふうに私は認識をいたしておるわけでございます。
それから二点目といたしまして、同じ戦争をやるにしてもいろいろあるじゃないか。なるほど、通常の戦闘ということもありますし、原爆を投下する、あるいは毒ガスや生物化学兵器を使うというふうな、悪質で、卑劣で、悲惨なやり方をする場合もございました。御指摘がありましたように、戦時国際法というのは、国際紛争が起きた場合は少なくともいまおっしゃったように理性に基づいてこういうことをしようじゃないかという一定のルールでございまして、わが国も批准したものがたくさんございます。したがいまして、戦時国際法というのはいまなお生きておるわけでございます。
なるほど、たとえば相手の軍隊を通常兵器による攻撃をするというふうなことは、やむを得ないで戦争を起こした以上はやはり相手を倒さなければならないというようなこともございましたのでしょうか、いずれにしても通常兵器による戦闘というのは、戦闘員同士なら戦時国際法から言うならば認められておったと思うわけでございます。しかし、原爆は明確に戦時国際法に違反をする。なるほど、明文化されたものあるいは慣習化されたものは、毒ガスあるいは生物化学兵器、そういったものについては禁止をされておりました。しかし、もう白川委員、御案内のとおりでありまして、原爆はそれ以上の悲惨な兵器であります。したがいまして、これは明確に違反をするということで、あえて広島、長崎に原爆を投下された、特に長崎に投下された明くる日、昭和二十年の八月十日に日本政府はわざわざ、これは戦時国際法の精神に違反をするということで、アメリカ政府を糾弾するという政府声明を出しておるわけであります。これは政府声明でございます。そういうふうな状況から見ますと、明らかにこれは、いま白川委員もお認めになりましたように、原爆は戦時国際法に違反をするという点については全くあなたと認識が同じでございます。
そこで、そういった戦時国際法に違反をする原爆投下を一体だれがしたのか。最高裁判所の判決等によりますと、直接的にはアメリカが投下をいたしましたから、したがってアメリカが戦時国際法に違反をしているということになる。しかし、その背景には日本政府が起こした戦争が原因でございますから、したがって日本政府もその責めを負うべきだ。法律に違反すれば当然損害賠償というのは出てくるわけでございますが、昭和二十七年のサンフランシスコ条約によりまして、対米請求権というものは日本は一切放棄をいたしました。しかし、広島や長崎の被爆者や遺族が放棄をよろしいと同意をしたものでも全くないわけでございます。政府の責任において損害賠償の請求権を放棄した以上は、政府がそういった被爆者等に対して損害賠償すべきである、こういうふうに私どもは認識をしておるわけでございます。