前田寿夫の発言 (外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)
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○参考人(前田寿夫君) お答えいたします。
ただいま大坪先生から御質問のありました点は、しばしば防衛庁が使う万一論の一種の類型ではないかというふうに思います。
我々は現在周辺諸国と争うような原因がないからといって今後争う原因が起こらないとは限らない、しかし起こった場合には一体どうするんだ。そういう場合にこちらに備えがなければとんでもない目に遭うのじゃないかというようなことを先々の取り越し苦労をいたしまして、最後には先ほど申し上げましたように座して死を持つよりはというようなところまで話を持っていく、私はそういう必要は全くないと思います。
我々が現在考えることは、現在我々が当面している情勢及び今後見通す限りの将来において我々が当面することを予想される情勢、そういうものについて我々は自分の国の安全あるいは防衛という問題を考えていけばよろしいのではないか、取り越し苦労をするよりも先にほかにもっと重要な問題があるんじゃないか。ソ連が攻めてきて日本の国土がじゅうりんされるというようなことを考えて、そしてその前に我々は軍備を増強しなければならないというようなことが一体今の日本において差し迫った問題なのであろうか。そんなことを考えるくらいなら、私は東海大地震が起こって東京及びその周辺が壊滅するというような状況に備えておいた方がよほど現実的ではないかというふうに思うのであります。
それからまた、我々はそのほかにも福祉あるいは文教面においてさまざまな困難な問題を抱えておる、そういう問題等現実に我々の生活を向上させる面におきましてやらなければならないことがたくさん控えておる。国際的な問題に関連いたしましても、今日国際経済が非常に難しい状況にあることはもうどなたも御承知のとおりであります。我々はそういった面においても当面差し迫ってやらなければならないことをたくさん持っておる。それからまた、今、永井先生からも御指摘のありましたように、国際関係におきましても我々はやらなきゃならないことをたくさん持っておる。そういうことを犠牲にしてまでも現在そういうような問題を考えることが正しいかどうか。私はそういう必要はない、こういうふうに考えます。