内閣委員会

1988-10-11 参議院 全277発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和六十三年十月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大城 眞順君
    理 事
                板垣  正君
                名尾 良孝君
                久保田真苗君
    委 員
                岩上 二郎君
                大浜 方栄君
                岡田  広君
                亀長 友義君
                古賀雷四郎君
                桧垣徳太郎君
                野田  哲君
                飯田 忠雄君
                峯山 昭範君
                吉川 春子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  石原慎太郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  田澤 吉郎君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       大出 峻郎君
       総務庁行政監察
       局長       山本 貞雄君
       防衛庁参事官   小野寺龍二君
       防衛庁参事官   福渡  靖君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        依田 智治君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       長谷川 宏君
       防衛庁人事局長  児玉 良雄君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  山本 雅司君
       防衛施設庁長官  池田 久克君
       防衛施設庁総務
       部長       弘法堂 忠君
       防衛施設庁施設
       部長       鈴木  杲君
       防衛施設庁建設
       部長       田原 敬造君
       外務大臣官房長  藤井 宏昭君
       外務大臣官房外
       務報道官     松田 慶文君
       外務省北米局長  有馬 龍夫君
       外務省中南米局
       長        坂本重太郎君
       外務省経済協力
       局長       松浦晃一郎君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       運輸省運輸政策
       局長       塩田 澄夫君
       海上保安庁長官  山田 隆英君
       海上保安庁次長  野尻  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       外務省アジア局
       審議官      鈴木 勝也君
       外務省経済協力
       局外務参事官   茂田  宏君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長  大澤 幸夫君
       水産庁振興部沿
       岸課長      本儀  隆君
       運輸省海上技術
       安全局首席船舶
       検査官      戸田 邦司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)
    ─────────────
この発言だけを見る →
大城眞順#1
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
板垣正#2
○板垣正君 私は、先般の「なだしお」の事故を中心にしていろいろお伺いしてまいりたいと思います。
 初めに、防衛庁長官の見解をお伺いいたしたいと思います。
 去る七月二十三日、横須賀港沖において海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と大型遊漁船第一富士丸が衝突し、多数の犠牲者を出したことは、まことに痛ましい不幸な出来事でございました。
 去る九月二日には横浜地方海難審判理事所より横浜地方海難審判庁に対し審判開始の申し立てがなされ、十月三日には第一回審判が行われ、引き続いて行われる運びであります。
 一方、事件の捜査に当たってきた第三管区海上保安部と横須賀海上保安部は、九月二十九日、「なだしお」の山下前艦長と第一富士丸の近藤前船長を横浜地検に書類送検し、事件は司直の手で事故原因及び責任の究明が行われる段階に入っております。
 私は、あくまで公正な審理によって真相が明らかにされることを期待するものであります。したがって、審理中の事柄にあえて介入する意図はありませんが、事柄は海上自衛隊発足以来の不祥事と言われ、その影響するところは極めて大きなものがあります。あえて幾つかの問題点について政府の見解をただし、また要望したいと思う次第であります。
 さきに瓦前防衛庁長官は、去る八月二十四日、事件の政治的責任を負って辞任されました。就任以来熱意を持って職責を果たされ、広く信頼と期待を集めてこられた瓦長官の辞任は大変残念であります。その御心情を深くお察し申し上げる次第であります。田澤新長官の統率のもとに自衛隊が一日も早く立ち直っていただくことを心から念願するものであります。
