高梨昌の発言 (社会労働委員会)
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○高梨参考人 お答え申し上げます。
まず第一点は、先ほど山本参考人も陳述されましたが、問題は日本のよき雇用慣行である終身雇用、年功賃金、これは非常に雇用の安定した労働施策でございますけれども、この雇用慣行を脅かすのではないか、これは労使各側から提示された御意見でございます。
そこで、その問題につきましては、この派遣事業法の対象業務、これは法律上は原則だけ定められておりまして法案通過後には政令でこれをうたっていかなければならないわけでありますけれども、その際、業務指定については可能な限り安定した雇用との調整を図って限定していくという立場で私は意見の集約を図りました。もちろん私は日本的な雇用慣行を堅持すべきだという点では見解を異にしておりません。ただ、すべての雇用分野を終身雇用、年功賃金で覆い尽くせるかというとそうでない、これも実態でございます。
先ほど申しましたように、専門、技術職の分野というのはどちらかといえば職業別労働市場で横断的に企業間を移動するという性質をもともと持っております。その多くの人は正社員の身分を持っておりますけれども、そうでない情報処理サービス技術者とか、事務処理の中でも専門、技術職の方々は大体そういうような移動をすると思います。この移動を否定するわけにはいかないわけで、それはそれでその線引きを明確にしようということが一つ私が考えた論点でございます。
それからまた、今まで正式なルールがございませんから、正社員のやるべき業務分野と派遣社員なりパートの社員がやるべき業務分野の線引きが、現状はそれほど明確ではないと思います。この法案ができますればその辺の線引きが非常に明確になって、社会的分業の利益はより一層発揮できるのではないか、こういうような判断でおります。
なお、もう一つ、これは先ほど経営者側よりも主として労働側から提示された御意見でございますが、中間搾取の問題がございます。派遣事業というのは賃金のピンはねをしているのではないか、こういう意見が強く出されました。
その実態については、表現上は不当な利益という言葉もございますし、こういうようなことについて、派遣事業は、現状は先ほど申しました幾つかの需給システムのタイプ分けをしていきますと労働者供給事業に類似しているけれども、そうでもない。労働者供給事業の場合には雇用と使用は供給先でございますが、派遣事業の場合には雇用と使用主としての包括的責任は派遣元にございます。こういうように形態が違っておりますから、直ちに他人の就業に介入して賃金のピンはねをするというような形態ではないのじゃないか。もちろん、不当な利益かどうかとなりますと、これは現行法では独占禁止法に基づいて独占的行為に基づく超過利潤は法の規制対象、行政の規制対象になります。これは不当な利益になる。
それから、不当な利益を上げるに当たっての賃金の問題ですが、賃金は最低賃金法で定める地域別最賃が最低を押さえているわけですから、これに違反すれば明らかに不当な利益になりますが、それに違反しない限り、市場賃金相場で払う限りは別に違法でございません。それぞれ企業間競争なり労働者との取引なり、組合があれば組合との団体交渉なりでそれなりの賃金相場が決まり、それでそれなりの利潤が得られる。たまたま利潤が多いか少ないかということは不当か正当かとは話の次元が違う、こういうふうに私は判断したわけでございます。