永井道雄の発言 (外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)
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○参考人(永井道雄君) 先ほど私にお聞きいただいたときに、ちょっとその後の日本の周辺の状況などに対してどうかということとの関連があることを理解しておりませんでしたので、つけ加えさしていただきたいと思います。
ほかの方とちょっと違うかしれませんが、私は、日本の周辺非常に悪いと思います。別にいよいよあした攻めてこようという情勢だと言っているんではない。悪いところを言えば、一つは、南北朝鮮、朝鮮半島の問題、それからもう一つは北方領土の問題、それと絡みになっておりますが、我が国における米軍基地の極めて有効な航空機の配置が行われているという、こういう状況です。
そこで、総合安全保障ということを先ほどから申し上げたのは、具体的にどういうことを考えているかというと、まず朝鮮半島問題につきましては、御承知のように中国がアメリカに対して、米中協力して朝鮮半島の問題を解こう、これに対してアメリカが逆提案いたしまして、ソ連を足そうということを言いました。しかし、そこに日本が抜けております。しかし、すでに石橋湛山氏が一これはもう二十数年前になると思いますが、日本の旧植民地であるから、われわれに大変な責任があるばかりでなく、一番安全保障上難しい、近いところであるから、したがって、米中ソ日、しかも、日本がこのイニシアチブをとってその問題に乗り出すべきだということを公式に御発表になりました。その後、石橋先生の意見というものを継承して活動している形跡がないのです。私はこういうことは非常におかしいことだと思います。
二番目に教科書のことを申しますが、教科書問題について、御承知のように、中国あるいは韓国において非常に問題になりました。そしてさらに、日本の中の検定方式とのかかわりで盛んに議論をいたしました。――それをやっても結構でございますが、しかし一番重要なのは国際問題でございます。それについてどうなっているかということを申しますと、西ドイツとポーランドの間に同じような問題がある。アウシュビッツの問題をめぐって日本よりも深刻だと言っていいと思います。教科書問題が起こりましてから、西ドイツとポーランドの間に責任ある二国間協議委員会ができまして毎年教科書を点検いたしております。そういうことをどうして日本はしないのかという問題があります。
あるいは北方領土問題について申しますと、概して日本の議論は、昔々どっちが先に持っていたかという議論から展開いたしておりますが、私の理解だけではなく、国際的な理解としては、北方領土問題は、要するに、米ソの極東の、北洋における対立の反映であるというふうに解されているわけです。私は恐らく、ソ連邦もそういう角度から把握していると思います。
そうすると、既にポーランドのラパツキ外相がもうずっと前に言っていることですけれども、軍事力引き離し地域というものを多少とも拡大することによってそういう問題地域の解決を図るべきではないかと、これは二十年ほど前ですが。私は、北方領土問題というのはそういう角度から考えるべきであると思いますが、いま日本が出している議論の仕方というのは、そういう国際的な緊張をどうやって解いていくか――ですから、この場合には、ソ連とかけ合うだけじゃなくて、アメリカとかけ合わなきゃ仕事になりませんけれども、そういう角度がない。で、国の中でいろいろ、どこまでが軍事力がというような話ばかりが盛んになっている。
私は、国際関係というものは平和の根本でございまして、そこのところは日本の周りも世界に例外なく極めて緊張した状況にある。それに対して、どういうふうに外交なりその他の活動によってやっていくかという積極姿勢、これは全く与野党問わない問題だと思いますが、そういうものがない議論は不毛であるということを私は申し上げたかったわけでございます。