法務委員会

1987-09-10 参議院 全396発言

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会議録情報#0
昭和六十二年九月十日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 九月三日
    辞任         補欠選任
     下稲葉耕吉君     松岡滿壽男君
 九月四日
    辞任         補欠選任
     松岡滿壽男君     下稲葉耕吉君
 九月九日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     神谷信之助君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         三木 忠雄君
    理 事
                鈴木 省吾君
                守住 有信君
                猪熊 重二君
                橋本  敦君
    委 員
                梶木 又三君
                下稲葉耕吉君
                土屋 義彦君
                徳永 正利君
                中西 一郎君
                長谷川 信君
                林  ゆう君
                千葉 景子君
                安永 英雄君
                神谷信之助君
                関  嘉彦君
                瀬谷 英行君
                西川  潔君
   国務大臣
       法 務 大 臣  遠藤  要君
   政府委員
       法務大臣官房長  根來 泰周君
       法務大臣官房審
       議官       稲葉 威雄君
       法務省民事局長  千種 秀夫君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       法務省入国管理
       局長       小林 俊二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   早川 義郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡 定彦君
   説明員
       法務大臣官房審
       議官       佐藤 勲平君
       法務省入国管理
       局登録課長    黒木 忠正君
       大蔵省主税局税
       制第三課長    野村 興児君
       文部省学術国際
       局国際教育文化
       課長       田原 昭之君
       文部省学術国際
       局留学生課長   雨宮  忠君
       労働省職業安定
       局民間需給調整
       事業室長     戸苅 利和君
       労働省職業安定
       局企画官     吉免 光顕君
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  本日の会議に付した案件
○民法等の一部を改正する法律案(第百八回国会
 内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
○外国人登録法の一部を改正する法律案(第百八
 回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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三木忠雄#1
○委員長(三木忠雄君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九月九日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。
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三木忠雄#2
○委員長(三木忠雄君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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千葉景子#3
○千葉景子君 それでは、前回に引き続きましてお尋ねさせていただきます。
 まず、きょうは、戸籍の処理について伺いたいと思うんですが、戸籍につきましてはひな形というんでしょうか、いただいているわけなんですけれども、戸籍の仕組みにつきまして今回の特別養子、いろいろと配慮があるようです。できるだけ身分関係が、はっきりしないというとおかしいですけれども、子供にも一定の程度はわかりにくい工夫をするというようなところもあるようですので、ちょっとその辺を御説明いただけませんでしょうか。
