桜井誠の発言 (農林水産委員会)

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○桜井参考人 全国農協中央会の桜井でございます。今回の農林年金制度の改正法案につきまして意見を申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、この農林年金制度といいますのは、昭和三十四年一月に農林漁業団体多年の運動の結果実現をいたしております。
 若干歴史を申し上げますと、昭和二十六年ごろから役職員の間に身分の安定、それから老後保障というふうな声が出てまいりまして、特に役職員連盟がこの運動の中心になって動いたわけでございますが、言ってみますと当時は戦後復興の時代でございまして、国民食糧を増産してまいらなければいかぬ、そのためには農林漁業の振興が必要である、ところが中核になります農林漁業団体の経営が非常に困難である、また優秀な人材が外へ流出をしてしまう、こういうふうな状況のもとにございました。特に農業協同組合におきましては、昭和二十四、五年ごろにおきましては大体四割ぐらいの農協が経営不振、連合会も同様の形で再建整備をしなければならないという状況の中で、優秀な人材をどうやって確保するかということが大きな問題であったわけであります。
 そういう中で、身分の安定あるいは老後保障という運動が沸き起こってまいりまして、最終的には、昭和三十年の全国農協大会でこの農林年金制度の確立を決議いたした結果、政府、国会の御理解を得まして三十四年の発足、こういうことになったわけでございます。
 それから二十六年たちまして、現在、御承知のとおり農林年金は、組合員四十九万人、年金受給者が十四万人、一兆円の積立金を持つ、こういうふうな段階にまで発展をいたしておりますが、特に農林漁業団体の人材の確保、それから団体の機能発揮、ひいては農林漁業の発展にこの農林年金制度が大きく寄与してきたもの、こういうふうに考えるわけでございます。
 ところが、年金の受給者がだんだんふえてまいることに伴いまして、農林年金自体におきましても財政の長期安定ということが一つの大きな課題になってまいったわけであります。また、歴史的ないろいろな背景のもとで事情を異にして成立をいたしました各種の年金制度、これにつきましても、国民の間からは共通の基盤を持つべきではないかというふうな声が大きくなってきたというふうに考えるわけであります。したがいまして、今回の国民年金、厚生年金それから共済年金制度の制度改正というものは、言ってみればこのような背景のもとに成立し、あるいは提案をされておる、こういうふうに認識をいたしております。
 ところで、今回の改正を現行制度と比較いたしました場合に、例えば加給年金あるいは在職者支給という面で改善点はあるわけでございますけれども、当面、当分の間六十歳からの特別支給というのもあるわけでございますが、原則的には六十五歳からの年金支給になる。それからもう一つは、六十歳支給年齢への段階的な繰り上げ、現在は昭和七十五年ということになっておりますが、昭和七十年までに期間を短縮するという問題、あるいは従来は最終一年の標準給与ということになっておりましたけれども、全期間平均をとるというふうな問題、あるいは年金の算定方法の改定というふうなこともございまして、結果的には年金水準自体が現在の制度よりも下がるということになるわけであります。あるいは国の補助が、従来は給付に対しましての一八%あるいは財源調整一・八二%ということでございましたけれども、基礎年金の拠出金の三分の一の国庫補助あるいは三十六年四月以前の期間に係ります給付の二〇%以内の補助、こういうことでございまして、片方、掛金率は相当程度上がるということが予定されるわけでありますから、そういう面におきましては、大きな問題点を持っておるというふうに認識をいたすわけでございます。
 では、現在の制度を継続いたしました場合にどういうことになるかということでございますけれども、先行き積立金もなくなってまいる、あるいは昭和百年ころにおきますと、御案内のとおり四四%も掛金を払わなければいかぬというふうな事態になりました場合には、当然これは制度の存続がおぼつかない、できない、こういうことでございますので、農林年金の財政を長期にわたって安定をし、制度を存続するというふうに考えました場合には、今回の制度改正というものは避けて通ることができない道ではないかというふうに考えるわけでございます。
 なお、二、三の点につきまして申し上げたいと思っております。
 一つは、支給開始年齢が、先ほど申し上げましたとおり、段階的に繰り上げられまして、昭和七十年に六十歳ということでございますが、この関連で、定年制との問題が絡むわけでございます。現在、農業協同組合におきましては、六十歳定年を実施しておりますものが三七%でございますが、定年の延長を実施もしくは検討をいたしております農協が大体三七%ございます。その大部分は六十歳定年を目指しておるということでございまして、私どもの見通しては、昭和六十四、五年ごろには大体六割以上の農業協同組合におきまして六十歳定年になる、こういうふうに見ておるわけでございますが、全中といたしましては、今後も積極的にこの六十歳定年を推進いたしまして、定年退職と年金支給との間に空白期間が生じないような形で指導、推進をしていく所存でございます。
 二つ目は、御承知のとおり、行革関連特例法によりまして、国の補助が五十七年度から現在まで四分の一カットされておるわけでございますが、四分の一カットが現在二百二十五億円くらいになっておるわけでございます。これについては返還が約束をされておるわけでございますけれども、具体的にいつどの程度の利子をつけて返還されるかということが決まっていないわけでありますので、早急に返還されるべきもの、こんなふうに考えます。
 三つは、農林年金財政の安定化、掛金負担の急激な増高を避けるということで、農林漁業団体は昭和五十六年に全国農林漁業団体振興会というものをつくりまして、現在十四億三千五百万円を農林年金に助成いたしておるわけでございます。しかしながら、六十一年度に実施が予定されます掛金率の改定、これにつきましても相当程度掛金がふえるというふうに見えるわけでありますけれども、急激な掛金負担の増高を避けるという意味合いで、農林漁業団体振興会からの助成は引き続き継続実施をしていく方針でございます。
 これに関連いたしまして、農林漁業団体役職員の教育研修、福利厚生の相互扶助事業に対しまして現在国の補助が六億一千万円あるわけでございますが、私学共済におきましては、不足財源に充てますために、国の出資を受けております私学振興財団からの援助がある、あるいは都道府県からの援助があるということを考え合わせますと、農林年金等の問題も絡めまして、この農林漁業団体の相互扶助事業の予算は継続をして実施していただきたい、こんなふうに考えるわけであります。
 以上述べましたような前提に立ちまして、今回提案の農林年金制度改正案につきましては成立を図ることが必要ではないか、こういうふうに考えております。
 ちょっと時間を過ぎまして申しわけありません。以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 桜井誠

speaker_id: 30618

日付: 1985-11-26

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会