坂本重雄の発言 (農林水産委員会)

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○坂本参考人 坂本でございます。お手元にレジュメのようなもので、非常に即席の字で書きましたので恐縮でございますが、それに沿いまして意見を述べたいと思います。
 今回の農林年金を含めた共済年金四法案の中で、従来議論になっておりました基礎年金という問題、これをひとつ最初に取り上げてみたいと思います。
 まず基礎年金につきましては、基本設計がどういう形で、厳しくなるということはやむを得ないにしましても、なぜこういう四十年加入で給付が満額五万円、こういうことになるのかということの設計の数字につきまして、これまで国共審その他の場でよく質問をしてきたのでございますが、それが一向に明らかになっていない。これはある程度推計はやむを得ないということはわかるのですけれども、幾つかの疑問点をまず出してみたいと思います。
 まず六十歳以上という、これは在職老齢年金の対象になりますけれども、こういう雇用につきましては数字が被保険者に入ってこない、あるいは女子の就労がふえてくることは言うまでもありませんが、今後厚生年金にもパートの方が入れる、こういう事態の中でも被保険者がふえてまいりますけれども、こういうものの数字が出てこない。そして、三百万人の推定になっていますサラリーマンの無業の妻、これは強制加入で保険料を払わない、こういう扱いになっておりますために、保険料納入義務者の数が相当少なく押さえられてしまっている、こういう点が第一点でありまして、こういうところが、出発点では技術的にやむを得ないという意見があるかもしれませんけれども、こういう押さえ方でいきますと当然中身が厳しくなってくるということの一つの原因だと思います。
 次に、例えば二〇二五年という一番高齢化のピークの時点でありますけれども、この場合は収入を上回って給付額が出る。この時点でも、その給付額の総額の一年分を積み立てる、これを前提に組んであります。そういう計算での保険料率は当然高くなってくると思います。西ドイツの場合なんかは三カ月くらいで支払い準備に影響がないと言われている。それを日本は一年積んでいる。
 第三番目に、人口の高齢化ということは否定できない事実でございます。しかし、その場合の高齢化の見方につきましてまず一つ申しますと、日本が特別なものじゃないと思いますけれども、特徴は、急速に来る、しかし、二〇二五年を越えますと急速にまた若年化が進む、この年金制度が根づくときには若年化に向かう、こういう点で、年齢構成に合った設計がどうかに疑問を持っています。また、外国でよく言われますのは、高齢化というのは児童が少なくなることから出てくる数字でございます。ところが、児童が少なくなるということは、公的にも私的にも児童への扶養の負担が減るということでございます。その点の評価が非常に低い。それからさらに、団塊の世代が二十年ごとに出てきているということは、ある意味では扶養の関係、公的負担の関係ではプラスの面だ、こういった年齢構成上の問題なんかもすべて暗い方にとってしまっては困る。
 以上のような点で、年金設計の推計なり年金の構造につきまして非常に疑問がある。ただ、そういうことは甘い見方であって、実際はそうはならないかもしれない。しかし、もし私が申し上げましたことが事実だとすれば、そういうことは早い時点で見直しがなければ、非常に偏った、財政当局本位の案になりかねないのではないか、こういう疑点が第一でございます。
 以上のようなことによってできました基礎年金というものが具体的にどうなんだ。例えば五万円という給付、これは満額でありますけれども、この場合は生活保護基準を下回るということであります。極端な質問が出ますのは、例えば無年金でいた場合に、生活保護をもらったら七万ですね、こういうことにもなりかねない。こういう点で、生活の足してはなくてこれだけを頼っている、現在でも七割の方が国民年金だけでございます、そういう水準を維持することにはかなり重要な意味があると思います。
 それから四十年という気の遠くなるような非常に長い期間でございますけれども、学卒の場合ですと恐らく四十年ぐらい働くわけですが、これからは生涯雇用のような安定雇用が減ります。その中断した場合に、月一万三千円払うというようなことが果たしてうまくいくか。さらに、二階部分の共済なり厚年をもらえばいい、一階は要らないと言うことはできないシステムでありまして、四十年加入に近い、少なくとも二十五年以上を確保するということを前提に二階部分が出てくる。そういう意味でも四十年加入は非常に厳しいと言えると思います。なおこれだけの厳しさを出しながらも、サラリーマンの無業の妻につきましては強制加入としながら掛金は要らない、こういう点は非常にアンバランスだというふうにも思います。
 こういった点で、個人年金の方がいいという、年金に対する不信感というものを非常に私は恐れます。その点で、ヨーロッパの場合、今一番高齢化の厳しい時期に、これまで社会保障財政をうんとつぎ込んでやってきた。これに対しては反省の余地もあるかもしれませんが、これまで老齢者対策をやってこなかった日本の場合に、ようやく年金が根づいてきている段階で一挙にこういう形の改悪というのは避けるべきではないか、特に受給者の立場を考えるのが年金問題の基本ではないかというふうに思います。
 農林年金につきましては、御専門のお詳しい方が御意見を述べられますので私は避けたいと思うのですが、もともと厚生年金を上回るということをねらってつくられたものだと聞いておりますけれども、実際には給与水準が低いために四共済年金の中で一番低い水準だと思います。この点で、これまで四共済含めて官民格差ということが盛んに言われておりますけれども、現在、厚生年金が根づく中で格差はかなり縮小しております。ただ、恩給という非常に厄介なものがそのまま天井知らずにありますので、平均受給額は非常に多いということで、特に公務員共済については批判がございます。しかし、恩給を除きますとかなり格差は少なくなりますし、あとは職域年金の特徴という問題がどうしても残ってくるのではないか、こういうふうに考えます。そういう官民格差の議論は厚生年金と共済の間の議論でありますけれども、これは合計で三割でありまして、残り七割というのは依然として三万平均程度の国民年金だ。そういう意味では、日本の年金が国際水準だということはまだ言えないのではないかというふうに考えております。
 以上を集約しまして、基礎年金五万円という水準は設計の基本でありますから簡単には動かせないと思いますけれども、既に前国会でも議論がなされての附帯決議があったと聞いております。この点は、やはり生活保護基準を下回るようなものであっては困るということをぜひ申し上げたいと思います。
 それからなお、国庫負担が基礎年金の三分の一という点でございますが、これは残り三分の二が恐らくサラリーマンの方に負担がいくだろうという点で、確かに公平化という議論は進んでおりますけれども、サラリーマンと一般住民の場合の生活の形態の違いから見まして、余りにもサラリーマンの方に負担がいき過ぎているという点に危惧を感じます。
 なお、二階部分と言われる共済部分ですけれども、これの自主性ということが非常に大事だと思います。ただ、今後財政調整が進んでまいりますと自主性は尊重できなくなる。この点で、現在問題になっております国鉄共済年金の救済、これがどうなるかによって、各単位共済の今後の財政がどうなるかということが非常に大きな影響を受けるものですから、やはり国鉄共済の問題というのは前提として大事であろうと考えております。
 以上、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 坂本重雄

speaker_id: 33927

日付: 1985-11-26

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会