板垣正の発言 (内閣委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○板垣正君 私は、先般の「なだしお」の事故を中心にしていろいろお伺いしてまいりたいと思います。
 初めに、防衛庁長官の見解をお伺いいたしたいと思います。
 去る七月二十三日、横須賀港沖において海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と大型遊漁船第一富士丸が衝突し、多数の犠牲者を出したことは、まことに痛ましい不幸な出来事でございました。
 去る九月二日には横浜地方海難審判理事所より横浜地方海難審判庁に対し審判開始の申し立てがなされ、十月三日には第一回審判が行われ、引き続いて行われる運びであります。
 一方、事件の捜査に当たってきた第三管区海上保安部と横須賀海上保安部は、九月二十九日、「なだしお」の山下前艦長と第一富士丸の近藤前船長を横浜地検に書類送検し、事件は司直の手で事故原因及び責任の究明が行われる段階に入っております。
 私は、あくまで公正な審理によって真相が明らかにされることを期待するものであります。したがって、審理中の事柄にあえて介入する意図はありませんが、事柄は海上自衛隊発足以来の不祥事と言われ、その影響するところは極めて大きなものがあります。あえて幾つかの問題点について政府の見解をただし、また要望したいと思う次第であります。
 さきに瓦前防衛庁長官は、去る八月二十四日、事件の政治的責任を負って辞任されました。就任以来熱意を持って職責を果たされ、広く信頼と期待を集めてこられた瓦長官の辞任は大変残念であります。その御心情を深くお察し申し上げる次第であります。田澤新長官の統率のもとに自衛隊が一日も早く立ち直っていただくことを心から念願するものであります。
 このたびの事件はまことに遺憾であり、再び繰り返してならないことは申すまでもありません。そのため、再発防止の対策も重要であります。しかし、事件後の経過を顧みるとき、その直後から、なお原因や責任の所在が明確でないにかかわらず、ほとんど一方的に自衛隊側に非があるとするマスコミの報道や言論が非常に多く見られたことは甚だ遺憾であります。まさに自衛隊たたき、「なだしお」たたきと言われたとおりであります。これによって長年にわたって培われてきた自衛隊に対する国民の信頼が傷つけられ、自衛隊に不信や懸念を抱き、あるいは自衛隊の士気に影響がもたらされたとすれば大変憂慮すべきことであります。
 防衛は、国家存立の基本であります。その任に直接当たるべき自衛隊は、あくまで精強でなければなりません。このたびの事件によって、有事に対処すべき訓練が消極的になったり、練度を低下させたり、安全第一主義、事なかれ主義に陥ってはならないと思うわけであります。
 これらの点につきまして、長官の基本的な見解をお伺いいたしたいと思います。

発言情報

speech_id: 111314889X00419881011_002

発言者: 板垣正

speaker_id: 15179

日付: 1988-10-11

院: 参議院

会議名: 内閣委員会