松田岩夫の発言 (文教委員会)
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○松田(岩)委員 まさに、豊かな創造力を持った日本の社会を建設していくということは、大臣仰せのとおり、教育だけでできることではございません。まさに私も、ある意味で、社会における人間の評価のあり方、企業の中での人の使い方、あるいは採用の考え方等、あらゆる分野にわたる一大社会改革であると思うわけであります。そうした意味で、ぜひひとつ、文部大臣としては教育の面から文教行政の面からなお一層御尽力を賜りたく思うわけであります。
さて次に、やはり何といっても、ここまで来た我が日本の社会がいま一つ大きく求められておりますことは、もう諸先輩によって多くの議論がなされておりますが、まさに心豊かな人間をつくることだと思うのであります。ようやくここまで物質的な豊かさを達成できた我が日本の国は、ある意味では、ようやくここで本腰を入れて心の豊かな人間をつくり出すゆとりもまたできてきたと思うのであります。そうした意味で思いますと、大臣おっしゃるとおり、家庭、学校あるいは社会における徳育の問題を我々としては本当に今こそまた真剣に考えなければならないと思うわけでありますが、さしあたり学校教育における徳育の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。
豊かな心をつくり出すということは、正直、教科書であるいは理屈で学べるものではないと思うのであります。まきにこの徳育というのは子供たちの日ごろの生活の実感あるいは感動の中から体得されるものでありましょうし、また、子供たちの実践や行動を通じて初めて本当の意味の心の豊かな人間がつくられるのではないかと思うのであります。
そうした意味で少しく具体的なお話を申し上げますが、例えば岐阜県でも文部省の御協力を得て道徳教育用の資料をおつくりになっておられまして、今手元に持ってまいりました。これは昭和五十九年度から実施されておられます道徳教育用郷土資料の研究開発、わずかな予算ではございますが、我がふるさとの岐阜県も御協力、御援助を得て地域の先生方が立派な教材をおつくりになられました。これを読まさしていただいてしみじみ感じましたことは、子供たちの住んでいる身近な地域社会での逸話やあるいはそこに住んでいた偉人の方々の生きざまを書いておられるわけでございますが、こうしたものは正直、一般的に世界であるいは日本でこういう人がいたとかこんな逸話があったとかということに比べれば、幼い子供たちにとって、うちの近所のあそこでそんなことがあったの、ああ、そんな方が昔住んでおられた、すぐ隣の町内でそんな方がこんな生きざまをした、ああ、すばらしい生き方だな、そういうものを通じて恐らくはるかに多くのものを学ぶのではないかと思うのであります。
承りますと、とりあえずはこの道徳教育用郷土資料の研究開発ということだけにおとどめになっておられる。私とすれば、こんな立派な教材が地域の有識者の方々の総力を挙げてつくられたというのであれば、それこそこうした教材が学校のみならず各家庭でも親子団らんの中でお互い語り合いながら読まれていく、そうしたことをなぜもっと進めていただけないのだろうか。予算の問題もありましょうが、この道徳教育用郷土資料の研究開発というのは、一つの試みとして注目すべきものだと私は思うのであります。そうした意味で、今後の活用をぜひ考えていただきたいと思うわけです。
と同時にまた、今も申しましたように、この徳育というのはまさに実践、行動を通じてであります。今そういう意味で、とりわけ徳育というものは、学校の枠内ではない、家庭も大事だが、まさに社会との連携をもっともっととるべきだ。例えば勤労のたっとさ、働くことのたっとさを学ぶために、教室の中で、働くことは大事だ大事だと言っておっても始まらない。早い話、むしろ学童諸君、生徒諸君に、企業の中でお父さんやお母さんが一生懸命働いている姿をともに見ながら実際に企業の中で例えば働くといったようなことも、教育の中で十分取り上げていただいていいことではないかと私は思うのであります。
と同時に、今既にもう御議論になり取り上げられようとしておりますけれども、まさに人生を豊富に生き、経験豊かないろいろな苦しみあるいは楽しみを経験してこられた多くの社会人が、定年後といいますか、社会での活躍を終えて地域社会には大勢おられます。そうした長い間の人生経験を踏まえた方々のお話をじかにいろいろ聞くといったようなことで、こういった方々をもっともっと自由に教育の現場の中に御活用なさっていく。
ほんの一、二の例を申し上げたわけでございますが、こうしたことが徳育ではまことに大事なことではないかと私は思うのでございます。そうした意味で、大臣、ぜひこうした面にもっとお心を払っていただけたらと思うわけでございます。御所見がございましたら承りとうございます。