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千種秀夫#4
○政府委員(千種秀夫君) 特別養子の戸籍上の記載につきましては、一面におきましては、従来の議論の中で、一見養子とわかることは好ましくないという一つの要請がございます。と同時に、もう一つは、戸籍というものが身分関係を公証するものであるという戸籍制度本来の使命がございまして、そのいずれをどこまではっきりさせるかという一つの妥協的な、あるいは政策的な問題としてこの問題が議論されたわけでございます。
 そこで、養子ということが全然わからないようにすると、その一方の要請は達せられるのでございますけれども、身分関係の続き柄がわからなくなってしまう。そこで、今回特別養子の戸籍につきましては、これから御説明するような考案がなされたわけでございます。これは、法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会、いわゆる民行審といっておりますが、民行審の諮問に基づいてそうなってきたわけでございます。
 第一に、これは審判によって成立するものでございますから、審判が確定いたしますと、実親の戸籍からその特別養子の戸籍を新しく分離して、新しい子供だけの戸籍を編製いたしまして、その親の戸籍には、審判の確定によって除籍する、そういう記載をするわけでございます。その一人できました養子の戸籍、それができますと、そこから直ちに養親の戸籍に入籍をいたしまして、そのときにはもう既に審判によりまして、養親の氏によって戸籍ができておりますから、同じ氏で養親の戸籍に入る。その養親の戸籍には、やはり何月何日民法八百十七条の二による裁判確定ということを原因としていつだれだれの戸籍から入籍、こういうような記入をすることによりましてその続き柄がわかるようにするということでございます。
 ただ、ただいま申し上げましたように、養子の戸籍を見ますと、身分事項欄に民法八百十七条の二による裁判確定ということが書いてある以外は養子に関する記載は一切ございません。例えば、実父母のところは父、母と書いてございますし、子供の続き柄は長男とか次男とか、そういうふうに書いてあって、養父母とか養子という言葉は一切出ない、したがって、一見して養子であることはわからない、こういうような工夫をしたわけでございます。
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千葉景子#5
○千葉景子君 戸籍をどういう記載にするかというのはなかなか難しい問題で、大変工夫をいただいたというふうに思うんですけれども、これによりましても上の記載を読めば養子であるということはわかる、こういうことで、むしろ、そういうことが全くわからなくしてしまった方が子供のためにもいいんではないかという意見もあるようなんですが、そうしました場合の不都合が何かいろいろあるんじゃないかと思うのですね。続き柄が全然わからなくなってしまう、それでこういう工夫がなされたと思いますけれども、その辺はどういう問題点があるということが考えられますでしょうか。
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千種秀夫#6
○政府委員(千種秀夫君) まず、特別養子につきまして問題が残りましたのは、近親婚の禁止という婚姻障害の問題でございます。したがいまして、これは優生上、結婚をする段階になりましたときにそういう障害がわからないというのは困る。また、戸籍制度というのはそういうことをわからせるための制度でもあるので、そこのところは最小限わかるようにしたい、そういう意味からもとの戸籍をたどれるルートというものをつくらざるを得ないということが一つございました。
 ただ、ただいま御指摘のように、戸籍の上でわからない方がいいということは一つありまして、外国の場合は戸籍という制度ではなくて、個人個人の例えば出生証明書というような証明の仕方になっておりますから、親の欄だけ直せばいいということで、我々の制度とはかなりそういう点で違った扱いができる。むしろ、養子であることを隠しやすいといいますか、見えにくいというか、そういう制度になっておるわけでございます。そういうことから、戸籍についても外国の例に倣って見えないようにしろという議論はかなりあったわけでございますが、ただいま申し上げたような婚姻障害の点が一つの問題でございました。
 それからもう一つは、養子というものを隠しておくということ自身が果たしていいことかどうかという根本の議論がございました。いずれは大人になる段階においてはわかるわけではないか。そういうことを一生隠すということが非常に難しいということと同時に、そういうことを隠すことは必ずしもよいことではないのではないか。外国のように戸籍のようなものがない場合におきましても、やはり養子というものは親が子供にある時期にちゃんと話して、自分はおまえがかわいいから養子にして育ててきたんだということを早いうちから言うのが、かえって親子関係を安定し緊密にするゆえんではないか。こういう議論がなされておるわけでございまして、それを告知というんでしょうか、テリングとよく言っておるようですけれども、そういうことが定着してきたんだ、またそういうことが好ましいんだ。そういうことから、そんなに隠すことばかり考える必要はないので、むしろ実質を告げるべきだ。
