永井道雄の発言 (外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(永井道雄君) ただいまの世界は非常に厳しい紛争あるいは愛憎の中にあるということを日本人は余り知らないのじゃないか、私はそのとおりだと思います。
 それは、国連大学は幸いに今それほど深刻な状況にないのですけれども、実は私はパリのユネスコ――今度アメリカが脱退いたしましたが、そこのコミュニケーション問題特別委員会の委員を三年務めました。実はその問題をめぐってアメリカが脱退したわけです。なぜかと言いますと、発展途上国の相当数は、明治以降の日本を考えればわかりますが、非常に政府主導型でございます。そして独裁国家ないし軍事独裁国家も少なくありません。そして戦後の戦争の数は合計いたしますと百三十を超えました。戦死者の数は第二次戦争中の戦死者を上回ったわけです。そこで、そういうところは言論の自由とかあるいは表現の自由ということを重んじない場所が多いわけです。これに対してアメリカは反発を感じております。その間隙を縫って相当数の発展途上国をソ連が応援しております。
 でございますので、その委員会は、三年間私は務めたわけでございますが、大変な争闘の場所です。実は私は争闘の場所におりましたから、かえってアメリカの立場に反対でございます。というのは、それが現実でございまして、その中でコミュニケーションをやっていくほか方法がないわけですから、そこで脱退してしまわないで頑張り続けるべきだということをアメリカの友人にも申しましたし、またアメリカのユネスコ国内委員会も圧倒的多数で現政権の立場に反対をいたしております。
 したがって、まず先生が言われましたように、日本人が余り知らないのではないか、それはそうだと思います。これは知らせるのにどうしたらいいかというと、争闘の場に日本人が出ていくしかしょうがないと思います。国連あるいはユネスコその他の国際機構、日本は負担金は相当払っておりますけれども、しかし負担金に平均しただけの人員が出ておりません。これはだんだん日本の中の暮らしがよくなってきたこともございまして、そんな面倒くさい仕事をすることないじゃないかという気分もあるんだと思います。ですから、そこに行く人はプレミアムをつけるぐらいなことをしてでも行ってもらわなきゃしょうがないと思います。また、そこから帰ってきた人は有利な就職ができるということが非常に必要だと思います。
 それは国際機構のことでございますが、その他いろいろな国際的な場面におきまして、現在の国の中の暮らし、日本人の暮らしのように穏やかなところはまずないと言っていいと思います。それを日本の教育がちゃんと教えているか、それは教えていないと思いますが、これを直していく場合には、直し方として私はやはり事実上そういうことを体験する人がふえる以外に方法がないというふうに思います。
 それからもう一つ申し上げますと、その中で我が国は総合安全保障と大平総理が言われたわけでございますが、この総合安全保障という言葉はコンプリヘンシブセキュリティーと訳しておりますが、これが何のことがわからないと外国人が言うのはごもっともだと思います。毎年のように防衛費一%、これを超えるか超えないか大騒ぎをしておりますが、これは軍事的防衛費だと思います。しかし総合安全保障ということを言うなら、経済協力とか技術協力、文化交流、全部を含めたその総合安全保障費は幾らなんだ、そしてそれに含まれている活動はどういうものがあるかということを実はアメリカ国務省の前の国務次官補をやっておりましたロバート・バーネット氏は非常に関心を持っておりまして、それを日本に尋ねたんです。けれども、いまだにそういう資料がないわけです。そこで、今ロバート・バーネット氏は、日本人がやらないなら自分たちの方でつくろうかということを言っておりますが、私はこういうのは本当に変則的なことであると考えます。
 したがって、要するに世界に呼びかけるという基本的姿勢ですが、例えば防衛庁長官というものをまずやめて、総合安全保障長官というものにするとどういうことになるのかという、一例でございますが、そのぐらいのことまで考えなければとても諸外国の理解を得るものではない、ただ国内の議論は何となくそういうことでおさまるというだけの話である、そういうふうに私は思います。

発言情報

speech_id: 110113945X00319840222_018

発言者: 永井道雄

speaker_id: 33142

日付: 1984-02-22

院: 参議院

会議名: 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会