 このたびの事件はまことに遺憾であり、再び繰り返してならないことは申すまでもありません。そのため、再発防止の対策も重要であります。しかし、事件後の経過を顧みるとき、その直後から、なお原因や責任の所在が明確でないにかかわらず、ほとんど一方的に自衛隊側に非があるとするマスコミの報道や言論が非常に多く見られたことは甚だ遺憾であります。まさに自衛隊たたき、「なだしお」たたきと言われたとおりであります。これによって長年にわたって培われてきた自衛隊に対する国民の信頼が傷つけられ、自衛隊に不信や懸念を抱き、あるいは自衛隊の士気に影響がもたらされたとすれば大変憂慮すべきことであります。
 防衛は、国家存立の基本であります。その任に直接当たるべき自衛隊は、あくまで精強でなければなりません。このたびの事件によって、有事に対処すべき訓練が消極的になったり、練度を低下させたり、安全第一主義、事なかれ主義に陥ってはならないと思うわけであります。
 これらの点につきまして、長官の基本的な見解をお伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →
田澤吉郎#3
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいまのお話にもありましたように、潜水艦「なだしお」と第一富士丸の衝突事故は、一方の当事者である私たちとしてはまことに遺憾に考える次第でございます。できるだけ早い機会にその事故原因の究明が行われますことをこいねごう次第でございます。
 ただいまお話にありましたように、今、海難審判あるいは検察当局の捜査の段階でございます。したがいまして、正しい事実関係、そうして事故の原因が速やかにしかも公正に究明されることを私たちは期待いたしているような次第でございます。そして多くの人命を失ったこの痛ましい事故が再び起きてはならない。したがいまして、自衛隊、防衛庁といたしましても、再発防止対策を早急につくりまして、これが対策に万全を期す覚悟でございます。また、亡くなられました方々に対しましては衷心より御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対して心からなる弔意を表する次第でございます。
 また、賠償金の問題につきましては、この負担割合につきましては、これは原因調査と大きな関係がございますので別にいたしましても、賠償金の積算作業は進めてまいらなければなりません。その原則は、やはりあくまでも御遺族を第一義的に考えるという立場に立って積算作業を進めょう、こういうことで作業を進めておるわけでございまして、富士商事との間の了解を得るために何回か交渉をいたしましたが、富士商事としては支払う能力がない、また支払う責任はないということで回避されました。したがいまして、そのことに時間をかけてもいけませんものですから、このことは法的な争いを後にするといたしましても、私たちは、まずこの賠償金の積算作業を進めょうということで御遺族の方々にいろいろ資料をお願いしてございます。幸いにして御協力をいただいておりますので、できるだけ早い機会に賠償金の問題は処理してまいりたい、将来とも御遺族に温かい御援助をささげたいと、かように考えているような次第でございます。
 今御質問のありましたように、防衛庁は、御承知のように国家存立の基本をなす大きな使命を担っているものでございますので、これを果たすためには、何としても国民の理解、御援助をいただかなければなりません。したがいまして、私たちは、常に国民に信頼される自衛隊にならなければならないということを主張し、またその姿勢で今日に至っているわけでございまして、いわゆる浦賀水道のような過密な地域に対しては海上衝突予防法だとかあるいは海上交通安全法等を理解しながらできるだけ編隊を組まない形で航行を進めて、注意に注意をしながらこれまでも進めてきているところでございますけれども、今日の衝突という事実を生んだことは本当に遺憾なことでございます。
 ただ、私たちは、この報道の中で一番残念に思うのは、自衛隊は軍事優先で目の前でおぼれている者があるのに救う人情のない集団だというように報道されていることは本当に遺憾だと、こう思うのでございます。自衛隊の者も日本人であり、そして人の子であり、人の親でございます。日本人としてのいわゆる赤い血が流れているのでございます。したがいまして、おぼれている者を目の前に見てそれを救わないなどという、そういう人間性は決して持っていないということを私はあえて申し上げたいのでございます。
 いずれにしましても、私たちは、これを教訓に、一層自衛隊の任務、それから自衛隊は単によき自衛官であるとともにょき社会人であれということを隊員に申し上げて、そういう正しい道を歩むということを私は主張し国民の理解を得たい、かように考えているわけでございますので御理解をいただきたい、こう思います。
この発言だけを見る →
板垣正#4
○板垣正君 今長官も触れられましたが、人命救助の問題について申し上げたいと思います。
 「なだしお」と第一富士丸の衝突事故をめぐって「なだしお」たたき、自衛隊たたきの決定的、致命的な打撃となったのは、事故直後第一富士丸の乗組員から出たという、おぼれている人を助けもしないで見殺しにした等の一言であります。それが新聞やテレビを通じ、全国的にまさにあらしを巻き起こしました。
 以下は当時の新聞の見出しの一例であります。
  「助けて!」の叫び黙殺 「なだしお」乗組員に批判次々 「何人も沈んでいった」
  救助遅れた潜水艦に怒り 「助けて」叫んだのに 艦員何もしなかった
  腕組みして眺めるだけ 救命ボート投げ入れず 目前で二人力尽き沈む 衝突直後潜水艦上”波間の叫び”見殺し
  「十数人、見てるだけ」
  潜水艦、救助後回し「助けて…乗組員無視」
等々であります。
 また、救助が終わった後の潜水艦の艦上の乗組員の写真、これが掲載されあるいはヘリコプターで写されてテレビで放映され、あたかも船員が傍観をしておったというふうなイメージを与えたわけであります。ある外国の特派員が、これは報道ではなくドラマの手法であると指摘したと言われております。
 しかし、この報道は、自衛隊員は非人間的で冷血漢でひきょう者で無責任で、自衛隊は有害な存在であるという誤解すら国民に与える結果となり、まだ犠牲者の遺体の上がらない段階で心痛と不安に沈む遭難家族が激高したと伝えられるのも当然であります。また、事故直後から連日連夜、文字どおり不眠不休で救難捜索作業に挺身した延べ千名を超す自衛隊の潜水隊員らの必死の行動等についてはほとんど無視されたわけであります。
