一井淳治の発言 (本会議)

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○一井淳治君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております水源地域対策特別措置法の一部を改正する等の法律案及び砂防法の一部を改正する等の法律案の二法案につきまして、反対の討論を行うものであります。
 両法案は、六十二年度、六十三年度の二年にわたって、公共事業関係の補助金等の国の負担割合の引き下げを行おうとするものであり、国と地方の周の財政関係に重大な影響を与える重要法案として、本来十分な日程をもって審議されるべきであるにもかかわらず、日切れ法案扱いとして短期間の間に処理しなければならなくなったことは極めて遺憾であります。これは売上税を国民各層の挙げての反対を押し切って成立させようとされたためであり、その要因をつくった中曽根内閣の責任は重大であると言わざるを得ません。
 しかし、深刻化する円高不況の中で、公共事業の拡大とその早期執行を求める地方の切実な要望にこたえるために、あえて日切れ法案扱いとすることを認め、短期間内に処理することに応じたことを明確にして、以下、反対の理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、昨年の補助金等一括法案の国会審議の経過を無視し、六十三年度までの暫定期間中は原則として補助・負担率を変更しないとの約束をほごにして、国の補助・負担率の引き下げを強行したことであります。
 五十七年度から始まった国の補助金削減策は年々強化されてきておりますが、昨年は、六十年度限りという負担割合の引き下げを拡大し、さらに六十三年度までの三年間に延長するという補助金等一括法案が提出されました。その審議に際して、六十一年度から六十三年度までの暫定期間中は、国と地方の財政負担の割合は原則として変えないことが確認されているにもかかわらず、今回、六十二年、六十三年の両年度にわたる負担割合の引き下げを提案しているのであります。これは国会審議を無視した公約違反であります。かかる政府の態度は、売上税問題と同様に、国民の政治不信を助長させるものと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、国の財政負担を理由もなく一方的に地方に転嫁させていることであります。
 国と地方の財政負担のあり方は、国と地方との機能分担に対応して合理的に決定さるべきものであり、国の負担率の見直しも、国と地方との機能分担の見直しとあわせて、地方自治を尊重し、地方の自主性と自律性を高める方向で検討さるべき問題であります。しかるに、現在実施されている一連の補助金削減策は、国の財政事情悪化を理由にそのしわ寄せを一方的に他方へ押しつけようとするものであり、国は地方公共団体に負担を転嫁してはならないとする地方財政法に反するばかりでなく、地方制度調査会や地方財政審議会の答申にも背くものと言わざるを得ません。
 申し上げるまでもなく、地方財政もまた今日、巨額の借入金を抱え、国と同様に厳しい対応を余儀なくされております。五十九年以来、数度にわたり、国の財政負担を地方に不当に転嫁せしめられ、財政面から住民の福祉の充実や生活環境の整備の理想が遠のきつつあるのが地方の実情であります。去る二十四日、国会に提出されました、いわゆる地方財政白書によりますと、地方債の償還に充てる公債費の六十年度決算額は初めて歳出の一割を超えて、歳出総額に占める割合は一〇・二%となっており、年々財政が硬直化し、地方自治の破壊への道を進んでいるのであります。
 地方財政がこのように厳しい状況にあるにもかかわらず、政府は、国の財政再建のみを最優先させ、今回さらに負担増を地方に押しつけているのであります。たび重なる中央政府のこのような暴挙は断じて容認されてはならないのであります。
 反対の第三の理由は、今回の負担割合引き下げの背景になっている政府の財政運営についてであります。
 今回の措置は、国の借金を地方の借金に切りかえて一時しのぎをするにすぎず、建設国債の増発をすれば、地方に対する負担割合の引き下げという無理を回避できるのであります。
 負担割合の引き下げは、臨調路線に従って一般歳出を厳しく抑制するという政府の予算編成方針のもとで、公共事業量の増加を図るためにとられた特例措置であると言われておりますが、政府が無理を押して進めている昭和六十五年度に赤字国債の発行をゼロにするという臨調路線の財政再建策は、実現不可能であることは明白であります。
 我が党は、かねてから内需拡大のための積極財政への転換を強く求めてきたにもかかわらず、中曽根総理は、臨調路線に固執し、ここ数年、公共事業抑制策を続けてきたのであります。その結果、生活関連の社会資本整備のおくれが目立ち、内外から批判されることになっております。ここに至って、政府首脳も積極財政への転換を言及されるようになったようでありますが、円高不況が深刻になる前になぜ積極財政に転換できなかったのか。六十二年度予算編成に当たって、臨調路線の堅持にこだわることなく建設国債の増発に踏み切っておれば、地方に対する補助率の引き下げという無理な形での公共事業増加策を講じなくても十分対応できたのであります。
 以上、反対の理由を述べてまいりましたが、公共事業を所轄する農林水産省及び運輸省からも、本二法案と同様に、六十二、六十三年度にわたって国の負担割合を引き下げることを内容とする森林法の一部を改正する等の法律案及び港湾法の一部を改正する等の法律案が提案されております。これら二法案についても、ただいま述べましたと同じ理由から反対するものであります。
 最後に、国の一方的な財政政策を強行することなく、地方の自主性を尊重し、地方の自律性を高める方向で国と地方の財政負担のあり方を見直し、地方財政の拡充強化、地方自治の発展を図り、国と地方の信頼関係を確立していくことを強く要望いたしまして、反対の討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 110815254X00819870327_026

発言者: 一井淳治

speaker_id: 24804

日付: 1987-03-27

院: 参議院

会議名: 本会議