小野明の発言 (内閣委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小野明君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました臨時教育審議会設置法案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、臨時教育審議会が真に国民のための教育改革を審議する審議会にはなっていないからであります。
 教育改革を推進するに当たっては、教育の政治的中立を確保するという大原則に基づいて、あらゆる権力の不当な支配や介入を排除し、慎重にして、かつ民主的に審議を行う機関を設置して、真に国民が求める教育改革を実現することが肝要であります。
 しかるに、今回の政府案では、総理直属の審議会を設置しようとするものでありまして、これでは国家権力が教育に直接介入し、教育の中立性を根本から脅かすおそれのあることは疑いのないところであります。総理大臣直属の教育に関する審議機関が、過去において国家主義、軍国主義教育の推進に大きな役割を果たす結果となったことは歴史が証明しているところであります。
 教育基本法第十条は、教育が不当な支配に服することを否定し、国家権力が教育に介入することを厳しく戒めておりますが、政府案による審議会は、その設置形態はもとより、設置目的、運営方法に至るまで総理大臣の恣意に左右されるものとなっているのでありまして、これでは教育基本法の精神に反し、真に国民のための教育改革を行う審議会にはなり得ないと考えられるからであります。
 反対の第二の理由は、教育改革にとって最も重要な前提となる国民的合意形成のための条件が政府案の構想には著しく欠けていることであります。
 今日の我が国の憂うべき教育の荒廃を抜本的に解決するためには、設置形態に配慮した審議会を設け、委員の人選や任命、その運営などが公開のもとで、より国民の意見を正しく反映されることに配慮して行わなければならないのであります。
 しかるに、政府案では、審議会の委員の任命を初め、会長の指名に至るまで総理大臣が直接行うことになっているのでありまして、これでは審議会に国民の声が何ら反映されないばかりか、総理大臣の恣意的人選によって教育改革の方向は著しくゆがめられ、ひいては国民の合意が得られなくなるのであります。
 委員の任命は国会の同意事項とするとの修正が、衆議院において公明、民社両党並びに自民党によって行われておりますが、この修正は一応評価するといたしましても、なお父母、教師を初めとする国民各界各層の代表を具体的にどのように選ぶのか、また国会において各会派の意見をどのように反映させるのか、具体的内容が明らかとなっていないばかりか、民主的な人選に関する具体的な保障はなく、国民的合意形成のための条件が著しく欠如していると思うからであります。
 第三の理由は、政府案では、民主主義の原則に反して国民に開かれた審議会となっておらず、非公開となっていることであり、加えて審議会委員に守秘義務を課していることであります。
 一般に、審議会設置の目的は、行政の民主化と官僚制の弊害の打破という視点にあると言われますが、これらの理念に反して審議会の密室審議が行政の民主化を阻害し、官僚的独善の弊害を生じやすいことは、教科書検定などの例を挙げるまでもなく、枚挙にいとまがありません。臨時教育審議会の公開要求に対して、自由な発言が阻害されるという理由で非公開とするとしているのでありますが、公開制にした方がかえって責任ある議論が行われると思うのであります。教育改革は、今日、国民の最大関心事であり、また我が国の将来を左右する最重要課題であることからいえば、国民は結論だけではなく審議のプロセスを知ることも重要であると言わなければなりません。そして、このことが教育の中立性を担保するとともに、その結論が国民的合意を得るための要件でもあると考えるのであります。
 審議会委員を国会の同意人事とすることによって守秘義務を課したのは必然だと政府は述べておりますが、委員会審議でも明らかとなりましたように、国会の同意を必要とする大事につきましても、その委員に守秘義務を問わないものも多くあります。教育に秘密はないはずであります。
 教育改革を推進するに当たって最も要請される政治的中立性の確保が危惧され、あまつさえ、審議が公開されず、加えて審議会委員に守秘義務を課していることによって国民不在の論議が行われましても、国民自身がそれを監視し、批判することは全くできず、閉ざされた審議会になることは自明のところであり、私どもはこれを容認することは絶対にできないのであります。
 第四の理由は、当面解決すべき課題を回避し、臨教審を隠れみのとして先送りしていることであります。
 今日、教育改革に対する国民の願いは、非行、校内暴力、登校拒否などの教育の荒廃の改革と受験体制の変革等であります。同時に、教育財政の充実を図り、四十人学級の凍結解除、過大校の解消など、教育条件の拡充を図ることであります。にもかかわらず、政府は行革審の答申どおり教育財政を一層削減しようとしているのであります。これでは臨教審を隠れみのとし、当面の課題を回避しようとするものでありまして、教育改革への逆行と言わなければなりません。
 以上、私は本法案に反対する主な理由について申し述べましたが、日本社会党は、民主主義社会において教育の果たす役割が重要であること、及び教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきであることにかんがみ、その施策に国民の意見が正しく反映されることを図ることにより、憲法及び教育基本法が目指す教育の目的の実現に資するため、中央教育審議会にかえて新たに国民教育審議会を設置する法案を提出したのでありまして、この案こそ真の教育改革を審議するにふさわしいものであることを申し上げて、私の反対討論を終わります。

発言情報

speech_id: 110114889X02219840806_204

発言者: 小野明

speaker_id: 28797

日付: 1984-08-06

院: 参議院

会議名: 内閣委員会