佐藤誼の発言 (文教委員会)
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○佐藤(誼)委員 私も、この学歴社会を背景にした受験競争、それに伴うもろもろのものだけが原因だなんて言ってないわけです。いろいろなものが複合しているということを前提にしながら、その中であえて主たる原因、構造的なものまで突っ込んでいくとそれが浮かび上がってくる、こうい意味合いで、改革についてはそこだけに焦点を当てればすべて解決するとも言っていないのです。私はやはりとらえ方、そこを軸にしたとらえ方をしないと改革の具体的な方策は浮かんでこないのではないか、文部省はどう考えておるかなかなかよくわかりませんけれども。ただ、先ほど私は幾つか引用いたしましたけれども、私が知り得る限りの、党派、立場を超えても、その主たる要因、構造的原因というのはほとんどそこに見出せるという点、これは文部省、ぜひ理解をしておいていただきたいと思います。
今、昔も受験競争があった、今もあるという言い方をしますが、確かにそれはそうだと思う。長くは言いませんけれども、私たちもそういう網をくぐってきました。しかし、昔の受験というのは、確かに厳しかったけれども一種のロマンがあったと私は思う、厳しい中にも。しかし、今の受験競争、受験体制はまさに灰色だと思うのですね。行き詰まりだと思う。人間的な壁としてぶつかっている。こういうところに基本的な問題があると私は思いますから、その点はあえて文部大臣に答弁を求めても意見の違いが浮き彫りにされるだけでしょうからそこはあえて言いませんけれども。
そこで、問題は、学校の実態がどうなっているのか、子供が今の受験体制なり過熱なる受験競争なり偏差値教育、テスト教育をどう考えているか、このことを私はちょっと引用しておきたいと思うのです。
既にいろいろ知っておられることでありますが、次の詩です。つまり、高校入試を間近に控えた中学三年生の詩です。
ぼくの見た夢
大きな商店の店先に ぼくは並べられていた
ぼくも、ぼくのまわりの商品もみんな値段がつけられている
それは偏差値である お客は数値の高いものから買っていく。
ぼくは売れ残ってなかなか売れない「お客」という意味は高等学校だろうと思うのですがね。
これは非常に意味深い詩だと思うのですね。この中学校の生徒の詩。つまり、テスト結果による偏差値でレッテルが張られ、序列化していく。そして、偏差値で冷酷に進学校が定められていく。つまり輪切り進学です。その姿が如実に浮き彫りにされていると私は思います。つまり、今日の受験体制に組み込まれた学校教育の実情と、そこから抜け出すことのできない子供たちのやるせない心情、静かなる怒り、これがこの詩の中に入っていると思う。私は心して読まなきゃならぬ詩だと思うのです。教育改革の出発点はここにも一つのベースを置かなきゃいかぬのじゃないかと思うのです。
次に、これも予算委員会で読まれている詩ですけれども、小学校四年生の詩。この子供は五年のときに自殺をいたしましたね。
テスト戦争
紙がくばられた
みんな、シーンとなった
テスト戦争の始まりだ、
ミサイルのかわりにえん筆を持ち
機関じゅうのかわりにケシゴムを持つ
そして目の前のテストを敵として戦う
自分の苦労と努力を その中にきざみこむのだ
テストが終わると戦争も終わる
テストに勝てはよろこび
負ければきずのかわりに不安になる
テスト戦争は 人生をかえる、
苦しい戦争この詩は、今言ったように小学校四年のときにつくった詩でありますけれども、五年のときに自殺をしている、御承知の二月十六日に自殺した横浜市金沢区並木第三小学校五年生杉本治君の詩ですね。この子供は、自殺をする前日つまり二月の十五日に親友に、学校が破壊すれば勉強しなくてもいいし先生も楽になる、こういうことを言った。このことでもってこの子供は担任の先生の注意と指導を受けた。それからずっといきまして、翌日に自殺をしているのですね、この子は。確かに、新聞の報道等によりますと、この子供は特異な性格を持った子供でなかったかとか、担任の指導のあり方等についていろいろ言われております。しかし、私は、この詩の中にも、今日学校の教育の中でテスト教育、偏差値教育、これがいかに子供に過重になっているか、そして子供の心をむしばみ、非人間的な扱いの矛盾、これを引き起こしているか、私はこのことを察するに余りあると思うのです。
今、文部大臣は、戦前の受験競争、そしてまた現在も同じような受験競争があると言う。確かに見た目は同じです。しかし、中身の深刻さはかなり違う。このことをとらえておかないと、本当に父母あるいは国民にこたえる教育改革は果たして進むのかどうか、このことを私は非常に憂うる者の一人なんです。そういう点で今あえてこのことについて申し上げました。先ほどから大臣の答弁を聞いていますから、端的にこの詩に対してどうですか。この詩に対しての所感を……。