中曽根康弘の発言 (予算委員会)
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○中曽根内閣総理大臣 日本はフィリピンと友好親善の関係を今まで維持してまいりましたし、今後もその考えには変わりはございません。アジアの隣邦として大切な国であると考えております。我々はフィリピンに対して今まで経済協力等行ってまいりましたが、しかしこれは、前から国会で申し上げてますように、一政権を支持するためにやってきておるのではないのであって、フィリピンの国家あるいはフィリピンの国民全体、そういうものを対象にしまして、その福祉やあるいは安定のために積極的に熱意を持って経済協力してきたので、フィリピンの国民及び国家を相手にそのようにしているということは今も一貫して変わりがないというところでございます。
現在の事態におきまして、政府としてやはり大事な関心は在留邦人の安全でございまして、相当数の在留邦人あるいは観光客がマニラその他におるわけでございます。そういう意味において、この在留邦人の安全ということを念頭に置きまして、我々は言動等についても非常に慎重に行っておるということでございます。
それから、最近の情勢につきましては、アメリカと緊密な情報交換を行っております。きのうもシグール大統領補佐官が参りまして私といろいろ意見交換も行いましたが、その中におきまして、ともかく武力衝突を起こさないように、流血の惨害を起こさないように、平和的に事態が収拾されることが最も望ましい、そういう点においては意見が完全に一致いたしまして、その平和的な事態の収拾というためには情報交換しつつよく緊密に協議をしていこう、そういう考えに立っております。
もとより、フィリピンの問題はフィリピンの国民がみずからお決めになることでありまして、我我が外からとやかく内政干渉がましいことを言うべきことではございません。特に、アメリカと日本の立場は若干違う立場がございます。アメリカは去る第二次大戦の際にはフィリピンを助けた国でございまして、我々はむしろフィリピンに大きな惨害を与え、迷惑をかけた国でございまして、そういう意味においてアメリカの立場と日本の立場は違いますし、また我々は同じアジア人として、しかも隣邦として大事な国で、末長くおつき合い願わなければならぬ大事な国であるわけでございます。そういう意味におきまして、フィリピンの問題に対する我々の発言というものは冷静かつ慎重であらねばならない、そう思っております。
しかし、最近の情勢を見ますと、フィリピンの国内に新しい一つの流れが生まれつつあることは、事実として我々は認めざるを得ないところでございます。しかし、どういう体制が生まれてくるのか、その点は全く予断を許しません。先入観にとらわれたりなんかすることは極めて危険でございます。やはり国際法上からも、国民の大多数が支持するということ、それから統治能力が全国土に及ぶというようなことは、やはり国際法的にも我々が重大な関心を持って眺めるポイントであるだろうと思います。
いずれにせよ、これらのことはフィリピンの国民がみずからお決めになることであって、我々は内政干渉がましいことは一切慎んでいくべきであると思いますが、しかしそういう新しい流れについても我々は大きな関心を持ちまして、そして先ほど申し上げましたように、平和的な収拾が行われるように強く念願をして見守っておるという状態でございます。