阿島征夫の発言 (社会労働委員会)
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○阿島参考人 ただいま委員長の方から御紹介にあずかりました電機労連の阿島でございます。
電機労連及び上部団体であります中立労連の代表という立場から、きょうは率直な意見をまず述べさせていただきたいと思います。
まず、電機関係で申し上げますと、情報処理労働者が今回の法案に非常に大きなかかわりを持っているということでございますので、これを主としてお話を申し上げたいと思います。
情報処理労働者の現状でございますが、情報処理労働者と一口で言いましても、システムエンジニア、俗にSE、こういうふうに言われております、それからプログラマー、オペレーター、キーパンチャー、こういうものを一括して情報処理労働者もしくはソフト労働者、こういうふうに呼んでいるわけでございますが、現在、通産省等の推定によりますと、確かな数はわかりませんが、国内に約四十万人おる、こういうふうに推定をされるわけであります。また、このうち情報処理サービスだとか、いわゆるソフトウエアハウスで働く人たちは約二十万人ぐらいいるのではないだろうか。また、そのうちの三分の一ないし四分の一が派遣労働者として従事をしているのではないだろうか、こういうふうに私たちは推定しておるところでございます。
電機労連加盟の大手電算機メーカーの工場を見てみますと、ソフトウエア工場というのがございますが、この工場の約半数が派遣労働者で賄っておるわけであります。つまり派遣労働者を受け入れているという現実にあるわけであります。また逆に電機労連は、派遣労働者を組合員といたしまして派遣をしているという、こういう労働組合も何社か加盟になっているわけでございます。
こうしたソフト労働者の需要については非常に大きな成長があるわけでございまして、大体今後昭和六十五年ぐらいまでに四割以上の増加率でふえるのではないだろうか、こういうように推定をしているところでございます。
ところが、この需要に見合ってこのソフト労働者がふえないというのが現在の状況でございまして、通産省の推定で申し上げれば、昭和六十五年度にはこうしたソフト労働者すべてで百六十万人の需要があるだろう、これに対して供給側の労働者の数は百万人くらいということでございまして、約六十万人不足をするということが予想されておるわけでありまして、現在もう既に慢性的なソフト労働者不足でございますが、ますますこの傾向がはっきりする、こういうふうに推定しておるわけでございます。
また、こうしたソフト労働者のうちの派遣労働者の契約につきましては、大部分が現在請負契約か業務委託契約、こういう形態で派遣されているわけでございますが、我々が調査したところによれば、実質的には派遣労働者として働いているわけでございます。つまり大多数の派遣労働者は、現在は契約のいかんにかかわらず派遣という形態で労働に従事している、こういう現実があるわけでございます。
こうした情報処理労働者の現状を分析した上で、電機労連は問題点として数点挙げておるわけでございますが、まず第一に、これらの派遣労働者は約三千社とも四千社とも言える中小ソフトハウスの非常に経営基盤の弱いところから派遣されているケースが多いわけでありまして、中には正規の雇用契約もない、つまり派遣期間だとか派遣先の労働条件の明示だとか、こういった契約のない非常に不安定雇用の労働者が多いということが言えるのではないかと思います。私たちはこれを何とか常用労働者に変えさせていかなければならないだろう。不安定雇用から安定した雇用に変えさせるというのが、まず第一の私たちの運動の考え方でございます。
次に、こうした労働者の労働条件の実態を見てみますと、派遣先における時間外労働が極めて多い。また、この時間外労働の手当であります残業手当についてもきちっとした計算で支給されていない、こういうような実態もあるわけでございます。つまり、派遣元と派遣先の労働時間の差とか労働条件の差、こういうものが非常にあいまいになっている。たまたま電機労連に加盟しておりますソフト労働者の組合は、きちっとした協定化によってこれを確保しているわけでございます。しかしながら、労働組合のない多数の中小のソフトハウスの労働者につきましては、派遣先における労働条件が派遣元の労働条件と大きな差のある中で働いているのが現状でございます。つまり、こうした派遣先における労働条件を向上させるのが私たちの第二の目標でございます。
三番目に、派遣先における職場環境の悪さ、また安全衛生における十分なる派遣先における使用者責任が現状の法制下では認められていないわけでございます。具体的に申し上げれば、職場環境でいきますと駐車場とか食堂とかロッカー等での派遣先の正規従業員との間の差別、また、そうした差別の改善要求が派遣先に対して出しにくい、また通りにくいのが現状であります。こうしたことから、派遣先における使用者責任を明確化させるということが第三の我々の論点でございます。
四番目に、現在技術革新が極めて激しい状況でありまして、ソフト労働者といいますのは、その職種上こうした技術革新に十分ついていくような教育訓練が施されないとスクラップ化していくという厳しい現実があるわけでございます。ところが、我々の調査、またその他の調査によれば、派遣先における教育訓練はほとんどされていない。また、派遣元における教育訓練においても、なかなか派遣労働者はこれを受ける機会が少ないわけでございます。こういうような第四番目の問題点が現実に存在するわけでございます。
こうしたことから、電機労連は、三年前から電機労連独自で派遣労働者に対する対策指針をつくりまして、今のようなことをカバーできるような取り組みをしてまいりましたが、これはあくまでも電機労連傘下の組合に対しての対策指針でありまして、今回の法案につきましては、契約内容の明確化、職場環境、安全衛生問題における派遣先使用者の責任、作業場所の移動にかかわる問題等の協議、派遣労働者の能力、技能向上にかかわる教育訓練の問題等、電機労連の対策指針が盛り込まれておりますので、我々としては早期にこの法案の成立をお願いする立場でございます。つまり、現在ソフトの派遣労働者が、いわゆる四十四条におきます日陰者扱いから、きちっと法的に認知され、また行政による保護が加えられることが必要ではないかと考えております。
冒頭申し上げましたように、派遣労働者というのは、経済のソフト化、サービス化の流れの中で就業形態の多様化の一環としてとらえられるものでございます。こうした就業形態を否定するのではなく、いかに安定的に労働市場に定着させるかという観点からの対応が必要ではないかと思います。また派遣先企業に対して、安全衛生面における使用者責任というものも法的にきちっと定める必要があると思います。こうした意味からもこの法案につきましてはぜひ早期の成立をお願いするところでございます。
ただ、労働者供給や職業紹介を電機労連及び中立労連は否定するものではないということを一点つけ加えておきたいと思います。逆に、電機労連といたしましても労働者供給事業というものを将来組合活動の一環として十分発展させていきたいと考えているところでございます。したがって労働組合が労働者供給事業を十分やっていって、ほかの通常の会社との競争力が損なわれないような一定の整備を、今後政府に、また国会にお願いしていきたいと考えているわけでございます。
具体的に申し上げれば、労働者供給事業におきます労働者は派遣先で健康保険に入らなければなりませんが、現実問題としてソフト労働者の派遣につきましては、短い派遣の期間では三カ月とか、長いものは三年ぐらいあるわけでございますが、非常に短い派遣期間がございますので、こうしたところでは派遣先で健康保険に入ることは非常に難しい状況になっております。したがいまして、労働者供給事業に対する社会保険事務所の取り扱い等の一定の整備を今後お願いしていきたいと考えているわけでございます。
以上、簡単ではございますが、この法案の早期成立をお願いする立場から意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)