菱村幸彦の発言 (文教委員会)
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○菱村政府委員 戦後、新学制の発足に際しまして、従来、修身、歴史、地理、公民科などという戦前の中等学校の教科がございましたが、それにかえまして社会科が設けられたわけでございます。社会科自体は戦後、小中高等学校を通じて大変大きな役割を果たしてきたわけでございますが、高等学校段階で歴史地理教育が社会科の中で、一つの教科の中で実施されるということにつきましては従来からいろいろな御意見があったのであります。教育課程基準の改訂のたびごとにこの議論が繰り返されてきたという経緯がございます。
そこで、今回の学習指導要領の改訂におきましては教育課程審議会で十分御審議をいただいたわけでございますが、その答申に基づきまして高等学校の社会科を再編成して地理歴史科と公民科に分けようということになりました。
その趣旨と申しますか、観点としてはいろいろあるわけでございますが、一つは、高等学校の段階の生徒の発達段階から申し上げまして、これは小学校、中学校とはかなり違いまして心身ともに発達してまいります。その段階では、やはり科目の専門性とか系統性というものをもう少し強める必要があるのではないかということがございまして、そうした背景にはいろいろなことがあるわけでありますが、一つは昨今の社会の変化、特に国際化の進展に伴いまして、二十一世紀に生きる子供たちにつきましては、国際社会に生きる日本人の育成という観点から国際的な資質の育成を大変重視しているのであります。
国際社会に主体的に生きていく日本人として必要な資質といたしましては、やはり我が国の日本の文化とか伝統というものを十分理解する、ただそれだけにとどまらず、広い世界的視野のもとに日本というものを相対化して見る。それは空間的にも、地理という学習を通して地理空間的にも、そして時間的歴史という学習を通しましても、日本というものを世界全体の中で相対化して見ることができるような資質の育成が求められているということがございます。
そしてもう一つは、公民的資質の育成を一層重視しようということであります。社会の急激な変化に伴いまして、最近の子供たちは社会連帯感とか責任意識の低下というのがよく指摘されているところでございます。国家・社会を構成する一員としての自覚を深める、そして民主的、平和的な国家・社会の進展に主体的に寄与していく公民としての資質を育成するということが強く求められました。
こうしました背景を教育課程審議会では十分御審議になりまして、小中学校を通じます社会科の学習の上に高等学校の生徒の発達段階に応じた専門性、系統性のある教育を実施しよう、そこで高等学校教育におきましては、先ほど申し上げました国際的な資質とか公民的資質、そういうバランスをとった教科構成ということで今回社会科を再編成いたしたわけでございます。
社会科を地理歴史科と公民科の二教科に再編成をすることに応じまして、先ほど先生からも御質問がありました教員免許の体系を社会科の免許のみから二教科の免許に改めていくわけでございますが、これは当然教師の専門性が高まるということになると思います。ですから、今後、専門的にも高まった、深まった教師による指導が行われるということでござまして、高等学校段階におきますこうした専門性のより高い教育を実施するということになると思うのであります。
こういうことを総合的に勘案いたしまして、現行の社会科の枠の中で対応するよりも地理歴史科と公民科に再編成していくというのが適切であるということで御答申をいただき、それに基づきまして学習指導要領を定めてきた、こういう趣旨でございます。