戸井田三郎の発言 (社会労働委員会)
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○国務大臣(戸井田三郎君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
我が国は、世界に例のない速度で高齢化が進んでおり、老後の問題は国民の最大の関心事となるとともに、老後生活の主柱としての公的年金制度に寄せる国民の期待は極めて大きなものとなっております。
こうした国民の期待にこたえていくため、昭和六十年の年金制度の改正においてすべての国民に共通する基礎年金の導入が行われ、公的年金制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図る上での礎が築かれたところでありますが、高齢化のピークを迎える二十一世紀に向けて、さらに、年金制度全体を揺るぎないものとしていく努力を重
ねてまいることが必要であります。
このような考え方に基づき、今回提出いたしました改正案では、必要な年金額の確保を図るとともに、後代の負担を適正なものとするため、厚生年金の支給開始年齢を十分な準備期間を設けて段階的に引き上げていくためのスケジュールを明示する等所要の改正を行うこととしております。
以下、改正案の内容につきまして、御説明申し上げます。
まず、国民年金法及び厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年十月から、国民年金の基礎年金の額を月額五万五千五百円に引き上げるとともに、厚生年金保険の制度成熟時における加入期間四十年の場合の標準的な年金額を月額十九万七千四百円に引き上げることとしております。旧法国民年金及び旧法厚生年金保険の額も、これに準じた引き上げを行うこととしております。そのほか、配偶者や子に係る加算・加給年金の額を引き上げることといたしております。
第二に、物価スライド制につきましては、平成二年四月から、物価変動に完全に対応して年金額の改定を行う完全自動物価スライド制とすることとしております。
第三に、厚生年金保険の在職老齢年金につきましては、本年十月から、その支給割合を現行の三段階から五段階に改める等の改善を図ることとしております。
第四に、老齢厚生年金の支給開始年齢につきましては、給付水準を維持しつつ、後代の負担を適正なものとするため、十分な準備期間を設けて、平成十年度から平成二十二年度にかけて段階的に六十五歳に引き上げることとしております。また、これに伴い、老齢厚生年金の繰り上げ支給制度を創設することとしております。なお、これらの改正の施行につきましては、別に法律で定める日からとしております。
第五に、厚生年金保険の標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即して、本年十月から、八万円から五十三万円の三十等級に改めることとしております。
第六に、保険料につきましては、年金額の引き上げ及び受給著増等に対応して年金財政の健全性を確保するため、国民年金については平成二年四月から月額八千四百円に改定し、以後段階的に引き上げることとしております。また、厚生年金保険については、本年十月から保険料率を男子については千分の二十二引き上げ、女子については男子との格差を解消するため、千分の二十三・五引き上げ、その後男子の料率に達するまで毎年千分の一・五ずつ引き上げることとしております。
第七に、現在、国民年金に任意加入となっている二十歳以上の大学、専修学校等の学生につきましては、年金を保障するため、平成二年四月から、国民年金の当然加入の被保険者とすることとしております。
第八に、基礎年金、厚生年金等の支払いにつきましては、本年十月から、年六回支払いに改善することとしております。
第九に、自営業者等に対する基礎年金の上乗せ年金制度を実現するため、現行の業種単位の職能型の国民年金基金の設立要件を緩和するとともに、一般の自営業者等が加入する都道府県の区域を単位とする地域型の国民年金基金を創設することとしております。
第十に、厚生年金基金につきましては、積立金の運用の一層の効率化を図るため、運用方法を拡大するとともに、積立金の管理及び運用に関する業務について、所要の規定の整備を行うこととしております。
次に、平成元年度におきます年金額の特例物価スライド等について申し上げます。
拠出制国民年金及び厚生年金保険の年金額につきましては、最近における社会経済情勢にかんがみ、特例的に昭和六十三年の物価上昇率に応じて年金額の引き上げを行う特例物価スライドを実施することとしております。また、老齢福祉年金の額につきましても、拠出制年金の額の引き上げに準じて引き上げを行うこととしております。
最後に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。
児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の手当額につきましては、年金額の引き上げに準じて引き上げを行うとともに、平成二年四月から、物価変動に完全に対応して手当額を改定する完全自動物価スライド制を導入することとしております。
以上が、国民年金法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、年金額等の引き上げを本年四月にさかのぼって実施すること、在職老齢年金の支給割合を七段階に改善すること、厚生年金の保険料率を政府案より引き下げること、老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ等に関する規定を削除し、別に、老齢厚生年金の特例支給については次期財政再計算の際に見直すこととする旨の規定を置くこと等を内容とする修正が行われております。
次に、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について申し上げます。
我が国の公的年金制度を今後の高齢化の一層の進展や産業構造、就業構造の変化の中で、公平で安定した揺るぎないものとしていくためには、公的年金制度の一元化を図る必要があります。
その第一段階として、昭和六十年の年金制度の改正においては基礎年金制度の導入を行い、公的年金制度の一階部分について給付と負担の両面にわたる一元化を行うとともに、二階部分に相当する被用者年金制度についても、共済年金の給付水準を将来に向けて厚生年金の給付水準にそろえることにより給付面における公平化を図ったところでありますが、公的年金制度の一元化を完了するためには、被用者年金制度の負担面における不均衡を是正していくことが課題となっているところであります。
この法律案は、このような課題を踏まえ、被用者年金制度間の負担の調整を進めるため、公的年金制度の一元化が完了するまでの間の当面の措置として、厚生年金及び共済年金の老齢・退職年金給付のうちの共通の部分について費用負担を調整するための制度間調整事業を実施しようとするものであります。
以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一は、調整交付金の交付であります。制度間調整事業の実施主体たる政府は、各被用者年金保険者が行う老齢・退職年金給付のうち各制度に共通する部分の費用に充てるため、各被用者年金保険者に対し調整交付金を交付することとしております。
第二は、調整拠出金の拠出であります。調整交付金の財源に充てるため、各被用者年金保険者は、その標準報酬総額に応じて、制度間調整事業の実施主体たる政府に対し、調整拠出金を拠出することとしております。
第三に、制度間調整事業の事務の執行に要する費用は、国が負担することとしております。
第四に、制度間調整事業は社会保険庁が実施することとしておりますが、その円滑な実施のため、各共済組合からの社会保険庁長官への報告等について所要の規定を設けております。
このほか、厚生保険特別会計法、被用者年金各法等について、制度間調整事業の実施のための所要の改正を行うこととしております。
なお、この法律の施行期日は、平成二年四月一日としております。
以上が、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、平成二年度から平成四年度までの間、日本鉄道共済年金への調整交付金の減額措置を講ずることとし、当該減額相当額について厚生年金保険等の保険者の調整拠出金の減額を行うこととすること、及び政府は、平成四年度までの間に、制度間調整事業について、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その運
営の状況等を勘案して見直しを行うものとすることを内容とする修正が行われております。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。