村山富市の発言 (社会労働委員会)
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○村山(富)議員 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表して、ただいま議題となりました定年制及び中高年齢者の雇入れの制限等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
我が国は今、本格的な高齢化社会の到来を迎え、中高年齢者の雇用確保が非常に大きな社会問題となっていることは御承知のとおりでございます。
今や人生八十年時代と言われ、五十歳台といえば、精神的にも技能的にも、もっとも成熟を遂げた働き盛りであります。にもかかわらず、五十五歳定年制、六十歳未満定年制が、人生五十年時代の明治時代の遺物のごとく、いまだに多数の大手企業に存続しているのは、時代錯誤も甚だしいと申さなくてはなりません。
このような社会状況を背景として、定年は少なくとも六十歳まで延長するようにと、八年前の国会で決議したにもかかわらず、労働省の統計によれば、昨年一月現在で六十歳以上定年制が五二・一%と、ようやく過半数に達したとはいえ、いまだに六十歳未満の企業が多く、特に大企業や中堅企業では、五十五歳にとどまっている企業も相当数あることは見過ごすことができません。
また、中高年齢者の有効求人倍率は、一九七九年以来低下傾向をたどり、昨年の年齢別有効求人倍率を見ますと、四十五歳以上五十歳未満は〇・五七%、五十歳以上五十五歳未満は〇・三六%、五十五歳以上六十歳未満は〇・一六%、六十歳以上では〇・一%にも満たない現状であります。つまり高齢化社会を迎えているにもかかわらず、五十五歳を超えて職を失った人が再び職につくことは極めて難しくなっているのであります。
もはや単なる行政指導などでは不十分であることが実証されております。定年は、法律によって当面六十歳まで、将来は六十五歳まで延長することが、ぜひとも必要になっておるのであります。厚生年金等の支給開始年齢が、こうした雇用保障の年齢に連動するものでなく、ましてや定年制等の退職年齢よりも高齢であってよいはずはありません。
我々は、このような状況にかんがみ、この法律案を提案する次第であります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一は、この法律の目的であります。
この法律は、高齢化社会における中高年齢者の雇用を確保し、六十五歳未満の定年制及び中高年齢者の年齢を理由とする雇い入れの拒否を制限すること等により、その職業の安定を図ることを目的といたしております。
第二は、適用労働者等についてであります。
この法律は、船員、家事使用人等を除く労働者及び求職者に適用するものといたしております。なお、中高年齢者とは、四十五歳以上、六十五歳未満の労働者を言うものといたしました。
第三は、定年退職等の制限についてであります。
事業主は、六十五歳未満の年齢を定年として労働者を退職させてはならないものといたしました。また定年が定められていない場合も、事業主は、年齢を理由として六十五歳未満の労働者を退職させてはならないものといたしております。
第四は、雇い入れの拒否の制限についてであります。
事業主は、労働者の雇い入れに当たっては、年齢を理由として、中高年齢者の雇い入れを拒んではならないものといたしております。
ただし、小規模企業においては、既に中高年齢者の雇用率がかなり高率になっているものも少なくない実態にかんがみ、事業所における年齢別の雇用構造に照らし、その事業の運営上やむを得ないものとして、一定数の労働者につき、年齢を雇い入れの条件とすることについて、公共職業安定所長の許可を受けたときは、この限りでないものといたしております。
第五は、職業紹介の拒否の禁止についてであります。
職業紹介事業者は、中高年齢者の年齢を理由として、職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。
第六は、募集広告の制限についてであります。
事業主または職業紹介事業者は、労働者の募集または職業紹介に係る求職者の募集に際し、中高年齢者が除外されることとなる広告をしてはならないものといたしております。
第七は、不利益取り扱いの禁止についてであります。
事業主または職業紹介事業者は、労働者または求職者が行政機関に対し、第三または第五の規定に違反した旨の申し立てをしたことを理由として、その労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをし、または求職者に対して職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。
第八は、特定職種についての特例に関してであります。
六十五歳未満の年齢を定年として退職させることが業務の遂行に必要とされる能力に照らしやむを得ないものとして政令で定める職種については、退職、雇い入れの拒否等の制限の年齢六十五歳未満を、政令で定める年齢未満とするものといたしております。
第九は、報告及び立入検査についてであります。
労働大臣または公共職業安定所長は、この法律の施行に必要な限度において、事業主または職業紹介事業者に対し、労働者の定年、雇い入れの拒否の状況について、報告を求め、またはその職員に立ち入り、関係者に対して質問させ、もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものといたしております。
第十は、施行期日及び経過措置についてであります。
この法律は、一九八七年四月一日から施行するものといたしております。なお第二、第三及び第八の適用については、当分の間、これらの規定中「六十五歳」とあるのは「六十歳」とするものといたしております。
第十一は、定年等の引き下げ防止についてであります。
この法律の施行の際、現に就業規則、慣行等により六十一歳以上の年齢を定年その他の退職の理由としている事業主は、その年齢を引き下げることがないように努めなければならないことといたしております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。
この法律案は、今や全有業者人口の七割以上を占める労働者の、極めてつつましくも切実なる要望であることを十分に配慮され、御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。
終わります。(拍手)