志賀学の発言 (商工委員会)
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○志賀政府委員 お答え申し上げます。
改正内容等についてお答えを申し上げます前に、PCTについて若干御説明をまず申し上げさせていただきたいと思います。
PCTと申しますのは、一九七〇年にワシントンで作成されました特許協力条約のことでございまして、一九七八年に日本はこの条約に加盟をしているわけでございます。日本について効力が発生をしているわけでございます。
PCT条約と申しますのは、一言で申しますと、統一的な手続によりまして多数の国々の特許を得やすくしていこう、こういう考え方のもとにできた条約でございます。従来から、そのPCTができる前からパリ条約がございまして、パリ条約において優先権制度というのがございました。例えば、日本の企業が日本の特許庁に出願をいたします。同時にアメリカの特許も欲しいという場合にアメリカに対しても出願をするわけでありますけれども、そのときに、まず日本の特許庁に出願した出願、それを基礎にいたしまして、アメリカの特許庁に優先権づきで出願ができるということでございます。
ただ、その場合に、日本の特許庁に出願してから一年以内にアメリカの特許庁に出願しなければいけないという形になるわけであります。そういうバリ条約に基づく優先権制度がございまして、それによりまして外国の特許も取れるように、そういう国際的な手当てがされているわけでありますけれども、ただ、それだけでは必ずしも十分ではない、もっと外国の特許も取りやすくしていこう、こういう趣旨からPCT条約ができたわけでございます。
PCT条約の場合には、例えば日本の特許庁に日本の企業が国際出願をいたします。それは日本語でいたします。そういう国際出願が行われますと、その後二十カ月以内に、例えばアメリカの特許あるいはヨーロッパ特許庁の特許というものが欲しいということになりますと、日本の特許庁に出願する際にそういった国の特許も欲しいというふうに指定をするわけでありますけれども、その指定国に対して二十カ月以内にそれぞれの国の言葉で出願をする、翻訳文を提出すればいい、こういうことになっているわけでありまして、そこのところでまず、パリ条約の場合には十二カ月の猶予期間しかなかったわけでありますけれども、PCT条約の場合には二十カ月の猶予期間があるということで、かなり有利になるわけであります。
同時に、PCT出願の場合には、日本の特許庁が受け付けたものにつきまして、従来は日本の特許庁が先行技術があるかどうかという国際調査というものをいたします。その国際調査の結果を出願人に対して渡しますし、あるいは先ほど申し上げました指定国にも国際調査の結果を回付するわけでありますけれども、そういうことによりまして、出願人はそういう国際調査の結果を踏まえまして、そういうことであればさらに手続を進めていくのは意味がないということでやめるとか、手続の進行を打ち切るとか、あるいは手続が進んでいった場合に、ほかの指定国の特許庁が日本の特許庁がいたしました国際調査の結果を利用できるとか、そういった利便があるわけでございます。
さらに出願人が希望する場合には、国際予備審査というものも要求できるということになっております。国際予備審査と申しますのは、特許性があるかどうかということについての極めてラフな審査であります。
国際予備審査が行われますと、その結果についても出願人に送付されますし、各国の特許庁にも送付されるわけでありまして、そこでももう一度出願人は判断をする機会が得られるわけであります。
そういうことで、PCT条約の場合にはパリ条約と違いまして、先ほど申し上げましたように翻訳文の提出の猶予期間というのがかなり長いということ、さらに手続の過程でいろいろな国際調査あるいは国際予備審査というものを利用することによってむだな手続の進行をやらないで済むというような、そういう利便があるわけでございます。
そういうことで、このPCT条約は国際的な特許の取得ということについて大きな意義があるというふうに思っておるわけでありますけれども、ただ何分ややその手続が複雑でございます。そういうことから、昨年の二月にこの特許協力条約につきまして幾つかの点について手続の簡素化が行われたわけでございます。
例えば願書の翻訳文の提出につきまして、先ほど二十カ月ということを申し上げたわけでありますけれども、例外的にそれよりも短い場合があったわけでありますけれども、そういった例外はやめてしまう、一律に二十カ月にしてしまうとか、あるいは翻訳文の提出の場合に、願書といったようなごく簡単なものについては翻訳文の提出をしなくてもいいとか、幾つかの手続の簡素化が行われたわけであります。そういうことによりまして、このPCTの利用というのはさらに進むというふうに思っているわけであります。
さらに今回の改正内容について申し上げますと、今回の改正内容の一つといたしまして、先ほど先生からお話がございましたように、日本の特許庁に国際出願をしたものについて日本の特許庁にかわってヨーロッパ特許庁が国際調査をすることができるような改正をするというふうにおっしゃいましたけれども、まさにそういう改正をしようとしているわけでありまして、ヨーロッパ特許庁と日本の特許庁との間でそういう話し合いがついたわけでございます。それを受けての改正でございます。それによりまして、ヨーロッパにおける特許を取りたいという企業にとりまして、やはりヨーロッパ特許庁の国際調査というのは権威がございます。そういうことからいって、意義が大変あるというふうに思っているわけであります。
さらに三番目の改正内容といたしまして、国内優先権制度の導入というのがあるわけであります。国内優先権制度の導入と申しますのは、パリ条約の優先権制度とかなり似通った制度であります。例えば日本のある企業が特許庁に対して出願をいたします。ところが最近の技術開発の実態を申しますと、基本的な発明というのが行われた後、さらに企業はその技術開発、研究開発を進めてまいります。それによって付加的な発明あるいは改良発明、追加的な発明が次々に行われてまいります。それが技術開発の実態であるわけでありますけれども、今回の国内優先権制度のねらいというのは、そういった最近の技術開発の実態に合わせて、網羅的に特許制度が得やすくなるようにしようというのがねらいであるわけであります。
そういうことでございますので、この国内優先権制度の導入によりまして、一つには現在の企業におきます研究開発の実態に即して特許が取りやすくなるという意味において、現在の研究開発を推進していく上において大きな効果があるだろうというふうに私ども思っているわけでありますけれども、同時にこの制度というのはPCT出願についても適用がされるわけでありまして、そういうことによりましてPCTの利用の促進にも貢献していくだろうというふうに思っているわけであります。