嶋崎譲の発言 (本会議)

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○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました国立学校設置法一部改正案が本会議に議題として上程されたその手続が国会運営の慣行を無視した暴挙であることに抗議しつつ、反対の討論を行います。(拍手)
 本法案は、学部、学科の新増設部分は別として、今後の日本の学術研究のあり方、さらには受験地獄の元凶ともいうべき大学入試制度の改悪という重要な二つの提案を含んでおり、慎重審議を必要とするものであります。
 文教常任委員会では、法案の付託順に沿って審議を続けてまいりました。当委員会では、著作権法の一部改正案と本法案は審議入りの手続を済ませ、先議案件となっていたのであります。それにもかかわらず、最重要法案であるいわゆる教員の初任者研修にかかわる法案を文教委員会へ急遽付託し、その審議入りのため、文教委員会の理事会では、いまだ私学共済法の一部改正案、著作権法の一部改正案及び本法案が審議中なのに、付託順序を一方的に変更し、しかも、重要法案である本法案をその日のうちに採決しようという日程を押しつけてまいりました。我が党は、文部大臣による新たな臨教審関連法案の趣旨説明を後日に回して、今審議入りした本法案の質疑に入り、その後に行うようにすべきである旨の提案を行ったのであります。自民党理事は、法案審議の付託順序を変えた例が国会慣行としてもあるという点を持ち出し、慣行に反しないと主張しました。しかし、そのような場合は理事会の合意が成立した場合だけであって、我が党が重要法案としてきた反対法案の場合には皆無なのであります。つまり、少数野党の審議権を尊重する議会制民主主義に基づく委員会運営のあり方なのであります。
 しかるに、教員の初任者研修にかかわる重要法案、これを優先的に審議し、五月初旬の連休前に、慎重審議もなしに可決しようとすることを意図し、私学共済法一部改正案の議了直後に、理事会での我が党の主張に耳を傾けず、理事会を決裂させ、委員長職権で委員会を開会し、緊急動議を提出し、その不当を糾弾する騒然たる中で、臨教審関連三法案の文部大臣による説明を強行したのであります。続いて本重要法案の質疑を開始し、しかも、我が党及び日本共産党欠席のまま、わずか三時間余りで委員会での採決を断行したものであります。このような経過の中で採決された本法案は、第一には、議了の手続から見て国会史上例を見ない暴挙であること、第二には、参考人意見聴取を絶対的要件とする本法案を短時間で、しかも反対党の質疑を省略し、多数に物を言わせて採決したことなど、国民の負託にこたえたとは断じて言えないのであります。(拍手)
 以下、本法案が慎重審議を要する内容のものであること、しかも、何ら問題点解決のための質疑が行われていないことを明らかにしたいと思います。
 まず、総合研究大学院の創設に関連し、以下の五点について疑義があります。
 その第一は、現在既に幾つかの大学に総合研究科、連合大学院などの新しい形態の大学院が設置されつつありますが、学部も修士課程も持たず、しかも、大学以外のところに博士課程だけの大学院を設置することは初めての試みであるという点であります。学校教育法によれば、大学は学術の中心とされ、その本来の目的、使命から、当然大学院課程を持つことを想定しており、大学院課程を有しない大学が学術の中心としては不十分であることを明らかにしているのであります。したがって、今回の総合大学院の新設は、学校教育法上の大学及び大学院制度から逸脱し、今後の日本の学術研究体制にとって問題性をはらんでいるのであります。
 第二には、総合大学院構想は、幾つかの県にまたがる国立大学共同研究機関の基礎の上に大学院を新設しようとしているのですが、このような大学院は、果たして名実ともに教育研究機関となり得るかどうかという点であります。共同研究機関は大学と異なり、特定のテーマによるプロジェクト研究を主としており、大学院学生が一定の期間参加して研究を行うことは有益であり、そのような研究参加は現在も行われております。大学から全く独立した大学院が独自の教育機能を持ち得るかどうか極めて疑問であります。