 この自衛隊たたきのあらしは、権威あるべき国会審議の場にも吹き荒れたわけであります。七月二十八日、衆参両院において第一富士丸事故に関する緊急の連合審査が行われました。
 衆議院側の議事録を見ると、次のような発言が記録されております。
 その一。
  沈没する第一富士丸から投げ出された乗客が必死で救助を求めているにもかかわらず、「なだしお」の乗組員がデッキでただ茫然と眺めているだけで即座に救助を行わなかったということが報道されております。(中略)被害者の家族や関係者からは、海の男として恥ずかしくないのか、なぜすぐ飛び込んで救い出してはくれなかったのか、だれのための自衛隊なのか、こういう強い怒りと自衛隊に対する不信の声が上がっていることも事実であります、救助がおくれたというよりも、手をこまねいていたというのが適切な表現であるかのような今回の状況について、その理由をお伺いしたい
 その二。
  とりわけ許しがたいのは人命軽視の問題、ここに今国民的な感情、怒りも集中していると思うのです。多くの証言もお聞きをしましたが、海中にほうり出された、そして必死に救助を求める人々に対してこれを放置する。新聞でも報道されていましたが、余り反応がないので、アメリカの潜水艦かと思ってへルプミーと声をかけたという証言も報道されています。
 その三。
  救助された人々の証言が新聞やテレビで報道されています。子供が助けてくれと言って声を限りに叫んでいる、しかし、それに手をかしてくれなかった、あるいは何とかしてくれと言っても、見ていながら何の行動もなかったというようなことも言われています。生々しい証言です。これは新聞で見たのだから、私は事実かどうかわかりません。しかし、そういう人たちが自分の生命が本当に危なくなるときに思っている気持ちというのは、私は誇張がそれほどあるとは思われない。
 その四。
  助けを求めておるのにかかわらず、十数名潜水艦の上から傍観をしておったという。一、二名何か飛び込んで助けられたようでございますが、こういった、目の前に溺者が助けを求めておるあるいは悲鳴を上げておるというのに、民間人だって見ておれば飛び込んで助けようという気になるんだ、少なくとも海上自衛隊自衛官と称される皆さんが、一般の民間人がまさにおぼれる寸前の悲鳴を上げておるのに、なぜ飛び
込んで助けるぐらいの機転をきかさないのか。今回は海上自衛隊でございますが、自衛隊の皆さんはそんな度胸のないことでよくもまあしゃあしゃあと自衛官でございますと言って、私は国民の血税をもらっておると思うのです。精神的な訓練は一体どういう訓練が日常やられておるのか、
 以上が例であります。
 以上によってもこの影響がいかに大きかったかがうかがえるわけであります。
 冷静に考えるならば、見殺しにするなどあり得べからざることであります。発言者は第一富士丸のアルバイトの女子ということですけれども、マスコミが事実の裏づけもなしに飛びついたとすればアンフェアであり、不見識のそしりを免れないと思います。
 このことについて、全く事実無根であったことが既に防衛庁側から、また一部月刊誌、週刊誌等々で明らかにされております。海に投げ出された人々は全員救助されたし、「なだしお」は潜水艦のいろんな特殊の制約下で救助に当たり、三名を救助しております。
 しかし、事柄は自衛隊の名誉と信頼にかかわる、その体質すら問われる重大問題であります。一度植えつけられた国民の疑念はなかなか消えない。
 そこで、今回この事故の調査や原因究明に当たられてきた海上保安庁の長官、この件について記者会見でも具体的に触れておられるようですけれども、率直に御見解を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
山田隆英#5
○政府委員(山田隆英君) 海上保安庁といたしましては、今回の事故直後、ただいま先生からお話ございましたような海上自衛隊の救助の状況についていろいろ新聞紙上等で批判がございましたので、それらの事実について捜査を行ったわけでございます。
 まず、船員法十三条では、船長は人命の救助義務があるわけでございまして、その義務に違反しているんではないかということが再々言われまして、その点につきましてまず捜査を行ったところでございます。
 捜査の結果によりますと、「なだしお」艦長は衝突直後溺者救助部署を発動いたしまして、ゴムボートを降下し、また泳者を派遣するなどいたしまして、同鑑付近を漂流中の遭難者三名を救助しておりまして、当時の状況に応じまして人命救助を行ったものというふうに承知をしているわけでございます。
 それからさらに、新聞報道で非常に大きな影響を与えましたのが、今申し述べられましたような溺者――溺者というか、おぼれる者を目の前にして海上自衛隊は何もしなかったんではないかというような報道がなされたわけでございまして、これにつきましても私どもとしては関係者からの事情聴取等を行ったわけでございます。
 その結果によりますと、第一富士丸の女性乗組員が報道関係者に発言をいたしましたのは七月二十五日の夕方、自衛隊の横須賀病院での記者会見時のみとのことでございます。そのときの発言ぶりと、それから報道関係の事実関係について本人に確認いたしましたところ、潜水艦と私との間の距離は十メートルほどであった。と言いますのは、衝突直後のことでございまして、海に投げ出され海面に出た際に見たときの距離で、その後、潜水艦に向かって助けてくれと叫びましたのはそれから三十秒もたってからということでございます。また叫んだ回数も、当時は興奮しておりましたのではっきり覚えていないということでございました。
 投げ出されてから三十秒ぐらいたちますと、そのころ「なだしお」は機関を後進としておりましたので、衝突直後から足しますとその間に相当距離が離れているということになりまして、「なだしお」側が女性乗組員の声や姿を確認することは困難であったというふうに考えられるところでございます。