 戸籍において注意すべきことは、一見してわからないように、要するに、例えば子供がまだ養子であることを知らない段階において、戸籍謄本を学校へ持っていったら先生からおまえは養子かと言われたというように、他人からそういうことを言われて本人が驚くような状況は好ましくない。
 そういう意味で、戸籍は一見してわからないようにした方がいいけれども、本質的にはやはり親子関係においては養子であるというふうにはっきりさせた方がいい、そういうようなことがございまして、こういう状態に落ちついたわけでございます。
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千葉景子#7
○千葉景子君 よくわかりました。
 ところで、ちょっと一つ具体例で確認をしたいんですけれども、例えば、母親の非摘出子、いわゆる未婚の母のような場合、その子供を特別養子にするというケースを考えてみた場合に、そのときはいわゆる実の父ですね、まだ認知がされていないとしますと、父は法的には父親でないということになって、いわゆる実親の同意権というものはないということになるわけでしょうか。
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千種秀夫#8
○政府委員(千種秀夫君) 仰せのとおりでございまして、特別養子につきまして親の同意という場合には、法律上の親の同意でございますから、認知していない父親は同意する親に当たらないというふうに考えております。
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千葉景子#9
○千葉景子君 同意権はない、そして逆に実父母との関係というのは断絶してしまうわけで、認知とかあるいは子供の側からの認知請求ですね、それもなくなってしまうということになるわけですね。
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千種秀夫#10
○政府委員(千種秀夫君) 仰せのとおりでございます。まあ、断絶する前から法律的関係がないわけですから、強いて言えば断絶するものがないわけなんでございますけれども、その可能性があったということでございまして、その可能性が封ぜられるということになると思います。
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千葉景子#11
○千葉景子君 非常に厳しいといいますか、そういう感じがいたすわけで、確かに法的な父親ではないわけですが、実の父親であることはそのとおりで、法的になれる可能性もなくなってしまうということで、かなりこういう面でも実際の適用の場面などでは十分な説明等がやはり必要なんじゃないかなというふうに思います。
 これは、ちょっと念のためにお聞きしたところですけれども、今回の法律によりますと、縁組についてはいろいろな端緒といいますか、児童相談所ばかりではなくて、それ以外の端緒も考えられるわけですね。そうなりますと、養子あっせん、こういうものに対する配慮といいますか、少し考えていかなければいけないんじゃないか。我が国では割とこういう問題が未発達といいますか、ヨーロッパなどとは違うようなところがありますので、あっせんに対する法的規制などはする必要がないかどうか、その辺のお考えはいかがでしょうか。
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千種秀夫#12
○政府委員(千種秀夫君) 児童福祉行政に関しましては、厚生省の方でいろいろと御検討いただいておるところでございますし、私どもから申し上げるのが適当であるかどうかは疑問でございますが、この特別養子をつくる過程におきまして関係があるということで、いろいろな打ち合わせその他連絡をとりました経緯から申しますと、もちろんそういうことに関しましては厚生省の方で特に力を入れてまたやっていただけると思っております。現に、児童福祉関係で申しますと、法のあっせんはもちろん制裁が規定してございますけれども、児童福祉相談所以外にも、そういう社会福祉法人あるいは民法法人で主務官庁の監督のもとにそういうことをする団体も現にございますし、そういうことはこれからだんだんと発展といいますか、盛んになっていくことを期待しているわけでございます。
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千葉景子#13
○千葉景子君 盛んになったりいろいろできてくるというのは私も別に問題はないと思うんですが、そうなりますと私的な、個人的なあっせんとかそういうケースも考えられないわけではないわけですね。こういうところに何か法の規制といいますか、例えばこういう組織と人材を備えていないとあっせんはやってはいけないとか、こういうことは特別今は考えていらっしゃいませんか。
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稲葉威雄#14
