楢崎弥之助の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○楢崎弥之助君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表し、五十八年度予算三案に対し、反対の立場から討論をいたしたいと存じます。
 五十八年度予算総額は五十兆三千七百九十六億であります。いまはやりのごろ合わせをいたしますと、私なりにはこう読めます。ゴハミナクロ。いま懸案の政治倫理問題と重ね合わせたときに、まことに意味深長な予算案の数字でありましょう。
 去る一月二十六日、総理犯罪に対して下された論告求刑、懲役五年、追徴金五億円。殖産住宅事件において東郷被告から一度は中曽根総理に渡されたと言われておる政治献金が五億円であります。それにまた、あのロッキード事件においてDC10とL一〇一一が入れかわるという陰謀説が流れたとき、児玉事務所から中曽根総理に電話がかけられて、その政治工作を頼んだと言われる日が昭和四十七年十月五日、またここに五の字がついておるのであります。ゴハミナクロ、予算案の内容を暗示する数字であると言わなければなりません。
 昭和五十八年度予算は、きわめて厳しい内外情勢をいかに打開していくかの処方せんであり、同時に治癒策でなければなりません。私たちが来年度予算に求める課題は、まず第一に、国民生活及び国民経済の安定と向上であり、第二に、長期低迷状態にある経済の速やかな回復、第三に、行政改革を中心とした財政再建の実質的な着手、そして第四に、社会的不公正の速やかな是正であり、これらの課題を達成するための歳入歳出の両面にわたる合理的かつ効率的な予算であります。
 五十八年度予算案は、一般会計を前年度当初比一・四%増、財政投融資計画を同二%増とした超緊縮型予算案となっており、財政の再建が急務である折、外見上、それなりの評価が可能なものとなっております。しかし、その内容をつぶさに検討いたしますと、国民生活の実態を無視し、景気動向にも配慮がなされていない、つじつま合わせの実態が明らかになってまいります。
 厳しい財政状況のもとで編成される五十八年度予算は、すでに破綻した財政再建計画を一から見直し、将来展望に立った財政計画を策定し、その計画の初年度の予算として位置づけられるものでなくてはなりません。しかしながら、予算委員会の質疑等を通じて明らかになったことは、このような明確な計画も将来への展望もないままに、基本問題への対処をすべて先送りし、合理的、効率的予算への改革も不十分なまま、不足額を国債の発行と予算編成上の技術的粉飾によって数字合わせを行っている実態であります。まさにこれは場当たりの対処策でしかありません。
 前年度踏襲主義のもとでの一律削減は、むだな施策、非効率な組織、機構が温存され、その一方で、福祉、文教など真に国民生活に必要な予算までをも削減する結果を招来しております。このような予算編成手法は、国民の期待を裏切るのみならず、国民生活を脅かすとすら言わざるを得ないのであります。
 国民が中曽根内閣に求めるものがあるとすれば、日々の暮らしの安定、すなわち国民生活の防衛であります。ここ六年間、予算案の審議が行われる中で、国民が常に注目し、期待してきたのは、所得税減税の実施ではなかったでしょうか。国民の重税感、また、課税の不公平に起因する不満は、いまや頂点に達しております。今年の予算審議の過程でも、この減税の問題が最大の課題とされ、私どもを含む各野党が、減税を実施するために、政府・与党と幾たびかの折衝を行ってまいりました。その結果、今年度中に減税を実施することの合意を見たわけではありますが、残念なことに、いまだにその具体的な実施時期も、また減税の規模等、その内容も明示はされておりません。
 私たちは、早くから、行財政の改革と不公平税制の是正により、減税財源は生み出せると主張してまいりました。税負担の公平は、徴税側である国の義務であり、最も重要な政治的責務であります。減税は国民の大きな願いであり、政府のあいまいな態度は国民の不信を呼ぶのみでありましょう。政府の具体的かつ早急な決断を求めます。
 現在の景気状況は、まさに底冷えの感があります。失業率は先進国中で最低とはいえ、二・四%台と昭和三十年代以来の高さで推移しており、倒産件数、負債総額とも一向に改善の気配が見られません。各種の経済指標も一進一退の跛行状態を続けております。公共事業費は、五十五年からの据え置きによって、実質ではこの間に一二%ないし一三%もマイナスになっております。中小企業対策として行われる投資減税も、その効果は、やらないよりはまし程度の内容であり、住宅対策も数字のみ先行し、実質的な効果は期待できません。限られた財源であれば、それなりに工夫が必要であります。財源がないならないで各種の規制を緩め、民間の活力を引き出す努力がなされるべきでありましよう。
 減税もやらない、景気対策としての財政支出もない、さらに工夫の跡もない。これでは、景気に対して財政が中立どころか、足を引っ張っているとさえ申し上げるしかないのであります。
 五十八年度予算の特徴として、だれの目にも異常に映るのは、防衛費の突出であります。防衛費は、一般歳出の伸びが前年度比マイナスゼロという厳しい抑制の中、概算要求時点から特別枠を与えられており、大蔵原案の段階でも異常な伸びでございました。このバランスを失した防衛庁の要求に対し、削減どころか、政治的決断という総理の一言で、原案を上回る前年度比六・五%増の予算が認められました。この結果、後年度負担も二兆円に迫る史上最高の額に上っております。
 国民の理解と協力のない防衛構想は、まさに画餅以外の何物でもありません。国民生活に直結する予算が削られる中、本質的な議論もないままに、防衛費のみを突出させた予算案は、国民の防衛支出に対する許容を超えたものであり、日本の防衛の観点から見てマイナスでしかありません。
 国民の防衛に対する合意でもある防衛予算のGNP一%以内という政府方針も、五十九年度には放棄が必至となっております。私たちは、歯どめなき軍備拡張路線への道を一歩前進させる今回の予算案には、とうてい賛成できるものではありません。
 前内閣は、行政改革を当面する最も重要な政治課題とし、前総理はこれに政治生命をかけると言われておりました。中曽根内閣も、この路線を踏襲することを宣言されており、その意味から、本予算案は中曽根内閣の行政改革に対する姿勢を判断する指標でもございます。しかし、残念ながら全くの期待外れとしか申し上げられません。
 第二次臨時行政調査会が設置され、すでに第四次までの答申が出されております。本予算案にも、そのうちの幾つかの指摘が生かされてはおります。しかし、実行されておる改善策にしても、答申に具体的改革が明言されている事項に限られ、いわゆる三Kについての改革の放棄はその象徴的事例でありましょう。
 この三月十四日には最終答申が出されると聞いております。行政改革に期待を持って注目している国民に失望を与えることのないよう、あらかじめ政府にその完全実施を求めておきます。
 以上、私たちは、昭和五十八年度予算三案に反対するものでありますが、この際、もう一度政府は、現在の日本が置かれている位置に深い認識を持ち、また、行政改革の原点に立ち戻り、その初心を貫かれることを強く望むとともに、長く放置されている税の不公平の改善に速やかに着手し、国民の不満、不安を払拭されるよう要望し、反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 109805254X01019830308_022

発言者: 楢崎弥之助

speaker_id: 20075

日付: 1983-03-08

院: 衆議院

会議名: 本会議