 また、何人もの人が助けてくれと言いながら海の中に沈んでいったという証言がございますが、これにつきましては、衝突後海面に浮いている人が二、三人海中に沈んでいったのを見たと言ったことを報道されたものと思われるわけでございます。それに対しまして、当女性乗組員が言っておりますのは、今思えば漂流者の人の頭が波間に入ったり出たりしていたものを、当時は事故後日が浅かったので、また興奮していて、次々に沈んでいったように感じて言ったもので、私の言ったことは間違っていたと思う旨を述べておりまして、当時本人が興奮しておりましたための誤解によることであったことが判明したわけでございます。
 このように、目の前でおぼれている者がいるのに自衛隊側が何ら救助をしなかったというような報道は事実ではなかったというふうに承知しております。
この発言だけを見る →
板垣正#6
○板垣正君 では次の問題にいきます。
 関連して、西廣防衛事務次官並びに東山海幕長の発言について伺います。
 不幸な突発的事故の直後、なお救難作業や捜査が続けられ、情報も混乱しがちな状況下であったと思いますが、七月二十五日の記者会見において西廣防衛事務次官が次のごとく述べたと報道されました。
  いざというとき命をかけて国民の命と財産を守るのが自衛隊だ。救命胴衣をつけて飛び込むぐらいの気概が欲しかった気がする。
 この発言は、前後の経緯抜きで報道されたと思いますけれども、事務次官が救難活動が不十分だった潜水艦の手落ちを認めたとして大きく報道され、また各方面で論議を招いたことは周知のとおりであります。
 また、東山海上幕僚長が事故直後の七月二十四日防衛庁で記者会見し、「なだしお」と第一富士丸の衝突事故について、「なだしお」鑑長、副長、哨戒長の報告に基づき状況を説明し、
  艦長は、規則にのっとってなし得る範囲で最善の努力をしたと思う。
と述べたと言われます。
 この発言は、一部マスコミから海幕長居直りとして攻撃を浴び、遺族の感情を逆なでするものと非難され、国会でも内局と制服の言うことが食い違っておるとかシビリアンコントロールのもとで不穏当である、そういう批判を浴びた経緯があります。
 まず、発言の事実関係について防衛庁の説明を承りたいと思います。
この発言だけを見る →
日吉章#7
○政府委員(日吉章君) 発言の事実関係でございますが、正確な議事録等はここに持ち合わせておりませんけれども、委員がただいま御指摘いただきましたような内容の発言を防衛事務次官及び海幕長がいたしたことは事実でございます。
この発言だけを見る →
板垣正#8
○板垣正君 私は、ここで特に自衛隊の統率ということについて申し上げたいと思います。
 防衛庁長官を中心とし内局と各幕僚監部が真に一体の体制にあることが肝要であることは申すまでもありません。同時に、防衛庁、自衛隊の特質上さらに重要なのは、三十万の自衛隊員に対しかたい信頼関係に立った統率の確立であります。国の平和と安全を守るため、有事に際しては危険を顧みず任務を果たすべき自衛隊にとって、統率の確立こそ命であります。
 したがって、最高幹部の言動は常にそのことに留意しなければならない。特に今回のごとき異常事態における発言は、影響も大きく極めて重要であります。その点、苦しい立場に立たされたことは理解されますけれども、防衛次官の発言は、いささか軽率であり、誤解を与えるものであったと言わざるを得ない。同時に、海幕長の発言は、立場上当然であり、統率の本旨を貫いたものとして私は高く評価するものであります。
 もとよりシビリアンコントロールの確立は重視しなければなりません。しかし、シビリアンコントロールは、政治に対する信頼こそが根幹にあると思います。それはまさに政治の責任であります。アメリカの国軍は、困難なときには必ず大統領が来てくれるという絶対的な信頼関係があると言われます。
 以上の点について長官の御所見があればお伺い
したいと思います。
この発言だけを見る →
日吉章#9
○政府委員(日吉章君) 大臣がお答えになられます前に、事実関係について補足をさしていただきたいと思います。
 西廣防衛事務次官及び東山海幕長の発言は、委員ただいま御指摘のように、事故直後の混乱した状態におきまして報道関係者からの求めに応じて答弁をいたしたものでございまして、そのうちの一部分がそれぞれ報道されたというのが事実でございます。それから、海幕長につきましては、ただいま委員も御指摘のように、事故原因につきましての意見を求められまして、部下であります艦長等の報告に基づきましてその報告の事実関係を海幕長が申し述べたものでございます。
 ところが、防衛事務次官につきましては、救助の活動状況につきまして感想を求められたわけでございまして、当時はまだ事故直後の混乱状態にございましたので、防衛事務次官には何名救助したという報告はいたしておりましたが、どのようなやり方で救助したかということまで報告をいたしておりませんでした。したがいまして、関係者の方から自衛官は何もしなかったというような前提のもとでいろいろと質問をされたものでございますから、防衛事務次官は、一般論、個人的な見解といたしまして、自衛隊というものは、今先生おっしゃられましたように、いざというときに身命を賭して国民、国家、国土を守るのが任務でありますから、そういった飛び込んでくれるということがあらまほしきものと思っておりますということでございまして、次官は、ここは非常に慎重に、飛び込まなかったということではなくして、一般論としてそういう場合には飛び込んでくれるということがあらまほしきものだと思いますと。さらに最後に、これは私の個人的な感じですとまで述べております。
 その後、これが報道されましていろいろな反響を呼びました関係上、次官は再度記者会見をいたしまして、救助の事実関係を知ったが、その結果我が自衛隊も飛び込んで二名を救助しているという事実がわかった、士道いまだ衰えずという感を持っておりますとその後の記者会見で述べております。
 したがいまして、内幕不一致とかそういうふうな観点は全くございませんで、それぞれの場所、それぞれの状況に応じまして、それぞれの責任者がそれぞれの事実関係あるいはそれぞれの考えを述べたものと理解いたしております。
この発言だけを見る →
田澤吉郎#10
○国務大臣(田澤吉郎君) 今事実関係を防衛局長から説明さしたのでございますが、先ほど来お話がありますように、防衛庁は国の独立、平和、そして国の安全を確保するという国家存立の大きな役割を果たしているものでございます。したがいまして、これを果たすためには、防衛庁長官は自衛隊員三十万の先頭に立ってこの責任を果たすという使命を与えられているので、何としてもそういう形で意思の統一を図っていかなければならない、こう思うのでございます。
