志場喜徳郎の発言 (逓信委員会公聴会)

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○志場公述人 社団法人日本情報通信振興協会の会長をいたしております志場でございます。
 私ども振興協会は、実は昨年の十月にできたばかりの新しい協会でございます。どうしてできたかと申しますと、ただいま今国会に上程されておりますいわゆる電気通信事業法関連の法案が近く国会に提出される、それによりましていわゆる高度情報化社会に向けて、従来の公社による一元的体制というものを廃止いたしまして、新たに民間活力の活用と競争原理の導入をもって、今後の高度情報化社会に伴う民間の需要の高度化ないしは多様化に対応していこう、こういうことが昨年のというか、昨年までにも議論されておりましたけれども、特に後半になって具体的な動きになってまいりました。かねてからそういう時代の趨勢に即しまして、いわゆる情報通信なるものに多大の関心と関係を有しておる企業が期せずして、現在の業種を超えまして、横断的な組織としてここに情報通信振興協会ができてきたのでございます。現在二百四、五十社の会員でもって全国、北海道から九州まで幅広くブロックを設けて、いろいろと勉強しておるという協会でございます。
 そういうことで、うちの協会といたしましては、いわゆる啓蒙的な今後の情報通信分野の動向あるいは技術の問題その他諸外国の動向というようなものにつきまして、それぞれの専門的な立場の人をお呼びして講演会その他を活発に行っております。月に一遍ぐらいのペースで行っております。そこで驚きますことは、北海道に参りましても、名古屋に参りましても、大阪に参りましても、北九州に参りましても、聴衆は実にその場所に二、三百人、あふれるほどいつも満員なのでございます。それほど今や我が国は全国津々浦々まで、この高度情報社会の到来に対して、民間は民間なりにいかに対応してあるいはビジネスに参入していくべきか、こういうことを非常に熱心に模索しておるというのが、明らかに見てとれるのであります。
 そういうところから申しまして、ただいま上程されております法案というものが一日も早く成立を見まして、これらいろいろと考えておる民間に対しまして、そういった具体的な行動というものに着手するようにしていただきたいというのが、私どものこういう実情を踏まえての偽らざる心情でございます。
 それに関連いたしまして、若干の御要望といいますか、法律の運用あるいは今後の大きな政策づくりに関連いたしまして御要望を二、三申し上げておきたい、お許しを願いたいと思う次第でございます。
 まず第一点は、先ほど小林公述人の方から公述がございました。私どもは主としてその御議論は、新電電との関係ということにおきまして、いわゆる法案における第一種電気通信事業、こういう分野の御発言が多かったのではないかというふうに了解するわけでございます。
 その分野もいろいろと諸外国との関係等で問題もございましょう。しかしながら、それはいわばインフラストラクチャー的な、フレームワーク的なものの分野でございまして、これは従来も電電公社それなりにございますわけですし、今後の高度情報化社会での問題はむしろ、いわゆるVANと称せられる第二種電気通信事業の分野における我が国の通信事業のあり方というものを、どういうふうに国民経済全般的に見て付加価値の高い、また競争原理の働く生き生きとしたものにつくっていくのかということが、今後の我が国の高度情報化社会に向けての非常に大きなポイントではないかというふうに思うわけでございます。
 具体的に申しますと、今度の電気通信事業がかなりの技術あるいは設備投資を必要とするということからいたしまして、そこへ日本の従来の風土といたしまして、ともすればそういう新規参入的な分野は、日本の巨大な産業、巨大企業あるいはその系列あるいは財閥的集団、そういういわゆる強者というものの集団なり力によっていろいろとなされて、シェアを分けられるという傾向が強いのでございます。
 従来の公社によるいわゆる公的独占が今回のせっかくの改正によりましても、そういう巨大企業ないしその集団による寡占状態に置きかわったんだということだけでは、今回の法律改正はまさに画竜点睛を欠くということになるのじゃないか、こう思うのでありまして、その点から私どもといたしましては、とにかく中堅企業というものの育成ということに非常にポイントを置いて、今後のVAN的なものを中心にする第二種電気通信事業の発展を期していただきたいと思うのでございます。
 技術面あるいは税制面、金融面、研究開発助成面、いろいろと助成措置もございましょうけれども、その際も、ともしますれば、大きなもの、利益のあるものにのみその助成の効果が均てんされて、特別償却をしようにもまずできないようなところにそういう制度がありましても、あるいは投資減税がありましても、何もならないのでございます。ですから、そういうことで、これは先ほど申しましたように、今や地方に参りましても、地方の時代と言われております、いろいろと今後の産業動向というものに対して関心は深うございます。どういうふうに合理化、効率化していくのか、あるいは我が国経済の一つの構造上の問題点と言われております流通業界の合理化、それにつきましても、きめ細かい通信なりそういう部門における情報化というものが、非常に大きなベーシックな問題として出てくると思うのです。