○政府委員(稲葉威雄君) その点は厚生省所管の法律でございます社会福祉事業法という法律がございまして、私的団体が養子縁組のあっせんの事業を行うという場合には都道府県知事に届け出をしなければならないということになっております。届け出義務が課してありまして、そして不当な行為があったときは、知事はその事業の制限または停止を命ずることができるという規定になっております。これの運用については厚生省によろしく配慮を私どもからもお願いしておりまして、この運用で十分対処できるというふうに私どもは考えております。
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千葉景子#15
○千葉景子君 はい、わかりました。
 それでは次ですが、今回、親子関係が新しく養親との間にでき、それから実親との関係では親子関係が断絶をするということなんですが、刑法との関係で尊属に関する規定などがございますが、この点についてはどういう適用になるんでしょうか。
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岡村泰孝#16
○政府委員(岡村泰孝君) 刑法上の親族関係の有無につきましては民法の定めるところによるわけであります。したがいまして、今回の改正案八百十七条の九によりますと、特別養子縁組が成立いたしますと、民法上実方の父母との親族関係が消滅するということになるわけでございます。そういたしますと、刑法上の尊属というものにもこの特別養子の実親は当たらないということになるわけてあります。
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千葉景子#17
○千葉景子君 そうすると、尊属に対する殺人とか傷害等の、今、問題はありますが条文がありますわね。そういうものほかぶらないということになるわけですね。
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岡村泰孝#18
○政府委員(岡村泰孝君) そのとおりでございます。
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千葉景子#19
○千葉景子君 いろいろとお聞きをしてきたんですが、私はこの法律自体は決して必要がないというふうには思わないんですが、養子である、あるいは子供の幸せ、福祉を考えるという観点に立っている法律だというふうに思います。しかしながら、子供の意思が全く関与できない仕組みになっている。まあ、小さいうちはよろしいかと思いますが、ある程度成長した場合、普通の養子に比べますと親の相続権も失う。かなりそこでは差が出てきますし、それから先ほどのような認知の請求権とかそういうものも失われる可能性がある。それから離縁という道もほとんど閉ざされているということで、かなり子供の意思が阻害されている。子供の幸せとは言うんですけれども、それだったらもう少し大人になった場合には配慮をしてもいいんではないだろうかという気がするんですね。これが特別養子の眼目だといえばそれまでなんですけれども、そういう面もございますし、親にとっても親子関係が断絶させられるということで、当初は問題なくても将来に向かって時期を経るに従って問題が出ないとも限らない、こういうことを含めましてこれをよく理解をし浸透させるという努力が法務省の方にも必要かと思います。
 こういう面を含めまして、最後に、大臣のこの制度に対する今後の取り組み方をお聞きしたいと思うんです。
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遠藤要#20
○国務大臣(遠藤要君) 先ほど来、先生と民事局との質疑応答を聞いていて、いろいろこの問題自体も完璧だとは申し上げかねると思います。しかし、とにかくこの制度を定着させてみて、その後にいろいろ問題点をさらに改善していかなければならぬじゃないかと。
 一つは、この問題で年齢が六歳ということに制限しております。この六歳がいいか悪いかということであり、また民事局長からお話しのとおり、審議会の方では、知らせた方がいいというのと知らせない方がいいというような二つのあれから民法八百十七条の二によって縁組を成立させる、つくるというようなことを明示しておいて果たしていいのかどうかというような点、そして、実親との離別ということを考えるとなかなか複雑な点がたくさんあると思いますけれども、しかし実際自分の子供をよそに特別に養子にやるというときには、いろいろ家庭環境、いろいろの問題から親子断絶をして、養父に自分の子供として育ててほしいという望みで縁組をさせる、そういうような点を考えると、子供の人権ということも大切であろうと思いますけれども、養父自体が自分の子供として育てたのにそれが学校教育が終わってから今度は子供の人権ということで実親との関係をどうするかというようなことになるとちょっとその点は子供として、また実親として今さらと、こういうふうな感じを持つわけでもございます。
 そういうような点、もろもろの点について衆議院の委員会でもいろいろお尋ねがございましたけれども、とにかくこの制度は児童福祉という面を重点的に置いた制度で、そして子供が、養い親の方で自分の本当の子供が生まれたからといって簡単に追い出していくというようなことをやめさせるためにはこれ以外ないというのが審議会の意向ではなかったかと、こう承知をいたしております。
