嶋崎譲の発言 (予算委員会)

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○嶋崎委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました予算三案についての動議を提出し、その理由と概要を説明いたします。
 まず、動議の主文を朗読いたします。
  昭和五十八年度一般会計予算、昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、左記要綱により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
  右の動議を提出する。
 そこで、組み替え動議の提案の理由について申し述べます。
 政府提出の昭和五十八年度予算案は、わが国が当面している課題にこたえていないばかりでなく、逆に事態を一層困難にするものであります。
 わが国が直面している課題は、防衛費を削減し、平和国家としての姿勢を内外に明らかにし、世界の軍縮、非核武装を通じて世界平和に貢献するとともに、長期不況のもとで苦しめられている国民生活を向上させ、経済を内需中心の安定成長に向かわせ、財政を再建することであります。
 しかるに、政府予算案は軍事費を突出増額させ、福祉、教育を切り詰め、所得税減税を行わず、国民に犠牲を強いる軍備拡大、生活圧迫、経済財政悪化の予算となっているのであります。
 その理由の第一は、軍事費を聖域化し、三年連続突出増額をさせていることであります。これは危険な米国のレーガン戦略に加担し、軍拡と戦争の危険を激化させるものであり、この危険な動向は、十六兆円にも及ぶ五六中期業務見積もりや総理の不沈空母、日米運命共同体発言によって一層明らかになっているのであります。加えて政府が、武器輸出禁止三原則を公然と踏みにじり対米武器技術提供を決めたことは、憲法よりも安保条約を優先させ、国会の意思を無視するものであり、断じて容認することはできません。
 その二は、年金、福祉、教育の実質切り下げが行われていることであります。長期不況のもとでの失業の増大、中小企業の倒産で国民が苦しんでいるときこそ社会保障は充実しなければなりません。しかるに、政府予算は年金の物価スライドを行わず、福祉諸手当を据え置き、老人に医療費の負担を強い、私学助成、教育費の削減すら断行しています。
 その三は、所得税減税を六年連続実施しなかったことであります。この六年間で所得税の国民所得に対する負担率は四・三%から六・一%へと一・八ポイントもふえ、この負担増分は額にして四兆円をはるかに超えるのであります。したがって、勤労国民の一兆円以上の減税要求はささやかな要求であり、政府は与野党話し合いに基づく議長見解を尊重し、所得税減税案を直ちに提案すべきであります。あわせて住民税減税をも実施すべきであります。
 その四は、わが国の経済の不況をさらに深めるおそれがあることであります。公共事業費の一部は前年度において先取りされており、実質減となっているのであります。したがって、生活関連公共事業をふやし、中小企業への助成を充実させることによって、景気に対し、てこ入れし、経済を安定成長に向かわせる予算をつくることが必要であります。
 その五は、不公平税制の是正が不徹底な上、不要不急経費の削減が不十分であり、財政再建の方途が全く不明確なことであります。グリーンカード制度の延長を初めとして富裕者、大企業への適切な課税を怠っているばかりでなく、財界向け補助金等には手をつけず、経費節減が不十分であります。大量な赤字公債への依存を続け、財政再建計画をさえ明らかにしないままに、大衆増税である大型間接税の導入を企図しているのは本末転倒と言わなければなりません。
 第六は、地方財政をさらに困難に陥れていることであります。地方交付税特別会計の借入金利子は全額国が負担すべきであり、地方自治体に負担を転嫁させるべきものではありません。
 その七は、人事院勧告の扱いについてであります。政府は、議長見解、ILO勧告を尊重し、人事院勧告を完全実施すべきであります。昭和五十七年度人事院勧告の凍結は、賃金の引き上げを抑制し、年金の実質的な切り下げをもたらすなど、全勤労国民に影響する問題であり、断じて認めることはできません。
