暉峻淑子の発言 (行政改革に関する特別委員会公聴会)

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○暉峻公述人 いまのストップの問題ですけれども、年金のレベルはやがていまの六割ぐらいに下げられるのではないかという不安は、国民の間に大変広がっておりますね。それで、特に老人問題というのは、老人人口がふえてくるというのは、厚生省の人口問題研究所なんかでももう何十年も前からわかっていたことなんですね。これは、二兆円を上回る防衛費の当然増、つまり後年度負担ですね、飛行機や何かを買った後年度負担が当然増と言われるならば、人間が生きているというのはもっと当然だと思うのですね。そうやって老人がふえてくることがわかっていたのに、それに対する対策がきちんとできていない。まず介護、看護という問題が、ぼけ老人にしても何にしても、いま全く行われておりません。これは家族がやれということで、狭い住居で共働きもふえているそういう家族に無理やりに老人が押しつけられているので、家族ぐるみ共倒れになる、もっともっと社会保障費用がふえるというような形になっているわけで、老人対策費というのはもう何十年も前からわかっていて準備ができなかったという本当の怠慢、政策怠慢だと思います。
 それから、年金の問題も、国家公務員共済の場合、共済年金ははっきりした計算が出ているのですが、みんな二十年から三十年積み立てますので、インフレ目減りというのが半分あるのですね。これは本人の失敗でもなければ、それを積み立てている基金の失敗でもない、そういう社会の影響を受けて、結局年金が苦しくなってきているわけですね。これはインフレによってもうけたところ、そういうところが負担をするのがあたりまえで、これを年金レベルを下げるということで解決する、その手始めにインフレによる目減り分を、政府の国庫補助をむしろ減らしてしまうという逆行する形、それから年金の物価スライドもおくらせて、最後にはやめたい、そういうことですね。こういう行き方はやはり公共の福祉に反する。われわれが何のために掛金、あるいは掛金だけでなく税金を納めているかという理由もなくなる。
 そして、ではどういうことが起きているかというと、あっ、これはいいとばかりに喜んでいるのは生命保険会社でして、国の年金は信用できませんよ、もうだめになりますよ、崩壊しますよとちゃんと書いてあるのですね。だから生命保険に皆さんお入りくださいという形でどんどん勧誘をして、どうなっているかといいますと、貧富の差が物すごく拡大しているわけですね。貧しい人は大きな掛金を掛けられない。お金持ちは掛けられる。これはがん保険、入院保険も同じです。貧しい人にこそある社会保険制度なのに、お金持ちの人にだけ保障される社会保険制度という、民間の活力導入が貧富の差を拡大するという方にずっと動いていっております。これも生計問題からいうと大変なことですね。
 それから、公務員のベースアップ、人事院勧告の凍結というのは、もうすでに識者がいろいろ言っていることですが、人事院勧告が何のためにあるかということを考えても明らかだ。
 それからもう一つ、なぜこんなに凍結を言うかというと、結局、人事院勧告の凍結は民間の賃金を下げておくことに利用できるから財界が言っているわけですね。だから、人事院勧告による公務員の賃金の凍結ということに賛成するということは、私たちの税金が安くて済むというふうな面だけがいろいろに言われますが、そうではなくて、民間に働く人々の賃金がみんな安くなるということの手段として使われているわけです。
 それからもう一つ大事なことは、内需というのをもっと真剣に考えてほしいのですね。西ドイツなんかは税率が日本より高いと言われますが、私はこの春行ってきたばかりで、自分と同じ給与の人がどけだけ税金を納めているかというのを個々に当たって歩きました。私よりずっと安いです。これはなぜかといいますと、税金を納めるときの必要経費をサラリーマンにほぼ無制限に認めています。これは車を買おうが、本を買おうが、洋服を買おうが。ですから、一円も納めていないという人もあるのですね。私が財政の専門家に、なぜこんなに無制限に認めるのか、少しは制限をつけてもいいのではないかと聞いたら、これは内需の喚起のためだと言っていました。ですから、たとえば住宅を建てようが、あるいはマンションみたいなところに入っていて建てられないからほかのマンションにもう一部屋借りようが、これは皆控除が認められるのですね。
 ですから私は、日本の場合、税金は高い、賃金はふえない、そして賃金からの控除も自分がひっかぶらざるを得ないという、実際の必要経費は全部自分がかぶらざるを得ない、こういう中にあったら内需はもうふえようがないと思いますね。たとえば、私なんかも本は買いたい、だけれども買っても全部自分がかぶらなければならない、調査にも行きたいけれども旅費も全部かぶらなければならないというようなことですから、結局買いたいものが、私の中に需要はいっぱいあるのだけれども、それが買えないということなのですね。だから、人事院勧告の凍結というものは、財政支出を節約するという狭いところでだけ故意に宣伝が行われて、その及ぼす社会的影響の重大さ、つまり、勤労者階級を貧困に陥れる、しかも内需というものは阻害される、ここが見られていないということを大変残念に思います。
 それからもう一つ、これは年金もそうだし、公務員の賃金の凍結もそうなんですが、なぜある金額以上の人は凍結すると言わないのですか。年金もそうなんですね。たとえば特殊法人に天下りした理事は退職金の一年計算が一カ月計算になっていますね。あんなことはなぜやめないのですか。私は、退職金も賃金も、幾ら以上、これは生計費の計算か何かすれば出てくるわけで、高い人はとめる、足踏みしてもらう、だけれどもここから以下については絶対に保障するという、それがあった方がいいと思います。それがまず第一に失敗したのはグリーンカードでしょう。あんなに建物さえもう建っているのに、ああいう発想ですね。これがグリーンカードでもう出だしでたたかれてしまった、国会も通ったのに実現しなかったということは、私は、賃金や年金の面でも、それは多分公務員給与の面でもすべてできないだろうと思いますが、できることをやってほしいのですね。こういうことは、やっても、国民は拍手するだけで、決して悪いとは言わない。だけれども、むしろたくさんもらっている人にいつもよく、もらわない人に悪いということがいつも私たちのところに返ってきていると思います。

発言情報

speech_id: 110004279X00119831005_026

発言者: 暉峻淑子

speaker_id: 31236

日付: 1983-10-05

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会公聴会