 私は、ちょうど文藝春秋で山下艦長の「全告白」というのを読みましたら、あの中で「なだしお」潜水艦の隊員の方々が、私たちは精いっぱいやったんだ、しかし随分怠った作業をしているという批判を聞きまして涙を流した連中が非常に多かった、それで艦長がそのうちわかるよという発言よりできなかったという記事を読みまして、こういう隊員の考え方というものを私たちが表現してやらなければならない。一隊員の考え方、一隊員の苦労というものをそれぞれ理解し合って自衛隊全体、防衛庁全体が進むことが将来有事の折に役に立つ自衛隊になるものと思いますので、そういう意味では、今防衛局長から御説明があったように、いろんな前後の関係で誤解を招くようにも思われますけれども、常に防衛庁は一貫した考え方で進めておりますので、その点御理解いただきたい、こう思うのでございます。
この発言だけを見る →
板垣正#11
○板垣正君 御心情はよく理解できました。
 次に、マスコミの報道姿勢と当局の対応について申し上げたいと思います。
 このたびの事件に対する一部マスコミの報道姿勢について、さきに挙げた見殺し発言の取り上げ方を初め、そのすべてとは言えないにせよ、余りにも一方的な自衛隊たたき、「なだしお」たたきに偏したのではないか、ミスリードがあったのではないか。記事の中には、「なだしお」艦長が虚偽の発言をした、「なだしお」艦長の発言は虚偽と断定というふうな、そういう記事もございました。また、報道記事にとどまらず、社説とか論説にまで断定的な論評がしばしば見られた。テレビのニュース報道についても同じであります。
 もとより言論は自由であり、報道、言論の自由は民主主義社会の命でありましょう。しかし、第四権力と言われるほどそれだけ大きな影響力のある報道の姿勢において、もっと良識と節度が必要とされるのではないか。率直な感想であります。
 関連して、当局の対応についても疑問を覚えます。
 特に、調査に当たった海上保安庁筋は、しばしば潜水艦側にこの事案についてより重大な責任があると予断を与えるような海上保安庁筋の情報あるいはその筋の相当確度の高い意向というような形で報道された事実があったと思います。
 そういう点についてお尋ねいたしたい。
 ここで想起されるのは昭和四十六年の雫石事故のことであります。四十六年七月三十日、岩手県雫石町上空におきまして全日空B727と自衛隊F86Fの空中接触によりまして百六十二名のとうとい犠牲を出した大惨事がございました。当時マスコミは、自衛隊の飛行機が全日空の旅客機を爆撃機に仕立てて訓練をしていたというふうな、まさに自衛隊攻撃の大合唱が行われたことはなお記憶にあります。しかし、その後、裁判の過程を経て、むしろ旧式で速度の遅い自衛隊の飛行機に速度の速い旅客機が後ろから行って追突したという事実が明らかにされたわけであります。しかし、こうした報道によって裁判そのものが影響されなかったかどうか。こういう懸念に立って、この問題について海上保安庁長官の御見解を承りたい。
この発言だけを見る →
山田隆英#12
○政府委員(山田隆英君) 私どもは、今回の事故に関連いたしましては何よりも厳正公正に捜査を進めるという方針のもとに行ってきたわけでございます。
 マスコミの報道に関連いたしまして、「なだしお」側の責任が重いのではないかというような報道がたびたびなされたわけでございますが、海上保安庁といたしましては、捜査の途中の段階で、どちらが責任が重い、どういう原因によるんだというような捜査の結果に予断を与えるようなそういう発表というものは一切いたしておりません。
 推測いたしまするに、このような報道がなされたにつきましては、報道関係者が個々に捜査の関係者等に接触して取材をする、これは何としてもとめるわけにはいきません。また、そういう段階で個々の取材を通じて報道側がそれをどういう解釈をされたか、それは私どもの承知していないところでございまして、それに基づく報道がなされたというふうに考えておりますわけで、私どもとしては、決して予断を与えるようなそういう発表ないしはそういう事実関係の情報を漏らすというようなことはしておりませんので、それは御了解願いたいと存じます。
この発言だけを見る →
石原慎太郎#13
○国務大臣(石原慎太郎君) なお補足させていただきますが、板垣委員御指摘のように、確かに捜査の最中に保安庁筋ということでたびたび記事が出ました。私、長官を通じて現場にそういうことがないように強く要請いたしましたが、実態は今長官が説明申し上げたとおりでございます。
 しかし、背後に非常に過剰なセンセーショナリズムを背負った、これは記者それぞれの個性、見識の違いによると思いますけれども、つまり予断あるいは想定に基づいて質問をされる、これを肯定も否定もしなければ沈黙すなわちそれはイエスという解釈で記事になるという、そういう行き過ぎというものはあったと私は思います。また、それが今日のジャーナリズムのまた一つの大きな問題であると改めて認識しております。
この発言だけを見る →
板垣正#14
○板垣正君 次は、第一富士丸に関する問題点についてお伺いしたいと思います。
 このたびの事故は衝突という不幸が始まりではございますけれども、ほとんどあっという間にあの第一富士丸が沈没をしてしまった。しかも、乗客がほとんど逃れるすべもなく、三十名亡くなったうち二十八名はまさにあの船と運命をともにしたわけです。私は、今度の悲惨な事故の最も重大な本質はここにあると信ずる次第であります。
 問題は、この船の構造上の問題が、これは国会の審議の中でも安全基準には合っていたんだというふうな答弁はなされていますけれども、果たしてそういうことで本当に納得できるかどうか。この船の改造の経緯とかいろいろあるようでございますが、運輸大臣、この問題は重大な問題だと思いますけれども、構造上の問題についてどういうふうに今お考えでしょうか。
この発言だけを見る →
戸田邦司#15
○説明員(戸田邦司君) お答えいたします。
