多賀谷真稔の発言 (社会労働委員会)
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○多賀谷委員 まず第一に、日本の雇用の土壌というのと欧州における土壌というのが全然違うという認識ですよ。マンパワージャパンがいわばアメリカから上陸してきたですね。そうして、この本によりますと、大規模な調査をしたけれども告発するに至らなかった、こういうことを書いておるわけであります。日本の雇用の基盤というものとアメリカとは違う。そうして欧州とも違うのですね。欧州は大体において職業紹介というのは国のいわば独占的な権利、ドイツのようにはっきりしているところだけじゃありませんけれども。でありますから、派遣事業というのはなるほどあるけれども、この前野見山審議官がここで発言なさったように、ごく人数が少ないですね。西ドイツで二万人ですか、それからフランス十一万、それからベルギーで一万人。そうしてその多くの分は製造業だ。そして、ベルギーは建設業を禁じておりますけれども、そういうことですよ。
今度の派遣事業と全然違うのだ。異質のものだ。言うならばこれは日本で言う請負なんですよ、外国で認めているのは。それも一時的なものであって、補てん的なものですよ。ですから、平均派遣日数も極めてわずかであるということをおっしゃっておるわけでありますけれども、全然異質なものが入ってきておる。
そこで、大臣、どこが違うかということをよく考えなければ……。アメリカは御存じのように規制法も何もない。しかし、欧州の賃金というのは職業別の賃金が確立しておるだけではなくて、一週間なら一週間、あるいは月給なら月給の中に、ボーナスも入っているのですよ。退職金も入っているのですよ。企業年金も入っているのですよ。いいですか。日本では、短期雇用の中にはボーナスも入らなければ、それから退職金も入らなければ、企業年金も入ってないのですよ。日本はこういう仕組みの中にあるのですよ。
それから、短期雇用とか臨時工とかあるいは派遣の労働者は、同じ賃金だといっても、日々定期的にもらう賃金が同じであってもだめなんです。非常に差があるのです。そういう中に、今、日本の労働者は置かれておる。ですから、そういう点を十分考えないで、言うならばアメリカ型の人材派遣法をぽんと日本に入れてくるならば、欧州よりもずっと後進性の日本がもう一方は先走ってしまう。それは人材派遣業で、いわば経済同友会が言っておる中間労働市場なんというのがもしできるとすれば、それは月給なら月給の中に完全に生涯を見通した賃金でなければならぬのに、そういう整備が全然行われないでおいて、これだけがぽんと走っておるのです。
そこで、そのはざまにある労働者、それは五十年たってなるか百年たってかわからないけれども、どういう方向に行くかわからぬけれども、そのはざまにある労働者が一番みじめだ。というのは、あなた方は今日の日本の労務管理は非常に世界に冠たるものだ、終身雇用制というものを崩すことはない、こうおっしゃっておる。だから、また危険なんです。結局、低賃金になってしまうのです。そのはざまの労働者は低賃金になる。ですから、経済同友会が今からは労務コストを下げなければならぬということを言っておるでしょう。でありますから、そういう流れに沿って、結局その間の労働者が大変苦痛を見る、基幹労働者だけを本工員として扱うという状態になるわけでしょう。こういう基盤の違うのをどういうように考えておるか、労働大臣。