赤羽隆夫の発言 (物価問題等に関する特別委員会)
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○赤羽政府委員 六十一年度の民間設備投資の見通しでございますが、今御指摘になりました民間の調査の数字と申されますのは三月十日の日経新聞の数字ではないかと思います。
確かに年度が始まる前の予測といいますのは、まだ設備投資計画が決まっていないといったようなこと、それから現在円高が進んでおるわけでございますけれども、それのデフレ効果、こういったようなことにつきまして心理的にも大変深刻な受けとめ方をしておられる企業が少なくないと考えます。そういったようなことで、翌年度につきましての計画の予想、こういうことになりますと、どうしても慎重な見方になるのではないかと思います。
もちろん、私どもが政府の経済見通しを策定するに当たって作業いたしましたのは、今から大体四カ月足らず前のことでございます。四カ月前と比べまして最近、その三カ月余りの間にいろいろな客観的な条件が変わってきているということはございます。しかしながら、基本的な見方といたしまして、政府見通しにあります設備投資七%台の伸びといったようなことは、現在でも達成可能と申しますか、本質的な条件において変化がない、こういうふうに考えております。
四カ月ほど前と最近との条件の違いといったようなことをちょっと考えてみますと、当然マイナスになりました条件、それと反対にプラスになりました条件というのがあると思います。一番大きいのは、やはり円高が当初の前提以上に進行した、こういうことでございます。円高にはプラスとマイナスの効果がこれまたございます。マイナスの効果がデフレ効果ということでございまして、前提以上の円高ということで、当然デフレ効果は当初の前提以上に強くなっている、この点はマイナスの面だと思います。それに対しましてプラスの面といたしましては、円高が想定以上ですから、またプラスの効果も大きいだろう、これが第一点でございます。
第二点といたしましては、三、四カ月前に想定したのに比べまして欧米主要国のことしの景気に対する見方というのは格段に明るくなってきている、こういうことがございます。世界経済の中で日本経済が生きているわけでございますから、世界経済の主要な構成要素であります欧米主要国の景気が明るくなっている、これもまたプラスの要素だと思います。
もう一つの要素は、原油の値下がりということが予想されるわけであります。三月から四月くらいにかけまして急速にこうしたことが統計上もあらわれてくると思われますけれども、これによるプラスの効果がつけ加わる。さらには、公定歩合の二回の引き下げ、こういうことで、当初予想された以上に金融政策につきましての弾力的な運用についての好条件ができた、こういうことでありまして、三、四カ月前と比べましてプラス・マイナスを差し引きいたしますと、現在の方が条件がよくなっている、こういうふうな認識をしております。
これは経済全体についても言えることでございますけれども、また設備投資の見方についてもこうした点は当然考慮されてしかるべきだ、こう思います。
こうした場合に、マイナスの面としての円高が予想以上に大きかった、それによるところのデフレ効果が当初の想定以上に大きかったではないか、こういったような点が直接あらわれますのが製造業の分野、こういうことで、製造業の設備投資の見通しが下方修正される、これは当然理解できることでございます。
それに対しまして非製造業あるいは製造業の中におきましても輸入で利益を受けるようなところ、こういったようなところはむしろ条件は好転しているということでございます。そういうことで、設備投資につきまして規定いたしますいわば短期的な条件は、全産業で見てそう悪くなっているとは考えておりません。
また、中長期的に見ますと、現在先端技術というものを中心に第三の産業革命と言われるような技術革新が進んでおります。特に円高というものに対応いたしまして世界経済の中で生き残りをしていくためには技術革新を怠ってはいけない、こういう意味で、設備投資に対する企業の意欲、気構えというのは引き続き非常に強いものがあるという認識でございます。したがいまして、七%という数字で象徴されております設備投資に対しますところの楽観的な見方と申しますか、将来を目指した動きという理解は今でも変える必要がない、こう理解しているところでございます。