 まず、先生からお話ございました第一富士丸の建造経緯について簡単に触れたいと思いますが、本船は昭和四十五年の四月に漁船として建造されております。それを昭和五十八年十二月に遊漁船に改造いたしまして、その時点で行われました定期検査におきまして船舶安全法上旅客船として構造、復原性、諸設備基準に合致していることが確認されておりまして、その後毎年の定期検査が行われまして、最後の定期検査は昨年の十二月に行われておりまして、これに合格しております。
 急激に沈んだという点につきましては幾つかの問題があろうかと思いますが、今回の事故は潜水艦という特殊な形状のものに乗り上げるという極めてまれな事故でありまして、前後方向の船の沈みぐあいでありますトリムの状態などが特に問題となっているとは考えられないのじゃないかと思っておりますが、なお現在海難審判庁におきまして審理が進められておりますので、その結果によりまして必要があるということでありましたらそれらの点についてさらにどういう対応をしなければならないかということを検討してまいりたいと思っております。
この発言だけを見る →
板垣正#16
○板垣正君 この問題についてはさらに掘り下げて十分検討していただきたいし、またそれは国民の大きな疑問であろうと思います。
 さらに、営業の認可等の問題であります。
 営業の監督の指導は一体どうなっていたのか。この船が、富士商事なり持ち主が転々とかわる、あるいはこの営業についても一匹オオカミ的な営業体制にあった、こうしたものに対する指導監督、そういう面において果たして手落ちがなかったのか、当局から伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
本儀隆#17
○説明員(本儀隆君) お答え申し上げます。
 遊漁船の営業に関しまして、登録制度であるとか許可制度あるいは届け出制度、そうした業としての規制というものはございませんので、私どもとしてもその実態の把握等をしかねておるということでございます。
この発言だけを見る →
板垣正#18
○板垣正君 その問題はまた後から触れます。
 さらに、航海中の態勢ですね。
 衝突の問題等は現在いろいろお調べ中でございますけれども、どうも航海中の態勢、例えば救命胴衣なり救命設備あるいはそうしたものの装備、あるいは旅客に対する趣旨の徹底、定員過剰でしかもこの救命ボートも実際何の役にも立たなかった。あれで救われたのは船長と機関長、もう一人ですね。乗客はことごとく海に投げ出されるか、船とともに運命をともにする。こういう面におきまして、この態勢というものにも非常な問題がある。
 あるいは、衝突の問題についても、これはまさに焦点の問題でございましょうけれども、今まで我々の察知し得た範囲では、とにかくエンジンをとめておらなかったのではないか。ぶつかる瞬間までエンジンはとめていないがゆえに七ノットの速度でほとんど停止状態にあった潜水艦にぶつかった。まさに山に登るような格好で上って、それがまた後ろのハッチがあけっ放しになっていた、そういうことで沈んだ。このかじを左に切ったという問題がまさに焦点。我々は素人でございますけれども、やはり専門家の話を聞きますと、いわゆる保持船が左にかじを切るなどというのはもう九割九分九厘危ないことなんだ、あり得ないことだというふうなことも実際聞く次第でございます。こういう点についても今後さらに明らかにしていただきたい。
 その辺の第一富士丸の問題について、我々が抱き多くの国民が抱いている疑問というようなものが今までどうも余り触れられておらないんではないか。そういう点で、あの船がしかも構造上の問題に大きな疑問を持ちながらいともあっさり解体されてしまった。これはどういう理由なのか、重大な証拠物件ではないのか。それをいとも簡単に解体してしまったという点にも非常に割り切れない思いをするわけですが、その経緯はどうなんでしょうか。
この発言だけを見る →
藤井一夫#19
○政府委員(藤井一夫君) 第一富士丸につきましては、御案内のように、長浦港の沖の船台の上にしばらくの期間係留されておったわけでございますが、この点につきまして、八月の初めに政府事故対策本部において各省庁これ以上係留する必要があるかどうかということを議論していただきました。その結果、捜査上も必要がないということに相なりましたものですから、所有者でございます富士商事に対しまして国としては係留の必要がなくなったということを通告いたしました。
 その後相当の時日を経過したわけでございますが、富士商事といたしましては、これ以上係留しておいても費用がかさむばかりであるということでスクラップ業者と契約をいたしまして解体をした、このような経緯であると承知しております。
この発言だけを見る →
板垣正#20
○板垣正君 この問題は保留します。
 次に、運輸大臣に伺いますが、事故後、政府には第一富士丸事故対策本部が運輸大臣を本部長として発足しました。そして、早速船舶航行の安全に対する当面の対策が発表された、また措置されたわけであります。一方、防衛庁においても、八月二十四日に艦船等の事故再発防止対策等について発表され、措置されつつあるわけであります。
 そうであるならば、当然運輸省の方もこの第一富士丸事故対策本部として民間の船を含めた対策を御検討中であろうと思うし、発表の時期はもう既に過ぎているんじゃないかぐらいに思いますけれども、その点大臣にお伺いします。
この発言だけを見る →
石原慎太郎#21
○国務大臣(石原慎太郎君) 今後こうした事故を再発させないための対策につきましては、現在関係各省庁において調整中でございまして、ごく最近のうちに対策本部として成案を得て発表をするつもりでございます。
 概略について申し上げますと、何といいましてもこの二つの海上交通安全法と海上衝突予防法は、万国共通の非常によくできた、またある意味で単純な法律でございまして、これを遵守すればこうした事故は起こらないわけでございますから、これを徹底的に遵守するための指導教育をこれからもさらに行う。
 それから、事故の起こりました東京湾は非常に交通量の多い水域でございますが、これを管理しております海上交通センターの機能の充実など、ふくそう水域での安全航行の支援の強化を図りたいと思っております。