 第三には、この大学院では、共同利用機関は大学院の母体と言われながら、法律上は「緊密な連係及び協力」の関係とされているにすぎず、具体的には共同利用機関の一部のスタッフが別個の組織である大学院に併任されるものとされている点であります。共同利用機関の教員には教育公務員特例法は完全適用されず、不利益処分に関する条項は除外されているのですが、総合大学院は国立大学であるから教特法は完全適用されるということになるのであります。したがって、共同利用機関と総合研究大学院との双方を担当する教員は、教特法上矛盾した地位となり、教育公務員特例法上初めてのケースとなるのであります。
 第四には、今回の国立大学設置法がもし成立すれば、現行法制のもとでは、個別の総合研究大学院は法律事項でなく政令で措置されることになり、どのような大学院が必要かという判断は政府の恣意にゆだねられ、学術研究者の意向が反映しないおそれがあるのであります。
 第五には、この大学院の管理運営の問題があいまいであるという点であります。学長、副学長、参与会、教授会、研究科委員会、運営審議会など多岐にわたる機関のどれがどのような役割を持つか不明であります。この大学院は茨城県、東京都、静岡県、愛知県の四カ所に分散している共同研究機関を基礎とするだけに、本来の教授会を中心とする大学における自治と研究の自由が果たして守られるのかどうか疑問とせざるを得ないのであります。(拍手)
 以上のような五つの問題点は何ら明らかにされておりません。
 次いで、大学入試センター問題についても以下の諸点が不明のままであります。
 この改組のねらいは、臨教審の第一次答申を受けて、過去九回にわたって実施してきたいわゆる国公立大の共通一次入試にかわって、私立大学をも包含する新テストを昭和六十五年度から実施することにあります。この新テストには、どれだけ私大が参加するかが焦点となってきました。この際、私学全体が慎重な姿勢をとる理由は二つあります。第一には、国公立と同じ物差しを使うことによる大学序列化の心配であります。十年前共通一次がスタートしたとき、私学側は、画一的な国家統制のおそれのある共通試験は大学本来のあり方から避けるべきだと参加を見送ってまいりました。実際には、国公立の序列化がますます進行したことを目の前にして、私大の懸念はむしろ強まっております。第二には、私学経営への影響であります。受験科目などの負担が少しでも軽い大学に流れる最近の受験生の心理から、私立大学の試験のほかに新テストを課すならば受験生は逃げてしまうおそれがあるからです。
 大学入試改革の目的は、大学入試が高校以下の受験地獄を過熱させ、人間不在の教育をはびこらせている現状を改め、受験産業の肥大化に歯どめをかけることでなければなりません。この観点に立つとき、共通一次を強行しようとした昭和五十二年十一月十六日の衆議院文教委員会決議こそが改めて生かされなければなりません。
 この決議の第一は、共通一次の実施時期の問題であります。学校教育法では、高校は三年とするとしていることにかんがみ、実施時期は第三学年のなるべく遅い時期に実施し、後期中等教育の充実に配慮すべきだとしております。新テストは、共通一次よりも早い十二月に実施し、しかも各大学がそれ以前の七月に試験科目を指定することになっております。これでは第三学年の授業計画が立たず、後期中等教育軽視も甚だしいと言わなければなりません。
 第二には、決議では、二段階選抜方式の実施は避けるべきだとしているのに、二段階選抜方式のいわゆる新テストは、共通テストと個々の大学の入試とをさらにリンクさせ、共通一次よりも二段階選抜方式となっているのであります。
 第三には、決議では、共通一次テストは後期中等教育の到達度の判定試験とし、国公私立が全部参加できることに努力すべきだとしています。新テストは、以上のようなことから私大の参加がますます危ぶまれるのであります。
 以上のような三つの問題点について、文教委員会での質疑では何ら解決の方策は明らかでありません。

発言情報

speech_id: 111205254X01919880426_005

発言者: 嶋崎譲

speaker_id: 860

日付: 1988-04-26

院: 衆議院

会議名: 本会議