緒方克陽の発言 (本会議)
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○緒方克陽君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となっております在日米軍労務費特別協定の改定議定書に対し、反対の討論を行います。(拍手)
この議定書は、昨年地位協定上の特例措置として締結された労務費の特別協定をわずか一年で改定しようというものであります。政府の無定見をはしなくも国民の前に示すとともに、この一月の竹下総理訪米の手土産として対米追随の象徴とされるなど、決して見過ごしにできぬ問題をはらんだ条約であります。
しかるに政府は、この議定書の目的が日米安保体制の一層の強化にあることをひたすら隠ぺいし、ペルシャ湾の安全航行のための支援策との関係をも否定するばかりか、米国国防費の削減の肩がわりを日本がさせられているのではないかという疑念について真正面から答えないなど、その態度は決して許されるものではありません。
また、この議定書の締結が基地従業員の雇用の安定につながると政府は繰り返し主張しておりますが、昨年六月に特別協定が発効した直後に沖縄の基地従業員の大量解雇の通告があったということについてどう説明をされるのでしょうか。雇用の安定に役立つと言うのなら、政府は責任を持ってそれを保証してもらわなければなりません。
本来、基地従業員の労務費は、地位協定上は維持的経費に含まれ、これは全額米国側が持つものと規定をされているのであります。しかるに、昨年の特別協定で、労務費二百億円を米国に提供する道筋をつけたばかりか、一年後にはまたも二百億円を提供する改定議定書を締結するに至っては、到底納得できるものではありません。
さらに、朝令暮改ともいうべきこの議定書が作成された直後、自民党のある幹部は、日本側が労務費の全額負担をするためにも、将来的には地位協定改定が必要である旨の発言を続けていることはゆゆしい限りであります。外務省首脳も、口を開けば、特別協定の有効期限が終了する一九九二年、昭和六十七年以降のことはわからないと逃げの一手であります。しかし、この一年の動きを見ただけでも、地位協定本体の改定の可能性を模索していることは明らかであると言わざるを得ません。米国国防費削減の肩がわりをさせられる地位協定の改定には断固反対をいたします。
そもそも、思いやり予算の名のもとに地位協定を勝手にねじ曲げてきた政府の責任は重大であります。この思いやり予算の支出は、当初の一九七八年には六十二億円だったものが、十年後の今年、一九八八年には一千二百三億円と、実に十九倍にも達する急増ぶりであり、海上保安庁の予算総額をも凌駕するほどであります。また、この思いやり予算の三分の二、今や八百億円にも達する施設整備費が、多くの住民の反対する池子の米軍家族住宅の建設や三宅島のNLP基地建設に充てられ、さらに、米軍の世界戦略の中から発生した有事来援研究の中核とも言われる部隊装備の事前集積、いわゆるポンカスにまでも充てようとしております。国民の犠牲の上に立ち、何でも米国の言うなりになり、御機嫌取りをするような政策に対して、我々は座視するわけにはいきません。(拍手)
来月の米ソ首脳会談を前に核軍縮の機運が盛り上がる中で、米ソ間でアフガン和平合意も達成され、東西間の緊張緩和のムードがいやが上にも高まっております。このような国際潮流の中で、日本だけがなぜ米国のために防衛分担を飛躍的にふやさなければならないのでしょうか。ジャパン・バッシングを繰り返し、米国の高飛車な交渉態度の前に、建設事業、牛肉・オレンジ輸入が押し切られていくと同様に、軍事同盟、西側の一員、安保条約の効果的運用という数々の名のもとに我が国が軍事負担を増額させられていくいつもの図式に、多くの国民は腹立たしく思っております。スペインやギリシャ、フィリピンなどで反核政策をてこに米軍の撤退を求める動きがあるというのに、広島、長崎を経験した日本が、反核の姿勢をとるどころか核搭載の疑いをただすことさえもせず、米国の言いなりになるばかりで国民の不信を募らせ、米国の高官には世界一気前のいい国だなどと言われているではありませんか。
今回の改定に至る措置は自主的判断によると説明をされますが、多くの国民は全くそうは思ってはおりません。戦後の日本を支えてきた平和外交を見失わず、本来的な自主的判断に立ち戻るよう強く要求して、私の反対討論といたします。(拍手)