 また、事故の起こりましたこの水道は、御存じのように第一、第二、第三海堡という非常識な障害物が人工的に置かれているわけでございまして、これが撤去されれば水路は今の倍近くなる。まあ漁業権の問題その他あるようでありますけれども、何といっても人命に関することでございまして、さらに大きな事故が起これば東京湾全体が壊滅する可能性もなきにしもあらずでありますから、こういったものの撤去など、船舶航行環境の整備をいたします。
 また、遊漁船に関して、旅客脱出のための出入口の改善あるいは船舶間及び船舶、陸上間の連絡の方法の拡充充実について検討中でございますが、繰り返して申しますけれども、最近日中に基本的な対策について発表するつもりでございます。
この発言だけを見る →
板垣正#22
○板垣正君 ぜひ御検討の上お示しをいただきたいと思います。
 次に、今の問題に関連しますけれども、レジャー船の規制の問題について当局の見解を伺いた
い。
 海上保安白書が出されたということで、私まだ拝見しておりません、新聞報道を見た程度でございますけれども、海上保安庁が二十三年に発足して四十周年ということで、今回初めて「海洋レジャー時代への対応」ということでいろいろ白書に載せておられるということが報道されております。海洋レジャーがどんどん発達し多様化し、同時に海難救助の対象として昨年一年間でも四百九十七隻、全体の一八%を占め、二十六名の死者を出しているというようなこと、さらにこの安全確保について安全指導の徹底、小型船安全協会など関係団体の充実とか、いろいろな対策についても載せられているようでございます。これはまさに時宜を得たことであろうと思います。
 同時に、レジャーの位置づけであります。私は、あくまでレジャーはレジャーではないのか、レジャーを楽しんでいる船と仕事をしている船、これはやはり別でございましょう。だから、レジャーを楽しんでいる船は仕事をしている船には迷惑をかけない。シーマンシップということがこの間の緊急対策にも改めて言われる。石原運輸大臣はこういう海洋面においても非常に明るい詳しい方ですけれども、私は、そうした意味のマナー、相手が心配するような航路には近づかない、いわゆる船と船が見合いの関係になればまさに法律によってこれは対等の権利を持つ、見合いに入った場合も法律に従って行動するというのは常識でしょう。しかし、見合いに入る前に、軍艦に限らず公共的な仕事に従事している船を避けるというふうな、言ってみればこれは海上だけには限らない、陸上においても社会公共的なマナーであり、ある意味における思いやりの心である。そういうことで、このレジャーのあり方についてはそういうマナーの徹底ということ、あるいは規制、海域を指定するとか、要するに、今お話しのとおり大変込み合った海域でございます。そういうところで例えば相模湾はクルーザーのような大きな船の基地にするとか、ヨットについても水域を定めるとかそういう規制をし、かつやはりマナーということについてもっと徹底していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、運輸大臣、専門家のお立場でいかがですか。
この発言だけを見る →
石原慎太郎#23
○国務大臣(石原慎太郎君) いささかお言葉を返すようになるかもしれませんが、海というのは仕事の場でもあり、またレジャーの場でもございます。レジャーというのは、遊びかもしれませんけれども、働く人間にとっていろいろな意味で自分をリフレッシュする大事な方法でありまして、どちらがどちらにまさるということは私は決してないと思います。
 ただ、私たちヨット協会も、あそこは交通の非常にふくそうしたところなので、かつては東京湾をフィニッシュラインにするような国際レースも組んでおりましたが、これは自粛いたしました。しかし、幾つかのマリーナが東京湾にございますから、これは、やはり自衛艦を含めて、仕事のための船であろうと遊びの船であろうと、互いに海上交通のルールを守ればよろしいことであります。
 ちなみに、私たち相模湾でレースをしておりまして、あるとき葉山の港からスタートしまして三崎の口にかかりましたら自衛艦が隊を連ねてやってまいりました。私の船はたまたま先頭を走っておりまして、非常に操作のしにくい帆を張っておりましたら、ちゃんと自衛艦はルールを守って旗艦が私たちと見合いの関係になったときに転進をしてくれました。二番艇がまた二番艦と接触するようになったら二番艦も回避してくれました。気の毒なことでありますけれども、堂々たる陣容がそこで乱れまして、昔なら帰ってきたら憲兵に引っ張っていかれてぶち込まれるかもしらぬと苦笑いしたんですが、私は、そのときに、海でレジャーをする、小さな船に帆を張って走っている私たちのシーマンシップを自衛艦が評価し敬意を表してくれたんだろうということで答礼の旗を上げて過ぎましたが、そういう関係が十分あり得るわけでありますから、自粛ということも結構でありますけれども、基本的に私はレジャー船であろうと実用船であろうと仕事船であろうと対等な関係にあると思いますし、またそれを認めなければ運輸省の大きな行政の眼目でありますこれからの海洋レジャーの開発もおぼつかないわけでありまして、繰り返して申しますけれども、この二つの海上交通法は極めて単純なわかりやすい法律でありますから、どんな立場にある人間であろうとこれをしっかり守るということがもう眼目でありまして、それが守られれば海洋レジャーも海上における仕事もともに栄え得ると私は思います。
この発言だけを見る →
板垣正#24
○板垣正君 まあ御見解として承っておきます。
 官房長官にもおいでいただきましたので、私は、自衛艦の位置づけということについて、基本的な点について承りたい。
 一九八五年に我が国も加盟しました公海に関する条約、これによりまして、自衛隊の船は国際法上は軍艦としての地位を認められ、自衛艦の国際法上の性格に関する長官指示も出されておる。外国におきましては、自衛艦はまさに軍艦として不可侵権を持ち、治外法権を持ち、自衛隊員は海軍軍人として遇せられると思います。
