千種秀夫の発言 (法務委員会)

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○政府委員(千種秀夫君) まず、特別養子につきまして問題が残りましたのは、近親婚の禁止という婚姻障害の問題でございます。したがいまして、これは優生上、結婚をする段階になりましたときにそういう障害がわからないというのは困る。また、戸籍制度というのはそういうことをわからせるための制度でもあるので、そこのところは最小限わかるようにしたい、そういう意味からもとの戸籍をたどれるルートというものをつくらざるを得ないということが一つございました。
 ただ、ただいま御指摘のように、戸籍の上でわからない方がいいということは一つありまして、外国の場合は戸籍という制度ではなくて、個人個人の例えば出生証明書というような証明の仕方になっておりますから、親の欄だけ直せばいいということで、我々の制度とはかなりそういう点で違った扱いができる。むしろ、養子であることを隠しやすいといいますか、見えにくいというか、そういう制度になっておるわけでございます。そういうことから、戸籍についても外国の例に倣って見えないようにしろという議論はかなりあったわけでございますが、ただいま申し上げたような婚姻障害の点が一つの問題でございました。
 それからもう一つは、養子というものを隠しておくということ自身が果たしていいことかどうかという根本の議論がございました。いずれは大人になる段階においてはわかるわけではないか。そういうことを一生隠すということが非常に難しいということと同時に、そういうことを隠すことは必ずしもよいことではないのではないか。外国のように戸籍のようなものがない場合におきましても、やはり養子というものは親が子供にある時期にちゃんと話して、自分はおまえがかわいいから養子にして育ててきたんだということを早いうちから言うのが、かえって親子関係を安定し緊密にするゆえんではないか。こういう議論がなされておるわけでございまして、それを告知というんでしょうか、テリングとよく言っておるようですけれども、そういうことが定着してきたんだ、またそういうことが好ましいんだ。そういうことから、そんなに隠すことばかり考える必要はないので、むしろ実質を告げるべきだ。
 戸籍において注意すべきことは、一見してわからないように、要するに、例えば子供がまだ養子であることを知らない段階において、戸籍謄本を学校へ持っていったら先生からおまえは養子かと言われたというように、他人からそういうことを言われて本人が驚くような状況は好ましくない。
 そういう意味で、戸籍は一見してわからないようにした方がいいけれども、本質的にはやはり親子関係においては養子であるというふうにはっきりさせた方がいい、そういうようなことがございまして、こういう状態に落ちついたわけでございます。

発言情報

speech_id: 110915206X00519870910_006

発言者: 千種秀夫

speaker_id: 18338

日付: 1987-09-10

院: 参議院

会議名: 法務委員会