田澤吉郎の発言 (内閣委員会)

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○国務大臣(田澤吉郎君) ただいまのお話にもありましたように、潜水艦「なだしお」と第一富士丸の衝突事故は、一方の当事者である私たちとしてはまことに遺憾に考える次第でございます。できるだけ早い機会にその事故原因の究明が行われますことをこいねごう次第でございます。
 ただいまお話にありましたように、今、海難審判あるいは検察当局の捜査の段階でございます。したがいまして、正しい事実関係、そうして事故の原因が速やかにしかも公正に究明されることを私たちは期待いたしているような次第でございます。そして多くの人命を失ったこの痛ましい事故が再び起きてはならない。したがいまして、自衛隊、防衛庁といたしましても、再発防止対策を早急につくりまして、これが対策に万全を期す覚悟でございます。また、亡くなられました方々に対しましては衷心より御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対して心からなる弔意を表する次第でございます。
 また、賠償金の問題につきましては、この負担割合につきましては、これは原因調査と大きな関係がございますので別にいたしましても、賠償金の積算作業は進めてまいらなければなりません。その原則は、やはりあくまでも御遺族を第一義的に考えるという立場に立って積算作業を進めょう、こういうことで作業を進めておるわけでございまして、富士商事との間の了解を得るために何回か交渉をいたしましたが、富士商事としては支払う能力がない、また支払う責任はないということで回避されました。したがいまして、そのことに時間をかけてもいけませんものですから、このことは法的な争いを後にするといたしましても、私たちは、まずこの賠償金の積算作業を進めょうということで御遺族の方々にいろいろ資料をお願いしてございます。幸いにして御協力をいただいておりますので、できるだけ早い機会に賠償金の問題は処理してまいりたい、将来とも御遺族に温かい御援助をささげたいと、かように考えているような次第でございます。
 今御質問のありましたように、防衛庁は、御承知のように国家存立の基本をなす大きな使命を担っているものでございますので、これを果たすためには、何としても国民の理解、御援助をいただかなければなりません。したがいまして、私たちは、常に国民に信頼される自衛隊にならなければならないということを主張し、またその姿勢で今日に至っているわけでございまして、いわゆる浦賀水道のような過密な地域に対しては海上衝突予防法だとかあるいは海上交通安全法等を理解しながらできるだけ編隊を組まない形で航行を進めて、注意に注意をしながらこれまでも進めてきているところでございますけれども、今日の衝突という事実を生んだことは本当に遺憾なことでございます。
 ただ、私たちは、この報道の中で一番残念に思うのは、自衛隊は軍事優先で目の前でおぼれている者があるのに救う人情のない集団だというように報道されていることは本当に遺憾だと、こう思うのでございます。自衛隊の者も日本人であり、そして人の子であり、人の親でございます。日本人としてのいわゆる赤い血が流れているのでございます。したがいまして、おぼれている者を目の前に見てそれを救わないなどという、そういう人間性は決して持っていないということを私はあえて申し上げたいのでございます。
 いずれにしましても、私たちは、これを教訓に、一層自衛隊の任務、それから自衛隊は単によき自衛官であるとともにょき社会人であれということを隊員に申し上げて、そういう正しい道を歩むということを私は主張し国民の理解を得たい、かように考えているわけでございますので御理解をいただきたい、こう思います。

発言情報

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発言者: 田澤吉郎

speaker_id: 13601

日付: 1988-10-11

院: 参議院

会議名: 内閣委員会