 今運輸大臣もお話しございましたが、海上衝突予防法あるいは船員法、これらにおきましても、いわゆる船舶の定義というものが定められております。水上輸送の用に供する船舟類という定義がなされているようでございますが、果たしてこれが自衛艦なりあるいは特に潜水艦等がそのまま該当するのかどうか。あるいは、船員法において船長の義務が明記されておる。この船長の義務というのに自衛隊の艦長の義務は一体準用されているのかいないのか。船長の任務は、積み荷もしくは乗客の安全を図ること、まさにそうでございましょう。艦長は戦闘機能の維持、まさに自衛隊の艦艇は戦闘機能の維持こそが最大の艦長のまた務めでございましょう。
 そういうふうに考えますときに、公海に関する条約を認めながらこれに見合う国内立法的な措置がとられておらない。これは、日本以外の外国におきましては一般商船と軍艦との間の権利義務の区別をしていないところはないと専門家が言っております。こうした問題について、やはり重大な検討課題として政府においても検討される必要があるんではなかろうか。
 この点について官房長官の見解を伺います。
この発言だけを見る →
小渕恵三#25
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国といたしましては、当然のことながら法治国家でございまして、現行法の中で対処しておるわけでございますが、ただ先生御指摘のように諸外国におきましては、いわゆる軍艦と民間船との間には法的にも明確な差異があって法律が定められているという御指摘でございます。
 我が国におきましては、現在施行しておりまする法律によりましてともどもに国民のための任務を遂行しておるという立場でございますので、現時点においては現行法によって事を処することが当然だろうと思いますが、さりながら、日本を除く他の国々においてさような立法がなされておるということについてはやはり勉強をしておいてもよろしいのではないかと、このように考えております。
この発言だけを見る →
山田隆英#26
○政府委員(山田隆英君) ちょっとただいまの軍艦の通航優先権について事実関係を補足させていただきたいと思うんですが、私ども今回の事故にかんがみまして国際的に軍艦というものがどういう位置づけにあるかということを調べてみたわけでございますが、少なくとも交通ルールに関しましては、国際的に見ましてもまた歴史的に見ましても、軍艦が単艦で他船に対して通航優先権を持つというルールは存在いたさないわけでございます。
 また、地域的に限定した形でのルールも存在していないというふうに承知をいたしております。
この発言だけを見る →
板垣正#27
○板垣正君 その程度私も勉強しましたけれども、なおかつ、例えば緊急事態における海上自衛隊の港湾出入の優先権、こうしたものは平時においても準備されなければならない、検討されなければならない問題であります。
 最後に、やはり根底にありますのは、自衛隊の位置づけが不明確である。今なおかつ、いわゆる戦力なき軍隊、戦力なき存在、軍人でもない、軍艦でもない、あいまいであります。そしてまた、自衛隊に対する名誉の扱いにおいて、処遇において私は決して十分なものではないと思っています。こうした位置づけの中で自衛隊の皆さん方がまさに使命感をかき立てて黙々と努力を重ねておられるわけであります。
 承りますと、現在までの自衛隊の殉職者、まさに国を守るための公務に殉ぜられたわけでありますが、千五百二十名の方が自衛隊発足以来殉職しておられる。一体これらに対する霊の弔いということを、どれだけ国として、またお互いが関心を持っているであろうか。まさに自衛隊の内輪の中で、防衛庁の関係の中だけでささやかな慰霊祭が毎年行われているということは聞いております。あるいは、災害救援につきましても実に四百十七万一千五百二十三名が、これは伊勢湾台風等の例もございますけれども現在まで一万九千二百二十八件の災害救援に自衛隊の方が出られた。過般の日航機の災害の際のあの涙ぐましい救援作業にはまさに感銘を受けたわけでございます。こうして黙々と努力を重ねている自衛隊、しかし事あらば今度のようにまさに袋だたきに遭って弁明も許されないというふうな、さっき長官言われたように、潜水艦のあの船乗りの人たちは皆自衛隊では最も優秀な選ばれた人たちである、しかも極めて恵まれない環境の中で厳しい訓練に何カ月も耐えておるこういう人たちに、自分たちが一生懸命やっても一方的に悪者にされたんではたまらない、こんな思いをさせておいていいんでしょうか。
 その根底にはやはり自衛隊の位置づけの問題がある。自衛権行使の唯一の存在たる自衛隊にはそれにふさわしい憲法の解釈を確立して、国民の合意を形成しながら自衛隊のあり方についてもより抜本的に確立を図っていくことが国家としての基本であろう、私はこのように信じております。
 このことについて官房長官の御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
この発言だけを見る →
小渕恵三#28
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法九条は独立国として我が国が自衛権を持つことを認めておりまして、したがって自衛隊のような自衛のための任務を有しかつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に反するものでない、このように従来から国会でも表明いたしてきたところでございます。
 そこで、先生御指摘の自衛官の社会的地位の問題等でございますが、これはまことに重要な問題でありますが、やはり防衛問題につきましては、国民的理解を深め、自衛隊と社会と極めて幅広いかかわり合いの中で考慮せられる問題であり、歴史的、社会的条件が異なる諸外国の軍人等と一概に比較することは困難であると思われます。
 いずれにせよ、我が国防衛という目的を全うするために国民の自衛隊に対する幅広い理解と支持が不可欠であるとともに、これを基盤として真に精強な自衛隊を維持育成することが何よりも重要なことと認識しており、御指摘のような点も十分踏まえながら今後ともこの観点に立ってより一層の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
この発言だけを見る →
板垣正#29
○板垣正君 終わります。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
← 戻る