菱村幸彦の発言 (文教委員会)

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○菱村政府委員 外国におきます教育といいますのは、御案内のように各国の歴史的背景とか教育制度とかさまざまでございますので、一概に比較するというのが大変難しいわけでございますが、外国でこの地理とか歴史とか公民というものをどういう扱いをして教えているだろうかということにつきまして見てまいりますと、これもさまざまございますが、しかし概して言いますと、アメリカを除いては地理、歴史、公民というのは分けて教えているというのが一般的でございます。それから、これも子供たちの発達段階によりまして小学校、中学、高校と初等教育、中等教育とございますので、そこでまたいろいろ違いがございますが、少し大まかに国別の状況を申し上げますと、以下のようになろうかと思います。
 先進諸国の中で小学校から高等学校まで一貫して社会科といいますか地理、歴史、公民というのを一本にして教えている教科構成をとっている国はアメリカだけでございます。ただ、アメリカの場合も州や市によって異なるわけでございますが、小学校は社会科、中学校はこれも社会科ということでございますが、高校になりますといろいろなアメリカ史とかアメリカの憲法とか政治とか細かく分かれていまして、その中でいっぱいとっておりますので、社会科一本の授業をやっているというわけではないわけでございます。
 それからイギリスでは、小学校段階で地理、歴史に分かれておりますし、中学校段階では地理と歴史別々のに加えまして公民的な教科を実施しております。そして高等学校段階では地理、歴史、いろいろありましてそれを選択する、こういうのが一般的でございます。
 それからフランスでは、これもやはり小学校段階から歴史と地理と公民が分かれております。それから、中学校になりますと地理と歴史と、それから経済が入ってまいりまして、あと公民に分かれて授業をする。高等学校段階では地理、歴史と公民と、それから経済に社会が加わりまして経済・社会ということでそれぞれ分けて科目構成をしているということであります。
 西ドイツでは、これはちょっとフランス、イギリスとは違うのですが、小学校段階、西ドイツの場合は州によって違いますけれども、一般的には四年制の初等教育ですが、ここではちょっと変な名前なんですが、事実教授、日本語に訳すとそういう科目がございます。これはいわば今度私どもの新しい学習指導要領の小学校でつくりました生活科に大変よく似ている内容なのでありますが、子供たちが自分自身ないしは自分の周り、学校とか家庭とか地域社会とか、そういうものの中でみずから体験しながら教育活動を行っていて、おのずから社会とか自然とか人間というものに対して認識を深めていくというような授業でありますが、西ドイツの初等教育では事実教授というもので社会科に類する教育をしている。そして中学、高校になりますと、向こうは中等教育が一本になって中高一本の場合が多いわけでありますが、そこでは地理、歴史、政治というふうに分けております。ただ、州によりましては社会科という一本の教科を設けているところもあるというふうに聞いております。
 さらに、ソ連では小学校段階では歴史、地理を分けておりますし、中学校段階になりますと歴史、地理に国家と法という科目が加わるというふうに聞いております。
 このように地理、歴史、公民に関します教育につきましては国によってさまざまな扱いがされておりまして、全体的な傾向として申し上げますと、社会科として一本で教えるアメリカのような場合ないしはヨーロッパのように独立の教科として教える場合がございますが、いずれも生徒の発達段階に応じまして高学年に至るほど系統性、専門性を強めた教科構成をとるというふうに言えるかと思います。
 今回、私どもの、日本の学習指導要領の改訂におきましても、中学校までは総合的な社会科の学習を行って、その成果の上に先ほど申し上げましたような国際的な資質とか公民的な資質の育成を強めよう、充実しようということで高等学校段階において社会科を再編成した、そして地理歴史と公民科を分けて教えることにした、こういうことでございます。

発言情報

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発言者: 菱村幸彦

speaker_id: 6994

日付: 1989-11-24

院: 衆議院

会議名: 文教委員会