佐藤誼の発言 (文教委員会)
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○佐藤(誼)委員 悪いけれども、とらえ方がちょっと甘いのではないか。その原因をきりもみのようにもっときちっと追求する必要があると私は思うのです。私から言わせると、いろいろな要因が複合していると思いますけれども、基本的に言えば、今日学歴社会を背景にした過熱した受験競争とテスト教育、そのえり分けの手段とされてきた偏差値教育にあると私は思うのです。つまり、偏差値による序列化と落ちこぼれ、それは不適応な子供の発生と差別に対する反発、こういうものを必然的に引き起こしていると私は思うのです。その中で主として差別に対する反発が非常に強いと思うのです。その結果生まれてくるのが、積極的な面で出てくるのが非行、暴力であり、いじめと言われる現象だろうと思うのです。内側に返ってくる、内側に人づていくという、これが言うなれば登校拒否であり、自殺であり、ある面から言えば高校の大量退学だと私は思うのです。このことはいみじくも、この前、警察庁に補導された大部分の子供、その中でも特に書類送検等をされた子供を見ますと、成績の序列ではほとんど下位なのですね。学校でいうならばお客様扱い、構ってくれない、そういう子供が異口同音に言っていることは、そういう学校の扱いに対するあるいは教師に対する不信と反発なのですね。ですから、いろいろな要因が複合していることはそのとおりなんですけれども、あえて主たる原因、構造的要因というならば、ここのところに原因を見出しながら、他に気を配りながらそこをぴしっと押さえていかなければならぬのではないかと私は思うのです。
そこで、時間も制限されておりますので引き続いて申し上げますが、一九八四年四月の日本青年会議所「学校教育の現状と課題」というその中に、「学校教育の課題」とありまして、「教育理想の見直し」の中に次のことが書いてある。「学歴主義と受験教育体制が強まるとともに、画一的なつめ込み教育と、それに適応できない生徒の逸脱現象が深刻化している。」こういうふうに言っているのです。私は非常に適切だと思います。
さらに一九八四年九月、関西経済連合会「教育改革への提言」の中の「五、知識偏重教育の是正」の中に、「戦後の日本は高度産業社会の建設を急ぐあまり、教育が知識偏重に走りすぎた。有名大学に入学することを唯一の目的とし、そのための激烈な競争は高校以下小学校教育にまで波及した。」以下云々と書いていますね。私はこれも当たっていると思う。特に「戦後の日本は高度産業社会の建設を急ぐあまりこというのは非常に適切な見方だと私は思うのです。
続いて、一九八四年十一月「自由民主」。自由民主党の機関紙だと私は思うのですけれども、その中に次のように書いてある。
「児童生徒の校内暴力、家庭内暴力や登校拒否の多発、少年の非行犯罪の年々の増加と若年化、悪質化の傾向等は、わが国の将来に暗影を投じており、憂慮に耐えない。その根源は、広くは学歴社会に根ざす受験本位の知育偏重、画一教育にあり、これについていけない落ちこぼれが将来に望みを失い、非行や犯罪に走るところにある。」こういうふうに書いてある。
次に、ことしの二月四日、衆議院予算委員会において海部委員、つまり元文部大臣、この方が次のようなことを言っている。「問題を追求していくと、そこには偏差値教育とか入学試験の問題とか、いろいろ出てきました。」ずっとありまして、「社会において学歴偏重社会、いいところへ就職するためにこの学校へ集中するんだという風潮がなくならないと病理現象の解決ができませんので、まず第一は、ここのところへ手をつけて解決をしていかなければならぬ。」
私は今ずっと引用いたしましたけれども、それぞれ立場や考え方は違っても非常に共通している。私もこの見方に大筋は賛成なのです。このことを文部省が果たしてどの程度とらえているのか。先ほどの大臣の答弁では、非常に広くはとらえているけれども核心に触れていない感じがしてならない。
そこで、私は、では文部省がどういうとらえ方をしているのだろうかということを若干文献で見てまいりましたが、なかなかそれらしいものが見当たらないのです。ごく最近のものでは、昨年の七月「校内暴力の実態と文部省の施策について」その「はじめに」というところに、「校内暴力等の問題行動の背景には、家庭の在り方をはじめ、物質中心主義の社会的風潮、急激な社会環境の変化、学校における指導の在り方など種々の要因が複雑に絡み合っている。」こういう表現になっているのです。私は、これでは平板的であり、並列的であり、核心に触れてないという感じがしてならないのです。
この間、昭和六十年一月二十三日に「我が国の初等中等教育」というのを文部省が出しましたね。この中の「三、知・徳・体調和のとれた人間形成の重視」その「自今後の課題」の中に次のような指摘がしてあります。「また、過熱した受験競争の中で知識のつめ込み教育重視の風潮が児童生徒の人間形成に悪影響を及ぼしているとの指摘も強い。」となっている。「指摘も強い。」という表現になっている。自分たちがそう思うとは書いてない。こういう文部省のとらえ方なんですね。
先ほど大臣も言われましたけれども、緊急の課題はまさに今の教育の荒廃の克服であり、父母や国民の期待にこたえるという点からいうと、その施策のこれからの道筋としてはその原因のとらえ方が非常に総花的であり、あえて言うならば皮相的ではないかと思うわけでございます。したがって、その辺のことについて、私はあえて今言いましたけれども、どうお考えですか。