田久保忠衛の発言 (外交・総合安全保障に関する調査特別委員会)
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○参考人(田久保忠衛君) 前田さんがおっしゃったとおりでございまして、私も総合安全保障に関する大平構想というのは、ウイスキーを水でかなり薄めたんではなかろうか、ウイスキーのにおいを余りふんぷんとさせないような疑いがあるというふうに思っているわけであります。
そこで本日、ここに出席するに当たりまして、きのう大平総理大臣に対する報告書、こんな膨大な報告書をぺらぺらっと見たんでございますけれども、これは全く頭に入らないわけであります。これだけのことをやるというのは各省こぞって、防衛というのは防衛庁あるいは外務省だけではなく、厚生省、労働省その他あらゆる省を総合しなければいかぬということでございます。これが機能するというようなことは容易なことではないというふうに思うわけでございます。
ただ、極限状況というものをいろいろ私は考えているわけでありますが、アメリカには国家安全保障会議、NSCというのがございます。それからこの前――NSCは緊急の事態ですとワサグ、WASAGというのを開きまして、各省の次官クラスが集まって、軍事の問題以外、これは経済等あらゆる問題をここでぱっと検討するわけであります。
それからもう一つ、フォークランド紛争でございますけれども、サッチャー首相が連日議長になりまして、あのフォークランド紛争を指揮したわけであります。実際の指揮は統合参謀本部議長、統参議長がやっているわけであります。その議長は政府委員としてサッチャーの司会する会議に末席に参列している、出席しているということでございます。あと各省、本当にこれは総合安全保障だと思うのでありますが、大変ヒーテッドデスカッションをやりまして、各省庁間の調整その他、見事にサッチャー首相の司会でやったということを私は聞いております。
こういうことからいたしますと、日本で一体どういうことになるのか。これは秦先生の御質問でありますが、何をしたらいいかということでございますが、今ある国防会議は機能しているのか。あるいは総理府にある総合安全保障対策室、これも機能しているのか。器をつくるだけで何も機能していないのではないか――これは内閣総理大臣に最高の私は責任がある。やるということを決断し、これに野党が協力すればという条件でございますが、こういう極限状況で野党の方々はちょっと協力するはずがないなということでございますから、結論的に言うと、これはどうも望み薄だぞということにならざるを得ない。かような意見でございます。