冬柴鐵三の発言 (法務委員会)

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○冬柴委員 今刑事局長触れられましたけれども、国民が全部見ていられるわけですから、このような考え方、死刑が刑罰として犯罪抑止力を持つか否かという点についてでありますが、御承知のとおり、アメリカ合衆国では死刑を廃止した州、それから死刑を存置している州、そのようなものがあるわけでございますけれども、その廃止した州が一般に存置した川よりも、殺人率というものを見ましたときにそこに有意な差がない。むしろ、文献では廃止したところは低いと言われているところもあります。そしてまた、ヨーロッパにおいても死刑を廃止した国は平均して低い、このようにも言われている。
 そしてそういうような凶悪犯、死刑相当のような犯罪が行われるという要素は、そこに死刑という制度があるかないかということよりも、むしろその国の経済的、社会的環境の差異とか人口構成とか教育程度、文化程度、そのような面がはるかに重要な役割を果たしている、このように言われている。また、一九六七年の国連の死刑に関する報告書によりましても、死刑の廃止によって凶悪犯罪が増加したり、あるいはその復活によって減少するような事実は認められない、このようなことの報告もなされていることは御承知のとおりでございます。そのようなことにかんがみまして、死刑制度の存廃ということを国民全体で常に考えていく。今刑事局長からは、いろいろな統計で、あるいは七〇%までが死刑を存置すべきだ、このような考えを示されたということをおっしゃいましたけれども、時代によって随分変わっている。例えば、この死刑の確定判決の数が十年間ごとに半分あるいは三分の一も違うというようなことに照らしましても、死刑というものに対する国民あるいは法曹の見方、考え方というものがそこに大きな変化をしているのではないか。
 犯罪件数は、先ほどの法務大臣の所信表明によりますと漸増の傾向にある、このように言われましたし、またそれだけじゃなしに、その犯罪の内容も凶悪化している、このようにおっしゃいましたとおりでございますけれども、三十年代の死刑の判決の確定数が先ほど言われたように百九十四人、四十年代は九十人、五十年代は三十人、こういうことで減っているということは、裁判官においても死刑を選択するということに相当慎重になっていらっしゃるのではないか、また社会がそれを是認しているのではないか、このようなことを考えるわけでございます。
 そこで法務大臣に、いわゆる死刑制度の存廃ということにつきまして法制審議会に諮問する、このようなことのお考えについてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

発言情報

speech_id: 110805206X00319870515_023

発言者: 冬柴鐵三

speaker_id: 30508

日付: 1987-05-15

院: 衆議院

会議名: 法務委員会