松永光の発言 (文教委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○松永国務大臣 先生のいろいろな観点からする戦後教育の分析につきましては、一つの御意見として参考にさせていただきたいと思いますが、経済成長、所得倍増に文部省が加担したとかなんとかというふうな見方ではなくして、むしろ文部省は経済成長あるいは所得倍増を活用して教育の量的拡大を図ってきたというふうに私は見るわけであります。
それは、先生も御承知のとおり昭和三十年、高等学校進学率は五〇%でございました。高度経済成長の成果を活用して高等学校の量的拡大を大いに図ってきたわけでありまして、その結果が今日九四%の高等学校進学率というふうになってきたわけでありますが、それは教育の機会均等を実現したということにもなるわけでありまして、それなりに評価をしなければならぬというふうに私は思うわけであります。
ただ、反省すべき点は、量的拡大を目指す余り、多様な高等学校、それぞれの子供に適した高等学校教育を与えるようなところまでまだいってなかったというふうに思うわけでありまして、これから多様な高等学校をつくり、あるいは子供の個性あるいは能力等々に応じた高等学校の教育がなされるような改善措置が必要ではないかというふうに考えるわけであります。
人的能力の開発という視点でございますけれども、いつの時代にも人的能力の開発は必要なことであると思うわけでありまして、教育基本法に言う「人格の完成」というのは、その人の持っておるいろいろな能力を発展させていくということが人格の完成の意味でもあると思うのでありまして、その意味では人的能力の開発はいつの時代でも大切なことだというふうに思います。
特に、我が国は科学技術その他の面でも相当発展を遂げてきたわけでありますけれども、今まではややともすれば模倣型であったと言われているわけでありまして、ほかの国の優秀な人材が開発をした科学技術等を利用してそれに改善を加えたような形でしかないじゃないか、世界人類に貢献するような発明、発見あるいは科学技術の進歩というものが日本の人でできるような人材を育成する、あるいは人的能力の開発を図ってそういう分野で世界に貢献するということも大事なことであろう、そういったことをしなければ、世界の人たちから尊敬される国家、国民にはなれないのじゃないかというふうに思うわけでありまして、その面でも力を入れていかなければならぬというふうに思うわけであります。
経済成長というのは、国の経済を繁栄させ拡大させることによって、国民は充実した経済生活を営むことができ、また幸福をつかむこともできるわけでありまして、経済の発展というものを否定するわけにはいかぬわけであります。また、そうした経済の発展は、その国の国民、なかんずく青年がそれなりの能力を持ち、また高い教育を受けるその人たちが経済の発展を支えるわけでありまして、そしてその結果は、国民の経済の充実ということでみんなの幸せにつながっていくものだというふうに私は考えておるわけであります。
それから、有名大学云々の問題でありますが、私は、ある意味では昔よりも大分改善されてきた。有名大学といえば日本の場合には東京大学であるわけでありますが、最近では、ある意味では東京大学の地位は低下してきたというふうに私は見ております。いろいろな分野でその現象は出ておるわけでありまして、例えば司法試験等を見ますと、東京大学卒業者の合格率は三分の一を切っておりまして、その他の大学が三分の二以上を占めておる、早稲田大学、中央大学等々、他の大学が東京大学の地位にとってかわっているという面も実はあるわけであります。また、有名企業等が採用する場合にも、東大だから云々という状況は大分なくなってきたようでありまして、むしろ、ある意味では、東大卒業者の弱点、欠点が指摘されている状況になってきておるわけでありまして、むしろそれ以外の大学出の方が重要視されるという状況も出てきておるわけであります。ことしのいわゆる上級職合格者の中から文部省へ採用された人の中には東大法学部出身者は一人もいないということなども、学歴主義が相当改善されてきた結果ではないかというふうに私は思うわけでありまして、いろいろな大学から文部省に将来の幹部候補生として採用されているという現象も出てきております。恐らくこういうことは十年、十五年前には考えられなかったことではないかというふうにも思うわけでありまして、大変いい傾向であるというふうに私は思っておるわけでありますが、将来ともいろいろな改善措置を常に図っていかなければならぬ。そしてまた、今までの文部省の教育行政については常に反省を加え、よりよいものを志向していくことが私どもの務めであるというふうに考えておるわけでございます。