早川義郎の発言 (法務委員会)
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○最高裁判所長官代理者(早川義郎君) ただいまも申し上げましたように、今回の大法廷判決は一定の条件のもとにおいては有責配偶者の離婚請求が認められる場合があることを判示したものでございますが、この判例が直接適用される場面というものは離婚訴訟であろうと思いますが、離婚調停にもそれなりの影響を及ぼすものと考えております。
ただ、家裁の離婚調停におきましては、従前から有責配偶者からの離婚の申し立てでありましても、調停委員会の事情聴取や調査官の調査によって当該婚姻関係が既に回復しがたいまでに破綻しておる、そして当事者の合意が調う限りにおいては離婚による解決の方が妥当である、そのように考えられる場合には、調停委員会といたしましてもその方向での説得を行っていた、そのかわり、相手方が離婚によってこうむる経済的な不利益であるとか、あるいは精神的な苦痛、こういったものは財産分与なり慰謝料等の離婚給付によってできる限り償っていくと、こういうふうな形で調停が行われてきたわけでございます。
そういう意味では、今回の最高裁の判決によって家裁における調停離婚が大きく変わるかといいますと、それはないのではないかと考えております。ただ、相手方が調停の場面で離婚に応じないでいるような場合に、調停委員会といたしましてもその事件が調停不調で訴訟に移った場合に訴訟でどういう結果になるのか、そういった最終的な落ち着きぐあいについての見通しをつけながら調停をやっておりましたので、今後は離婚の方向での説得というものはある程度しやすくなるのではないかと考えております。
ただ、有責配偶者からの調停申し立てということになりますと、申立人が夫であって相手方が妻であるという場合がどうしても多かろうと思われますが、そうなりますと経済的な弱者である妻の離婚後の生活の保障であるとか、あるいは子の監護、こういうことについては家庭裁判所としても一層の配慮が必要になってくる、かように考えております。当該夫婦の婚姻期間であるとか、年齢であるとか、あるいは当事者の経済的な資力であるとか、未成熟子の状況であるとか、あるいは双方の有責性、こういったものを勘案しつつ離婚給付や養育費の取り決めについての細心の考慮を払う、こういう形で調停が進められるのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、今後、調停はこの判例の趣旨をよく踏まえて行われるべきでありますので、そういう意味ではこれから各種の調停委員の研修や研究会の機会にこの判例の内容を正確に知らせ、また、その趣旨というものを十分理解して行うようにいろいろと検討してまいりたい、かように考えております。