 そのような状態で、今後の運用状況を見て特別養子のもろもろの点についてさらに検討していきたいと、こういうふうな考えであるということを申し上げておきたいと思います。
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千葉景子#21
○千葉景子君 どうもありがとうございました。
 それで、ちょっと時間をおかりして、つい先日、九月二日にいわゆる有責配偶者からの離婚という問題につきまして、最高裁判所の判決が出されております。それについて二、三点お伺いしておきたいというふうに思っております。
 この判決なんですけれども、大筋これまでの判決と、判例と違っているところ、そのあたりを含めて、今回の骨子といいますか、それをちょっと御説明いただけますでしょうか。
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早川義郎#22
○最高裁判所長官代理者(早川義郎君) 今回の判決のまず骨子を申し上げますが、ごく簡単に申し上げますが、有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が当事者の年齢及び同居期間と対比して相当の長期間に及び、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的、社会的、経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情がない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないとするものでございまして、従前の最高裁の判例は、原則としますと有責配偶者からの離婚請求は認められないということでしたので、今後は一定の条件のもとには認められる場合があることを判示しているもの、こういうことでございます。
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千葉景子#23
○千葉景子君 こういう判決が出まして、今後、有責配偶者からの請求も一定認めるということがこれからの家裁の調停とか審判、こういうところにも大分影響があるんではないだろうかということで、心配やら喜んでいるやら、いろいろ意見があるようですけれども、このあたりはいかがでしょうか。
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早川義郎#24
○最高裁判所長官代理者(早川義郎君) ただいまも申し上げましたように、今回の大法廷判決は一定の条件のもとにおいては有責配偶者の離婚請求が認められる場合があることを判示したものでございますが、この判例が直接適用される場面というものは離婚訴訟であろうと思いますが、離婚調停にもそれなりの影響を及ぼすものと考えております。
 ただ、家裁の離婚調停におきましては、従前から有責配偶者からの離婚の申し立てでありましても、調停委員会の事情聴取や調査官の調査によって当該婚姻関係が既に回復しがたいまでに破綻しておる、そして当事者の合意が調う限りにおいては離婚による解決の方が妥当である、そのように考えられる場合には、調停委員会といたしましてもその方向での説得を行っていた、そのかわり、相手方が離婚によってこうむる経済的な不利益であるとか、あるいは精神的な苦痛、こういったものは財産分与なり慰謝料等の離婚給付によってできる限り償っていくと、こういうふうな形で調停が行われてきたわけでございます。
 そういう意味では、今回の最高裁の判決によって家裁における調停離婚が大きく変わるかといいますと、それはないのではないかと考えております。ただ、相手方が調停の場面で離婚に応じないでいるような場合に、調停委員会といたしましてもその事件が調停不調で訴訟に移った場合に訴訟でどういう結果になるのか、そういった最終的な落ち着きぐあいについての見通しをつけながら調停をやっておりましたので、今後は離婚の方向での説得というものはある程度しやすくなるのではないかと考えております。
 ただ、有責配偶者からの調停申し立てということになりますと、申立人が夫であって相手方が妻であるという場合がどうしても多かろうと思われますが、そうなりますと経済的な弱者である妻の離婚後の生活の保障であるとか、あるいは子の監護、こういうことについては家庭裁判所としても一層の配慮が必要になってくる、かように考えております。当該夫婦の婚姻期間であるとか、年齢であるとか、あるいは当事者の経済的な資力であるとか、未成熟子の状況であるとか、あるいは双方の有責性、こういったものを勘案しつつ離婚給付や養育費の取り決めについての細心の考慮を払う、こういう形で調停が進められるのではないかと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、調停はこの判例の趣旨をよく踏まえて行われるべきでありますので、そういう意味ではこれから各種の調停委員の研修や研究会の機会にこの判例の内容を正確に知らせ、また、その趣旨というものを十分理解して行うようにいろいろと検討してまいりたい、かように考えております。
