暉峻淑子の発言 (行政改革に関する特別委員会公聴会)

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○暉峻公述人 この問題は大変大事な問題なので、それこそ党派を問わず本当に考えていただきたいことなんですが、昨年オランダで国勢調査ができませんでした、国民の反対によって。西ドイツではことし国勢調査は十三年ぶりに行われるという予定でしたが、国会を超党派で通った法律であるにもかかわらず、憲法裁判所が差しとめをしましたので、西ドイツも国勢調査ができませんでした。これは非常に象徴的なことなんですね。
 というのは、一つは、コンピューターというのが導入されてから、昔の調査方法はコンピューターを使った場合に本当に秘密保持ということについてどのような保証があるかという、この実験、テストというのは行われていないのです。また、コンピューター会社と行政は癒着しているのかしていないのか、まだいまのところはわかりませんが、情報公開というときにいつもコンピューターを入れる話ばかりが出てくるのです。これは臨調の場合もそうだったと思います。この問題で、たとえば民間では武富士事件みたいなものがありまして、NHKのアナウンサーが、秘密であるはずのものがコンピューターから漏れたのでやめざるを得なくなったということも起こりました。その他、スイスの銀行で名前でなく番号で入っていた預金者が見つかったということもあります。これは朝日一新聞に出ていたわけです。コンピューターというものの中で、いままでと同じ調査方法が行われてそのデータの管理が行われるということが一つの問題点になっています。
 それからもう一つは、調査をするときに大なり小なりプライバシーを侵すわけですから、調査の目的、これがプライバシーを侵してもなおこの調査をする価値があるのかという点を国民にはっきりしてほしいのですね。ということは、国が国の力で——これは国の権力です、財政だけではありません。国の権力でみんなにいろいろなことを答えさせるわけですから、国民にそれだけの見返りがなければいけない。いいことがなかったら、私たちの福祉が増進するような見返りがなかったら、私たちはいろいろなことを調べられて、ただはい、はいと答えるというのはばからしいということになります。それから、答えたくないということになります。ですから調査は、ただ調査のために調査をするのじゃ困るのですね。国民の生活に還元されるという目的をしっかりと具体的に示して、そのためには最小限これだけのプライバシーを侵さざるを得ません、でもこれだけいいことが返ってくるのだから公共の福祉のために協力してくださいといってやるべきものだと思います。
 それから、プライバシーについては、このごろのプライバシーというのは権利の拡大がだんだん進んでいまして、知られたくないことを知られないというだけでなくて、自分に関する情報をコントロールできる、この権利をプライバシーというふうに言っております。ですから、どんな情報が国につかまえられたか、しかも私たちはそれについて、これは間違っているとか、これは知られたくないというふうにコントロールもできないというのは間違いです。
 一つ言わせてください。
 今度の精神衛生実態調査ですが、これは患者及び患者の家族に秘密にして、医者が、守秘義務があるにもかかわらず、ただ患者の個人名を明かさないというたった一つのそういう小さな保証だけしかなくて、患者の病状その他のことをコンピューターに入れるために調査票に書かなければならない調査です。
 これは理屈がたとえどうであっても、患者は何と言っているかといいますと、もしここにいらっしゃる皆様方が、あなたの顔にふろしきをかぶせてあなたの名前がわからないようにします、だから裸の写真を撮らせてください、その裸の写真は厚生省がしっかり管理して人に見せないようにしますと言ったときに、この中の幾人の方が、では撮ってよろしいとおっしゃいますか。それと同じことをいま精神神経科の患者は国家権力によって強要されているのですよ。
 しかも、その目的は何かというと、さっき言ったように、ここにちゃんと指定統計のデータはあるから、目的らしいものは何もないのです。こういう調査がまかり通れば、私は国の統計に対する国民の信用はなくなると思います。反発がふえるだけです。しかも、調査現場の人々が書き込めるような、調査票でもないものが無神経に出されているのですね。私は、こういう調査はやはりしっかり監督してほしいと思います。
    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

発言情報

speech_id: 110004279X00119831005_028

発言者: 暉峻淑子

speaker_id: 31236

日付: 1983-10-05

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会公聴会