小林進の発言 (予算委員会)

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○小林(進)委員 モンゴル大使館存置の問題は、これはひとつ将来継続して私もまた改めてやらしていただくことにいたします。
 時間がありませんから、次に、これは外務大臣と厚生大臣も関係いたします。ちょうどいましゃべることは余り時宜を得ないのでありまするが、ちょっとお許しいただきたいと思うのであります、しゃべる機会がないものでありまするから。
 二十七日から中国残留孤児が四十五名日本に来て親、親類捜しということをやっております。これは人道上の問題で重大な行政の一つでありまするから、私はもとより賛成であります。賛成でありますが、これに関連して、政府は一体この問題について中国側がどう考えているかということをお考えになったことがあるかどうか。
 これは二つの問題点があります。一つは、せっかく親捜しに来たが、来たその人が結局中国における三十七年、三十八年、父として母として一緒に暮らした養父母との関係がこのために貧しくなって、定着した中国における家庭が破壊されるという問題。それからまた、本人は日本へ来たら日本の文化にあこがれて、今度は本国に帰るのがいやだ、日本に定着したいというので、二十年なり十五年連れ添ってたのが夫婦別れをするとか、あるいは産んだ子供を中国に存置をして自分だけが日本に帰ってくるとか、あらゆる悲劇が生じている。だから中国は、せっかく戦争が済んで三十七年もたって、事態が安寧定着をしているときに、むしろ死んだ子を起こすような形でこれをやっていただくことは中国側は非常に迷惑だ、こういう意見が一つある。
 しかし、それよりももっと大きな問題は、一体その残留孤児は日本人だけかという問題がある。いま来ているのは黒竜江省の孤児が一番多いのでありますが、私は黒竜江省へ毎年行っている、三江平原の問題がありますから。現地で聞きますと、一体孤児は日本人だけか。日本の一つの侵略戦争、こう言ったならば問題があるかもしれませんが、侵略戦争のために父を失い母を殺され家族を殺された中国自身の孤児が何万、何十万いるのだ。それも、中国の国土の中でいわゆる孤児として惨たんたる生活をして、いまでも日本のために家族、両親をやられたという切々たる恨みを腹の中に持ちながら、われわれはせつない逆境の中に生きてきたのだ、その生きてきたときに、われわれのせつない気持ちに対する一点の考慮もない。ただ日本の孤児だけ日本の孤児だけということでお祭り騒ぎをしていたときに、この中国の孤児の心情を一体どう考えているか。なおかつ、この戦争の惨たんあるいは悲惨な中から、われわれは日本に対する恨みも忘れたい忘れたいと思っているさなかに、この日本人孤児の問題でまた新たに日本に対する恨み、そういう気持ちにわれわれは火をつけられている、こういう問題を日本の関係者、政府はどう考えているか。
 だから、結論から言えば、本当にこの戦争の惨禍から中国の孤児も含めて何とかその傷痕をなくしたいというならば、せっかく落ちついている現状に火をつけるようなことをしないで、中国の孤児もたくさんいるようなそういう黒竜江省、吉林省や遼寧省あたりに日本の政府が――中国は一銭も賠償金を取らないでしょう。賠償金を取らない。戦争のことは過去の夢と見てあきらめているというのだから、そのことも勘案をして、その地域に対する日本人の気持ちが通ずるように、あるいは経済的援助でもしていただくとか産業的な援助をしていただく。私がやっております三江平原の農業開発等にも、そういうことを通じて温かい施策を講じてみんなが、中国の孤児も日本の孤児もともに幸せになるような、そういう政策を考えてもらえないか。これは現地の声です。こういうことに対してひとつ率直な御意見を承っておきたいと思います。

発言情報

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発言者: 小林進

speaker_id: 8598

日付: 1983-03-03

院: 衆議院

会議名: 予算委員会