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千葉景子#25
○千葉景子君 ぜひそのようにしていただきたいというふうに思います。
 といいますのは、有責配偶者からの離婚請求を許さないというのは、そもそもが踏んだりけったり判決と言われるように、自分の方で責任をつくっておきながらかってにまた離婚をして、女性にとっては踏んだりけったりの結果に落ち込まされる、こういうことを避けるという趣旨もありまして、多分こういう有責配偶者からの離婚請求が認められないできていたかというふうに思うんです。そういう意味では、今の状況の中でも離婚後の女性の生活というのはそう楽なものではない。そういうケースが多いかと思うんですね。そういう意味ではその経済的な配慮、こういうものが何とも必要だというふうに思います。
 これは、福祉なりそういう面での問題でもあるかと思うんですが、そういう意味で、例えば、法的にこの有責配偶者からの離婚について要件、条件といいますか、そういうものをつけて明確にする。例えば、何年以上の別居ならいいとか、あるいは子供が何歳以上でなければいけないとか、いろいろ考えられますが、そういう条件をこれから法的に付していく、こういうことは御検討はなさっていらっしやいませんでしょうか。
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千種秀夫#26
○政府委員(千種秀夫君) 今、具体的にしているかということになりますと、まだそこまでしているわけではございませんけれども、諸外国の例を見ておりますと、一つには、離婚法の歴史というものはかなりいろいろな社会的要素がありまして一概に比較するわけにはまいりませんけれども、外国の最近の離婚法は、先生の御指摘のような点はかなり細かく規定をしております。そういうことは今後大いに参考にしていくべきことかと思ってはおります。
 ただ、日本の場合は、本法につきましては、一つには協議離婚というものがございまして、かなり自由に任されておりました。外国の方は協議離婚というものがないために、それをまた裁判の中へ取り入れて合意による離婚であるとか、破綻主義であるとか、有責主義であるとかいろいろな規定をしていく中で、どういうものを破綻状態というかということでいろんな条件が出てきたという経緯がございます。
 日本の場合は、そういうことで当事者の意思に任されていた部分、それから裁判所の裁量に任されていた部分がかなり広くて弾力的になっておりましたので、その実務のあるいは実際の中でそういうことが評価され、また、問題になる場合に初めて判例になってきたという経緯がございますので、そこに出てきたいろいろな問題を諸外国の例等見比べて、必要とあらばそういう関係を整理していく必要があろうと考えております。
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千葉景子#27
○千葉景子君 それから、それと同時に、離婚効果といいますか、例えば財産分与でありますとか、慰謝料でありますとか、それから子供の扶養の養育費、こういう問題も統計上などは必ずしも十分な額が払われているとまでは言えない状態だと思うんですが、このあたりにつきましても、これは実効性があるかどうかは別といたしまして、例えば、収入の半分は養育費として渡すとか、あるいは三分の一を給付をするとか、こういう形も考えられるかと思いますけれども、こういうところの法的規制あるいは整備、こういう点はいかがでしょうか。
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千種秀夫#28
○政府委員(千種秀夫君) その点もただいま申し上げたこととほぼ同じになるかと思いますが、やはり外国の立法ではそういうことを割合にきっちり書いている、これは一種国民性ということにも関係がございますけれども、そういう立法例もあるようでございます。
 今まで、私どもの日本での実務の運営というものはかなり裁判所の裁量に任されているだろうと思いますし、また私どもの家庭裁判所というものはそういうことができるような仕組みになっているという利点もあるかと思います。そういう意味でその運用をもう少し見きわめて、必要とあらばそういうことも検討はしてみたいと考えております。
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千葉景子#29
○千葉景子君 よくわかりました。
 破綻主義といいますか、有責配偶者からの離婚請求を認めるということも、一つの時代のいろいろな意識の変化、条件の変化などによるものだというふうに思います。ただ、先ほど申しましたように踏んだりけったりということがまた繰り返されるようなことがないようなぜひ配慮をしていただきたいと思います。裁判あるいは調停などは個々の判断の問題ですので一概にこうせいと言えるようなものではないかと思いますけれども、ぜひその辺の御配慮をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
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