 そういったときに、寡占状態でなくて、きめ細かく、ただしかし、中堅企業であればいいというだけでは十分ではございませんで、技術先端的あるいは開発的というようなものを中心にしました、しかし企業規模その他におきましては、いわば小回りのきくような独立的、専業的、そういうような企業というものを育成する、こういうことが、今回の改正の趣旨とする、今後の高度情報化社会に我が国として、資源の最適配分あるいは国民需要の多様な姿にきめ細かく機動的に対応していく――いろいろこのごろ住み分け論というような議論もあるようでございますが、いたずらにそういう住み分け論を言うわけじゃございませんけれども、そういう底の層をいろいろ多層的に厚くしていくということが、非常に全国的な意味でのVANというものの発展を図るのであろう、こういうふうに思われますので、いろいろな政策面におきまして、そこに焦点を当てていただきたいというのが第一点でございます。
 なお、これと関連いたしますけれども、公正な競争の確保ということに関係いたしまして一、二申し上げますと、一つは、国家機関の自制を求めたい。官庁あるいはこのごろいわゆる第三セクターと称するようなものがございまして、それがいろいろと新しい事業みたいなものに挑戦するという動きもあるやに見えます。そういったような官庁主導ネットワークといったようなものは極力自制いたしまして、それぞれの本来の公共的な趣旨ないし目的、活動に限定すべきでありまして、いやしくも民業圧迫というようなおそれのあるようなことについては、厳に自制していただきたいというのが希望でございます。
 また、この点からも関連いたしますが、先ほど小林公述人からもお話ございましたけれども、現在の公社のデータ通信本部のあり方につきましては、やはり民間の株式会社になりましても、巨大な第一種事業でございます新電電の一部門として、いわゆるデータ通信あるいはデータベース業務といったものが行われますと、実際問題として非常に巨大的な独占的な地位というものを引き継ぐというようなことになるのではないか。したがいまして、これは明確に区分独立いたしまして、それなりに業務を行われることが、フェアな競争といいますか、そういう面から必要ではないかというふうに考える次第でございます。
 それから先ほど、これもまた小林公述人からもございましたのでダブりますけれども、公社が現在お持ちの技術研究所における研究の成果の問題でございます。今回の法案を拝見いたしますと、新電電の責務といたしまして、従来の研究所を引き継いだ、それまでに蓄積され、また今後開発され研究されるであろう技術につきましては、あまねく民間へ開放と普及を図る、努めなければならない、こういう訓示規定と申しますか、責任の規定があるようでございます。
 全く趣旨は同じでございまして、本来ならば、研究所の体制というものはどうあるべきかということが、別途に国家的見地から考えらるべきではないかというふうな気もいたしますが、なかなかそれは具体的には難しい問題もございましょう。したがいまして、新電電に引き継がれるということはやむを得ないといいますか、妥当な措置とも存じますが、今申し上げましたその責任規定というものがいかに具体的に実際に実行されるのか、ここがポイントでございます。
 これにつきまして、早急に政府その他におかれましても、具体的な労災というものをお立て願いまして、それによって新電電の指導その他に当たられますように、それに、先ほど申しました今後の技術に向けての中堅企業その他の技術開発型の企業が、そういった研究の成果をとりあえずできるだけ取り入れまして、その上にさらにそれなりの新技術を加えていく、こういうようなことにしたいと思う次第でございます。
 それから、今申しましたように、従来の公社形態で蓄積されました資産、技術も資産でございますが、そういったものと並びまして、今回株式会社となり、その株式が広く一般に上場あるいは公開されるとなりますと、そこにいろいろと大きな巨額のいわゆる株式の売却利益というものが発生するということが予想されるわけでございます。この配分につきましては、とらぬタヌキの皮算用ではございませんが、いろいろと議論の多いところだと思います。
 これはやはり従来の三十年にわたります公社制度のもとに、国民からいわば集中的に公に集められた基金である、こういうふうに考えられます。これをいろいろと民間といいますか、国民といいますか、それに還元するというにはいかなる方法がベストであるかということが、今後の論議でございましょうが、やはり通信という分野において蓄積されてきた資産であるという面も確かにございますわけで、その面から申して、さらにまた、今後の急速な諸外国との競争への突入、そういうことを考えますと、やはり育成するためにも通信技術の発展、その分野に少なくともその一部分というものは充当されてしかるべきものではないか、こういうふうに考えますので、よろしく御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。
 以上、いろいろ御要望申し上げましたけれども、冒頭に申し上げましたように、私ども協会といたしましては、今回の法案の趣旨ないし内容につきまして賛成いたし、速やかな成立をこいねがっておりますので、何とぞよろしく御審議をお願いする次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 志場喜徳郎

speaker_id: 16902

日付: 1984-07-06

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会