永井道雄の発言 (外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)
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○参考人(永井道雄君) ただいまのことについて私の考えを申し述べさしていただきますと、まず基本的な認識といたしまして、今まで世界の歴史を動かしてきたのはだれかというと西洋である。それは政治、経済、軍事、学術、マスメディア、全部そうであるという認識が、私は根本に非常に必要だと思います。
そこで、日本は経済で幾らか発展しましたけれども辺境でございますから、したがって向こうから流れてくるものにはね返してこちらの立場を述べていくということは今の基本認識から始まりませんと、私は非常におざなりなことになるんだと思います。
一つだけ具体的なことを申し上げますが、福田内閣の時分に慶応大学の岩男寿美子という社会心理学の先生が、ボストンの町の高校生の対日意識を調べました。六つの学校で一つの学校が百人ずつ六百人。日本の総理はだれかという質問ですが、当時福田さんですが、それを知っている高校生がゼロです。その次に、日本の首都はどこか。――そうすると東京と答えた者は七五%、あとの二五%は香港あるいは北京。それから第三問は、日本はどこにあるか。日本列島というのが七五%、中国大陸というのが二五%。これは私は、ちっともアメリカのそういう教育がいい悪いということを申し上げているんではない。ただ、泣いても笑ってもそういう事実がある。
ただ、今申し上げたアメリカの統計と、フランス、ベルギーについて調べました外務省の調査がございますが、もっと悪いです。その悪いという意味は、日本のことを知りません。その状況の中でやるんだというところがどうしても出発点でございますから、これは例えばマスメディア一つをとりまして、私はNHKの川原さんにしょっちゅうお願いを申し上げておりますが、日本のNHKというのも本当にあれだけのテレビ番組をつくりながら、BBCと違いまして海外に流すということを考えてつくったものはないのです。それを変えなきゃいけない。それから新聞もございましょう。あるいは学界もございましょう。よほどそういうすそ野を意識的に広めていくということをやりませんと、サミットの中に総理大臣が入れてもらったなんということはもう本当に小さな話で、私は大した仕事はできない。特に日本が国家の形態として、この委員会が御検討になっておられるその平和国家とか総合安全保障国家という今までの国家形態にないようなものをつくっていくんだということでございましたら、これまたもう全くわからない話で、今まで世界を動かしてきた連中にとってわからない話。今ただそれだけを申し上げておきたいと思います。