 以上の理由により、日本社会党・護憲共同は、昭和五十八年度政府予算案を承認することはできません。したがって、政府提出予算案を撤回の上、最低限、次の基本方針及び緊急重点組み替え要綱に基づき速やかに組み替えることを要求するものであります。
 そこで、組み替え動議の基本方針について申し上げます。
 日本社会党・護憲共同は、財政の中期目標を計画的に達成するための第一歩を踏み出す予算として、昭和五十八年度予算を次の基本方針に基づいて編成するべきであると考えます。
 その基本方針の第一は、軍事費を聖域として認めず、削減の対象とし、後年度負担を減らし、次年度以降もGNPの一%以下とすること。
 第二には、年金、福祉などは実質を維持し、低い水準にあるものは引き上げ、教育、雇用対策は充実し、一兆六千億円規模程度の所得減税を実施すること。
 第三には、公共事業は事業量を維持し、住宅などの生活関連投資を拡大し、中小企業の受注をふやし、前項の施策による個人消費の拡大とあわせて経済の回復を促進すること。
 第四には、不公平税制の是正により歳入を確保し、歳出のむだをなくし、国債の発行額を減らして財政の再建を目指すことであります。
 続いて、組み替え要綱について申し述べます。ここでは組み替え要綱の主な点についてのみ申し上げ、詳細はお手元に配付されている動議の文案を御参照いただきたいと存じます。
 初めに、歳入関係についてであります。
 この動議によれば、一兆六千億円の所得税減税を実施いたします。所得税を一兆五百億円減税し、標準世帯の課税最低限度額を二百一万五千円から二百四十二万四千円に引き上げます。あわせて住民税を五千五百億円減税し、地方財政に対する必要な財源補てんを行うことにいたしております。
 その財源は、ほぼ不公平税制の是正によるものといたしております。グリーンカード制度を実施し、利子配当所得課税の特例を廃止して総合課税とすること、配当軽課の廃止、退職給与引当金の圧縮などを行い、大企業に対する課税を適正なものとすること、企業、法人関係の租税特別措置を整理、改廃すること、社会保険診療報酬課税、配当税額控除などの特例措置を廃止すること等であります。
 次に、歳出関係について述べます。
 その第一は、防衛関係費の凍結であります。防衛関係費は昭和五十七年度当初予算額と同額とし、一千六百八十一億円削減するとともに、五六中期業務見積もりは凍結することであります。
 その第二は、福祉の水準を維持する対策であります。厚生年金、国民年金などの物価スライドを実施し、老齢福祉年金等を月額三万円に引き上げ、老人医療費の一部負担を中止し、難病対策、介護サービス、老人ホーム、精神医療などを充実することであります。
 その三は、教育条件の後退を認めない措置を講ずることであります。そのために私学助成をふやし、国公私立間の格差を是正すること、四十人学級教職員定数改善計画を進めることなどであります。
 その四は、生活関連公共事業に関連し、公営、公団住宅、公庫住宅の建設をふやし、公共下水道、都市再開発などの公共事業をふやすことなどであります。
 その五は、雇用の安定と確保であります。定年の延長をさらに助成し、高年齢者雇用率達成の義務化等を行うこと、臨時工、パートタイマーの労働条件を引き上げ、雇用における婦人差別をなくすこと、週休二日、週四十時間制を実現することなどであります。
 最後に、これらの歳出増は不要不急経費等の節減によって補てんすることといたしております。その方策は、一般行政経費を節減し、補助金等を抜本的に整理統合し、総額を削減すること、医療費のむだを省くことなどであります。
 右の組み替えにより、予算規模は政府案と同じ額とすることといたしました。
 以上、五十八年度予算案組み替え動議の提出は、多くの国民が期待し、切望するものであると確信をし、政府は潔く予算案を撤回し、速やかに組み替えを行い、再提出することを強く要求いたしまして、趣旨説明を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 嶋崎譲

speaker_id: 860

日付: 1983-03-08

院: 衆議院

会議名: 予算委員会