小野寺龍二の発言 (内閣委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○小野寺政府委員 委員御指摘のとおり、ゴルバチョフ書記長は、本年五月、北京において、極東方面から兵力十二万人、陸上師団で十二個師団、航空連隊十一個、艦艇十六隻の一方的戦力削減及びモンゴルに駐留いたしますソ連軍四個師団のうち三個師団の撤退を発表いたしております。その一部については既に実施に移されている模様でございます。例えば、モンゴルについては、その三個師団撤退すると発表しております兵力のうちの一個師団は少なくとももう撤退したと言われておりますし、航空師団についても同様でございます。
このように、ゴルバチョフ書記長がその五十万人兵力削減の中でアジアについても一部の兵力の削減の意思表示をいたしていること自身、これは我々としても一応評価すべきものと考えております。ただ、その内容については非常にあいまいかつ不明な点が多くございまして、これはヨーロッパ部における兵力の削減、撤退等に比べましても、アジア部については総じて漠然としているという問題がございます。
それから、いずれにいたしましても、現在発表いたしております量的な削減の程度では、ソ連は依然として極東において非常に膨大な軍事力を有するということには全く変わりはございません。かつ、委員御指摘のとおり、質的な強化が継続いたしておりまして、量的な削減がその質的な強化によって相殺されるという事態もあり得るわけでございます。そういった観点から、防衛庁といたしましても、実施状況、全体のソ連の軍事力について今後冷静かつ慎重に見きわめる必要があるかと存じております。
ソ連軍の近代化の状況につきましては、ソ連は一九六〇年代中期以降、極東地域において一貫して質、量、両面にわたる軍事力の増強を行ってきたわけでございまして、現在極東ソ連軍は、全ソ連軍の三分の一ないし四分の一程度の戦力を極東に配備しているわけでございます。ゴルバチョフの政権が成立いたした後におきましても、例えば、海軍においては海洋発射巡航ミサイルを搭載した新しい潜水艦、やはりミサイルを搭載した新しい駆逐艦、それからごく最近におきましては原子力実験艦の非常に大きなものを極東に回航しているという実態がございます。航空機についても、第四世代の戦闘機の追加配備というようなことが行われておりまして、特に、海空を中心とした装備の質的強化というものが非常に目立っております。そういったことから、全般的に戦力の再編成、合理化、近代化が行われているというふうに我々は見ております。
それから、配備地域につきましても、極東の中でも我が国に比較的近い北方領土、沿海地域、樺太、オホーツク海、カムチャッカ半島等に重点的な配備展開が行われているのが特徴でございます。ソ連軍の地上、航空戦力全体のうち、師団では約六割、それから戦闘機につきましてもやはり六割、ただ新しい第四世代の戦闘機になりますと八割ぐらいがこの地域に配備されております。爆撃機につきましてもほぼ八割がこの地域に配備されていると見られております。それから、艦隊につきましてはウラジオストクが主要拠点となりまして、そこに新しい艦船が配備されてきておるわけでございます。
こういう新しい配備に伴う艦艇、軍用機の行動も非常に活発でございまして、そういった意味では、委員御指摘のとおり、潜在的な脅威という観点から変化はないというふうに見ざるを得ないと見ております。